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今週の小ネタ:筋肉を増やしつつ脂肪を抑えるなら「食べる時間」を8時間にするといい?運動すると食欲が増えて、消費カロリーが台無しになるのか?女性の筋トレにサプリを足すと、筋肉と骨はもっと増えるのか?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

筋肉を増やしつつ脂肪を抑えるなら「食べる時間」を8時間にするといい?

筋肉を増やすためには、「消費カロリーより少し多めに食べる」のが基本。どれだけ筋トレをしても、筋肉を作るためのエネルギーが不足していれば体は大きくなりませんからね。そのため、増量期には、体重の維持に必要な量よりも1日300〜500kcalほど多く食べるのが一般的っすね。

 

ただし、この方法には、

 

筋肉と一緒に体脂肪まで増えてしまう

 

という問題がありまして、これが困ったもんです。カロリーを増やしたからといって、そのすべてが筋肉に変わるわけではなく、余ったエネルギーは脂肪として蓄積されますんで。

 

そこで、新しい研究(R)では、「増量期の食事時間を8時間に制限すれば、筋肉を増やしながら体脂肪の蓄積を抑えられるのでは?」という問題を調べていて、なかなか実用的な内容になっておりました。

 

実験の対象になったのは、筋トレ経験がある平均30歳の男女23人。研究チームは、全体を、

 

  • 正午から午後8時までの8時間だけ食べる
  • 食事時間を制限しない

 

という2グループに分けまして、どちらのグループにも、週3回の筋トレを12週間にわたって実施するように指示したそうな。さらに、体重の維持に必要な量よりも、毎日300〜500kcal多く食べるように指導したとのこと。これによって、食事時間を8時間に制限すると、筋肉の増加を妨げずに体脂肪の増加を抑えられるかを調べたわけっすね。

 

すると、その結果がどんなもんだったかと言いますと、

 

  • 筋肉量と筋力の増加には、ほとんど差がなかった。具体的には、筋肉量は両グループとも約1.1kg増加。デッドリフトの最大挙上重量は約26kg、ベンチプレスは約11〜13kg増だった。つまり、食事時間を8時間に絞っても、筋肥大や筋力アップが妨げられた様子はなかった

 

  • ところが、体脂肪の増加には大きな差が出ており、「時間制限食:約2.0kg増」「時間制限なし:約4.4kg増って結果だった。

 

ってことで、時間制限なしのグループでは、体脂肪の増加量が2倍を超えてますな。これは凄い違いっすね。

 

ただ、これだけ見ると「16時間の断食によって脂肪が燃えたんだ!」と思いたくなるんだけど、話はそこまで単純じゃないのでご注意ください。というのも、データを見てみますと、時間制限食グループは、指示された量のカロリーを十分に食べられていなかったんですよ。

 

それもそのはずで、8時間以内にすべての食事を済ませようとすると、どうしても食べられる量が減っちゃいますからね。実際、このグループでは、カロリーだけでなく、タンパク質や炭水化物の摂取量も目標を下回ってたそうな。

 

なので、今回の結果については、「食事時間を短くしたおかげで代謝が変わった」というより、「食べられる時間が短くなり、カロリーの取りすぎが自然に抑えられた」と考えるのが正解なんでしょうな。実際、過去の研究でも、増量期のカロリー余剰を大きくしても、筋肉や筋力が比例して増えるわけではなく、体脂肪ばかりが増えやすいことが報告されてますからね(R)。つまり、たくさん食べれば食べるほど、筋肉がつくわけではないんですな。

 

もちろん、めっちゃ小規模な研究なんでアレですが、とりあえず以上を踏まえると、増量期に入るときには、

 

  • 食事時間を8〜10時間程度にまとめる
  • その範囲で必要なタンパク質を確保する
  • 体重が急激に増えるなら摂取カロリーを減らす
  • 食事制限でトレーニングの調子が落ちるなら無理をしない

 

といったあたりを守るのがいいんでしょうな。筋肉を増やすには十分なエネルギーが必要なんだけど、「できるだけ食べる」よりも「筋肉が増える最低限の余剰を探す」ほうが、効率よく体を大きくできますんで。

 

 

 

運動すると食欲が増えて、消費カロリーが台無しになるのか?問題

ダイエットのために運動を始めた人がよく出くわすのが、「運動したら腹が減って、結局いつもより食べてしまう!」って問題であります。せっかく運動でカロリーを消費しても、そのあとに食欲が増して、消費分以上に食べたら意味がないんじゃないの?みたいな話ですね。

 

では、実際のところはどうなのか?ってことで、新しいランダム化クロスオーバー試験(R)が参考になる感じでした。

 

実験の参加者は、太りすぎに悩む平均49歳の男女58人(その半数は2型糖尿病)。研究チームは、参加者たちに、

 

  1. 朝または夕方にHIIT形式のサイクリングを行ってもらう
  2. または、そのまま安静にしてもらう

 

のどちらかを行うように指示。そして15分後にお菓子を出して、好きなだけ食べてもらったんだそうな。

 

そこでどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • HIITを行ったあとは、安静にしていた場合よりも摂取カロリーが平均86kcalほど少なくなっていた。
  • さらに、運動によって消費したエネルギーまで差し引いた「相対的な摂取カロリー」で比べると、運動をした場合は約479kcalも低くなっていた。

 

だったそうな。ここは少しややこしいんですが、上記は「運動後にお菓子を食べる量が479kcal少なかった」って意味じゃないのでご注意あれ。実際に減った食事量は86kcalほどで、そこに運動で消費したカロリーを加えると、トータルの収支が479kcalぶん改善した、って話なんで。

 

ということで、少なくともこの実験を見る限り、運動によって食欲が増えるどころか、逆に摂取カロリーが減るって感じみたいっすね。データを見ると、HIITをした後は、みんな主観的な食欲が低下し、食欲を促すホルモンであるグレリンの量も減ってたそうで、どうやら激しい運動が体内の食欲調節システムを一時的に変えてるっぽいんですな。

 

もちろん、今回わかったのは、1回のHIITが直後の食欲に及ぼす短期的な影響だけなので、長期的な効果については不明であります。とはいえ、

 

運動すると腹が減って、消費カロリーがすべて台無しになるのでは……

 

みたいに心配しすぎる必要はなさそうっすね。平均的には、激しい運動の直後にはむしろ食欲が低下し、エネルギー収支も改善する可能性があるんで。

 

 

 

女性の筋トレにサプリを足すと、筋肉と骨はもっと増えるのか?問題

女性の健康を考えるうえで重要なのが、加齢にともなう筋肉と骨の減少であります。女性は閉経前後から筋肉量の低下が加速し、閉経移行期には年間0.5〜1.0%ほど減るとの報告がありまして、こいつはなんとも恐ろしい話であります。当然ながら、筋肉が減れば日常の動作がつらくなりますし、骨が弱くなれば転倒時のダメージも大きくなっちゃいますからね。

 

そこで基本の対策として有効なのが筋トレですが、2026年に出たシステマティックレビューとメタ解析(R)では、

 

筋トレにプロテインやクレアチンを足せば、筋肉や骨はもっと改善するのでは?

 

って問題を調べてくれてて有用でした。筋トレが良いのは当たり前ですが、そこにサプリを加えることで、どこまで効果を上乗せできるのか?ってことですな。

 

研究チームは、閉経前から閉経後までの女性を対象に、運動とサプリを組み合わせたRCT14件をピックアップし、合計763人分のデータを分析。実験の期間はだいたい8〜96週間で、運動は週2〜3回の筋トレが中心だったとのこと。

 

また、ここで使われたサプリは、クレアチン、ホエイプロテイン、ロイシン、L-シトルリン、コラーゲンペプチドなど。要するに、「女性が運動をする際、栄養サプリを追加すると、運動だけの場合より筋骨格系が改善するか?」をまとめて調べたわけですね。

 

で、結果は以下のようになっております。

 

  • 筋肉量、除脂肪量、四肢除脂肪量には明確なメリットなし

  • 骨密度など、骨の健康にも明確な効果なし

  • ベンチプレスと握力には小さな改善あり

  • レッグプレスなどの下半身の筋力には明確なメリットなし

 

ご覧のとおり、全体としては、あまりパッとしない結果っすね。運動にサプリを追加したからといって、女性の筋肉量や骨量がさらに増えるとは言えないんですなぁ。

 

ただし、上半身の筋力には少し希望がありまして、ここでベンチプレスを評価した4件の研究のうち3件がクレアチンを使ってまして、クレアチンに関しては希望があるかもしんないですね。研究数が少ないうえに、サプリの種類もバラバラなので、たまたま有意差が出た可能性も否定できないですが。

 

ってことで、以上をまとめると、

 

女性が筋肉と骨を守るうえで、サプリによるメリットはいまいち。クレアチンは上半身の筋力を少し伸ばす可能性があるものの、筋肉量や骨量まで増やすとは言えない

 

ぐらいの結論になるでしょうな。なので、まずは週2〜3回の筋トレを優先し、そのうえで食事から十分なタンパク質を取れないならプロテインを使い、さらなる筋力向上を狙う場合はクレアチンを検討するぐらいの順番がいいんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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