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金持ちほどお金の管理に時間を使うのに、なぜストレスは少ないのか?って問題を調べた研究の話

 

金持ちほどお金の管理にストレスがない!」という、ある意味で当たり前の報告をしてる研究(R)が出てまして、こいつが意外と参考になったのでメモ。

 

これはサラゴサ大学などの研究で、「アメリカ人が時間をどう使ってるか調査(American Time Use Survey)」という有名な大規模データを分析したものです。この調査では、参加者に「昨日24時間をどう過ごしたか?」を細かく記録してもらってまして、研究チームはその中から、

 

  • 請求書の支払い
  • 銀行関係の手続き
  • 家計管理
  • 税金の申告

 

みたいな、金まわりの活動を抜き出したんですよ。対象者は19万1,038人と、かなり大規模なものになっております。

 

で、分析の結果がどうだったと言いますと、

 

  • アメリカ人は、平均すると1日わずか8.3分しかお金の管理に時間を使っていなかった。ちなみに、娯楽は約342分で、仕事は約228分ぐらい。
  • また、大半の人はお金の管理が嫌いで、幸福感を0〜6点で評価してもらったところ、「お金の管理=3.85」だったのに対して、「家事=4.29」だった。
  • ストレス度の調査でも、お金の管理のストレス値が1.94だったのに、身支度や家事などは1.2ぐらいだった。

 

ということで、みんなお金の管理を短時間しかやってないのに、やたらストレスに感じていたって結果だったんですな。みんなお金の管理が嫌いなんですねぇ。

 

でもって、個人的におもしろかったのが、「誰がお金の管理に時間を使っているのか?」って分析であります。研究チームは当初、「お金が少ない人ほど、お金の管理に時間を使うのでは?」と予想してたんですが、実際にはさにあらず。

 

  • 高学歴・高所得の人ほど、お金の管理に多くの時間を使っていた。

 

って感じだったんですな。もうちょい具体的に言うと、

 

  • 大学卒の人は、平均より約4.94分多くお金管理をしてた。1日の平均が8.3分なので、これは約60%増ぐらいの数字。
  • さらに、年収15万ドル以上の人も、平均より約3.74分多く時間を使っていた。

 

って感じでして、お金がある人ほど、むしろお金について考える時間も長い傾向があったんですよ。

 

なんでこういう話になるのかと言いますと、研究チームは「お金を持つほど、管理するものも増えるからじゃない?」と推測しておられます。金持ちほど、投資だったり、不動産だったり、口座の数が多かったりするんで、管理も複雑なんじゃないかってことですな。「金持ちになるほど金のことを考えなくてよくなる!」ってわけじゃないんだ、と。

 

ただし、このデータでは、金持ちと貧しい人のあいだに明確な違いがありまして、

 

  • 高所得・高学歴の人ほど、お金を管理している時のストレスや疲労が少なかった

 

って感じだったんだそうな。要するに、金持ちはお金の管理に時間を使うが、それほど苦痛に感じてはいないってことですね。これもまぁ当然と言えば当然で、同じような「お金の管理」でも、金持ちが「どの投資信託に投資しようかな?」と考えるのと、貧しい人が「今月の家賃を払ったら残高はいくらだ?」と考えるのでは、ストレスレベルがまったく違いますからねぇ。

 

ってことで、この結果をふまえて、研究チームは「金融能力には、知識だけでなく時間と精神的な余裕も必要だ」と指摘しておられます。「お金の管理が必要だ!」ってのは誰でもわかってるんだけど、そのための余裕がないと、知識があっても実行するのは難しいですからね。

 

では、どうすればいいのか?ってことですが、このデータを見る限り、「お金の管理を好きになろうとするより、面倒な作業そのものを減らす」ように考えるのがいいんでしょうな。たとえば、

 

 

  • 給料日に一定額を自動で貯金口座へ移す
  • 投資は毎月の自動積立にする
  • 家賃、光熱費、通信費、保険料は自動引き落としにする
  • クレジットカードは可能なら1〜2枚に集約して自動払いにする
  • 税金や保険料の支払期限をカレンダーに自動登録する
  • 銀行やカードの残高不足アラートを設定する
  • 毎月決まった日に家計簿アプリから収支レポートを確認する
  • サブスクの更新日前に通知が来るよう設定する
  • ボーナスが入ったら一定割合を自動で貯蓄・投資に回す
  • 年に1回の保険や固定費の見直し日をカレンダーに固定する
  • 家計簿は手入力せず、銀行・カードと自動連携する
  • 請求書や金融書類は電子化して自動保存する

 

みたいな感じっすね。そもそもお金の管理は面倒なのに、そのたびに意志力を使って判断してたら、それだけで余計に疲れちゃいますからね。だったら、考える必要そのものを減らすように考えたほうがいいのは当然でありましょう。だいたい、みんな基本的なお金の知識は持ってるはずなんで、さらに情報を取り入れるよりも、お金について考えなくても済む仕組みを作るほうが先でしょう。

 

まぁ、これは横断研究なので、「お金の管理がストレスを生む!」とまでは断定できないんですけど、それでも、

 

  • いかに短時間だろうが、不安や判断をともなう作業は大きな心理コストになる!

 

ってのは教訓としてはおもしろいんじゃないでしょうか。特にお金みたいに生活そのものに直結していて、不安を呼びやすいジャンルなんで、できるだけ自動化&単純化しておきたいところですね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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