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今週の小ネタ:高カロリー食で脳の働きが落ちるのはなぜ?「この先、生活が苦しくなる」と思うだけで幸福度は下がる?クルクミンで大腸ポリープのリスクが44%下がる?

 


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

高カロリー食で脳の働きが落ちるのはなぜ?

「高カロリーな食事で脳の働きが落ちる!それはなぜ?」って問題を調べた研究(R)が、出ておりました。これは東京科学大学などのチームによるもので、高カロリー食を与えたマウスを調べ、脳の神経細胞にどんな変化が起きるのかを追いかけた研究になっております。あくまでマウス実験ではありますが、食事と脳機能をつなぐ具体的な仕組みを教えてくれる、なかなかナイスな研究じゃないでしょうか。

 

で、今回の主役になるのが、「PQBP1」ってタンパク質です。なんか難しい名前ですが、とりあえずここでは「神経細胞が正常に働くために必要な物質」ぐらいに考えていただければと。このPQBP1が、高カロリー食による脳機能の変化に関わっているのでは?ってのが、この研究のキモであります。

 

実際の実験では、マウスに通常の食事、または高カロリー・高脂肪の食事を与えてまして、そうすると高カロリー食を与えたマウスは、大脳皮質の神経細胞でPQBP1の量が減ってたというんですな。しかも、この変化は、6週間与えた場合だけでなく、1週間与えた場合にも確認されたというから面白いもんです。

 

もちろん、マウスの1週間を、そのまま人間の1週間に置き換えることはできないものの、高カロリーの食事が脳の分子レベルで変化を起こすかも?ってのは重要な知見でしょう。

 

ここで、高カロリー食が脳にダメージを起こした仕組みを雑にまとめておくと、

 

  1. 高カロリー・高脂肪食によって、神経細胞のPQBP1が減る
  2. シナプス関連分子のRNA処理に異常が起きる
  3. シナプスを構成するタンパク質の働きに問題が生じる
  4. 神経細胞同士の情報伝達がうまくいかなくなる

 

という感じです。「食べすぎは脳にもよくない」って話は昔からあったんですけど、細胞の中で何が起きているのかまで明確になったのはナイスですなぁ。食事による代謝の変化が、神経細胞にまで影響するってのは面白いっすね。

 

さらに今回の研究では、この仕組みをいじったら、脳の機能を改善できるのかも調べております。具体的には、高カロリー食を与えたマウスに対して、

 

  • 糖尿病治療薬を使う
  • 遺伝子治療の手法でPQBP1を補う

 

といった方法を試してみたところ、シナプスの異常や、認知機能の低下に改善が見られたんだそうな。これもなかなか希望の持てる内容っすね。

 

人間にどこまで当てはまるのかは謎ながら、個人的には、食事の影響ってのは体重だけじゃなく、脳の働きまで含めて考えておきたいところなんで、やっぱ高カロリー食は控えめにしとくのがよさそうですなあ。

 

 

 

「この先、生活が苦しくなる」と思うだけで幸福度は下がる?

「今の生活は変わっていなくても、『この先、暮らしが悪くなる』と思うだけで、不安が強くなるのでは?」みたいな研究(R)が面白かったです。

 

研究チームは、米国とスペインの計2,819人を対象に、2件のアンケート調査と2件の実験を実施してまして、ここでどんな傾向が見られたかと言いますと、

 

  • 「未来に経済的・社会的な立場が下がる!」と考える人ほど、自分の地位に対する不安が強く、人生満足度も低い傾向が確認された

 

って感じだったんですな。ここでいう「地位への不安」ってのは、他人からどう評価されるか、自分の社会的な立場を保てるか、といった心配のことです。要するに、お金にまつわる不安ってのは、「いま生活費がたりない!」って問題に加えて、「周囲より取り残されるのでは?」という懸念も関わるわけですね。

 

ただし、アンケート調査だけでは、不安な人ほど将来を悲観している可能性も残りますんで、研究チームは同時に架空の社会を使った実験も行っております。参加者には、その架空の社会で新生活を始めると想像してもらい、全員を同じ中間所得層に設定したうえで、「あなたの未来はこれからこうなります!」っていう将来の見通しを、数パターンにわたって伝えたんだそうな。

 

  1. 所得階層が上がりやすい

  2. 今の所得階層を維持しやすい

  3. 所得階層が下がりやすい

 

すると、「あなたは将来収入が下がります!」と伝えられた人は、自分の地位への不安が強くなったとのこと。いまいくら金持ちでも、これから下がりそうだと伝えることで、一気に不安感が増すんじゃないか、と。

 

一方で、「あなたは将来収入が上がります!」と伝えても、一貫した傾向は見られなかったとのこと。つまり、「将来の見通しが悪い!」と感じるほうが、私たちのメンタルに影響を与えやすいってことですね。「将来もっと豊かになれる!」って期待を増やすよりも、「今の暮らしを維持できなくなる!」って不安を減らすほうが大事なんじゃないか、と。

 

となれば、お金の不安がわいたときには、次の2つを書き分けてみるのはよさそうですな。

 

  • 現在確認できる問題:「毎月の支出が収入を2万円上回っている」みたいな

  • 将来についての予想:「数年後に仕事が減るかもしれない」みたいな

 

これで、前者なら収支の調整、後者なら予想の根拠や備えを確認する、と対応を具体化できますからね。とりあえず、今の家計の状態と、将来への予想を分けて扱うと、自分が何を心配しているのかをつかむ助けになっていいんじゃないでしょうか。

 

 

 

クルクミンで大腸ポリープのリスクが44%下がる?

「カレーの成分であるクルクミンが、大腸ポリープの成長を抑えるかもしれない!」って研究(R)が出ておりました。

 

こちらは、徳島大学などのチームが全国26施設で実施したRCTでして、大腸腺腫を内視鏡で取り除いた人たちを、次の2グループに分けております。

 

  1. 高吸収型クルクミン「セラクルミン」を摂取する

  2. 有効成分を含まないプラセボを摂取する

 

でもって、2年後の内視鏡検査で、新しくできた腺腫の数や大きさを比較したところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • 「腺腫全体の発生率」には有意差がなかった

  • 一方、6mm以上の腺腫ができた人の割合は、プラセボ群が13.3%だったのに対して、クルクミン群は7.5%

 

ってことで、これを元に研究チームは「クルクミンで大腸ポリープのリスクが約44%低下するかも」と考えておられます。こいつは相対的な減少率で、100人あたり約13人だったものが、約8人になった計算ですね。

 

ちなみに、さらに細かくクルクミンの効果を見てみると、

 

  • クルクミンを飲んだグループは、6mm以上の腺腫の個数も少なく、できた腺腫全体の大きさも小さかった。
  • 過去に多数の腺腫を取り除いた人は、より効果が大きい可能性も示された。

 

って感じだったそうな。やはりクルクミンには、腺腫の増大や進展を抑える作用があるのかもですなぁ。

 

まぁ、今回の結果だけだと大腸がんそのものが減ったかはわからないし、健康な人にも同じ効果があるかは不明ながら、不定期にクルクミンのサプリを飲んでいる私にはちょっと嬉しいニュースでしたなぁ。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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