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「批判に弱い自分」を責める前に、確認したい5つの質問の話

   

 

「自己愛が強い人は、感情のコントロールが苦手かも?」ってメタ分析(R)が出てまして、こいつがいかにも参考になりそうでした。

 

で、まずは前提から押さえておきましょう。「自己愛」と言いますと、一般的には、

 

  • 「自分は特別だ!」「もっと評価されるべきだ!」と考えている人
  • 自信満々で、自分の話が大好きで、人から指摘されると怒っちゃう人

 

みたいなイメージがありますわな。ところが、心理学でいう「自己愛」ってのは、もうちょい複雑な捉え方をしていまして、大きく分けると、

 

  • 誇大型の自己愛:自分を大きく見せようとし、注目や優位な立場を求めるタイプの自己愛。表面上は自信満々に見えやすい。

  • 脆弱型の自己愛:自己評価が不安定で、他人からの拒絶や批判に敏感なタイプの自己愛。劣等感や傷つきやすさが目立ちやすい。

 

みたいになります。どちらも「自分は特別に扱われるべきだ!」と思ってるんだけど、その表れ方が違うわけですね。

 

でもって、今回の研究では、「ナルシシストは感情のコントロールがヘタなんじゃない?」ってところを調べてくれたのがポイント。具体的には、12,209人の男女を含む26の研究から、80の相関をまとめて、こんな結果を出しております。

 

自己愛のタイプ感情調整の難しさとの相関
脆弱型0.37
誇大型0.04

 

ってことで、脆弱型の自己愛にのみ中程度の関連があったわけですね。こいつを簡単に言い換えると、「批判に弱いナルシシストほど感情のコントロールが苦手!」みたいになります。まぁ、今回の研究はすべて自己申告のアンケートなんで、「誇大型の傾向が強い人は、そもそも自分が感情のコントロールが苦手だってことに気づいてないのでは?」とも考えられますが。

 

あと、この研究でもひとつ面白かったのは、「感情調整のどこに難しさがあるのか?」ってのをチェックしてるところでして、研究チームはこんな結果を報告しております。

 

  • 以下の要素は、自己愛との間に弱い関連が見られた。

    • 嫌な感情を受け入れにくい

    • 動揺したときに、衝動的な行動を抑えにくい

    • 感情に対処する方法が乏しいと感じる

 

やはりこちらでも、脆弱型ナルシシストは感情のコントロールが苦手なんだなーって傾向が見てとれますね。

 

なんでこういう事態が起きるのかと言いますと、おそらくですが、

 

  1. 「自分はもっと評価されるべきだ!」と思ってるため、批判を受けると、自分の価値まで否定されたように感じる。

  2. そこで生まれた怒りや恥ずかしさを、「こんな気分になるのは耐えられない!」と受け入れにくくなる。

  3. 不快な感情を早くどうにかしようとして、相手に言い返したり、衝動的に関係を断ったりしてしまう。

 

みたいな流れが考えられましょう。「評価されたい!」って気持ちが強いあまり、ネガティブな感情に弱くなっちゃうわけっすね(あくまで個人的な推測ですが)。

 

ただし、個人的には、これはナルシシストだけでなく「他人の批判にヘコみやすい人」にも当てはまると思ってまして、それというのも自己愛が強いかどうかにかかわらず、批判に弱い人に見られる反応は似たところがあるからです。こちらも簡単に流れを説明しておくと、

 

  1. 「この部分を直してほしい」と言われて、「自分はダメな人間だと思われた!」と受け取ってしまう。

  2. 傷ついたり、不安になったりしたうえに、「こんなことでヘコむ自分は情けない!」と自分を責めてしまう。

  3. 相手の言葉を何度も思い返したり、必要以上に謝ったりして、さらに疲れてしまう。

 

みたいになります。こんなふうに、批判された瞬間のつらさを上手くコントロールできず、さらにネガティブな感情をブーストさせがちだってことですな。

 

なので、もしいま「自分は批判に弱いんだよなぁ……」みたいな自覚がある方は、

 

  • 「傷つくなんて情けない」と、感情そのものを否定しているのか?

  • 腹が立つと、すぐに反論のメッセージを送りたくなるのか?

  • 相手に言われた具体的な指摘を、「自分には価値がない」という話にまで広げていないか?

  • その場を収めるために、必要以上に謝ったり、無理な要求まで引き受けたりしていないか?

  • 気持ちを落ち着けたいときに、自分が取れる行動をひとつでも思いつけるか?

 

みたいに自問してみると、批判されたあとに、自分がどの段階でつまずきやすいのかが見えてくるかもしれません。「自分は批判に弱い!」だけで終わらせちゃうと、次に何をすればいいのかわかりませんから、これらの質問で自己分析を進めてみるといいんじゃないかと思うわけです。

 

これらの質問によって、「あー、自分は動揺すると、すぐに反論のメッセージを送信しちゃうんだな」みたいに自分の反応を具体化できれば、「反論したくなったら、まず下書きに保存して、少し時間を置いてから読み返す」といった具体的な対策も思いつきやすくなりますからね。まぁ、この対策は、あくまで今回の研究をもとに私が勝手に考えたことなんですけど、批判に弱い人(私もそうですが)が、自分を観察するための問いとしては使えるんじゃないかと。なにごともメタ視点が大事なんで。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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