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スポーツは"テレビで見る"だけでもメンタルに良いのではないか?説



 

スポーツは心身に良い!のは当たり前として、新たに「スポーツは見るだけでもメンタルに良い!」との研究(R)が出てておもしろかったです。

 

 

これは筑波大学などの先生方が行った調査で、日本老年学的評価研究という有名なプロジェクトのデータを使ってます。全国60以上の市町村から約30万人の高齢者を定期的に調査して、普段の運動量、メンタルの状態、食事の質なんてのをチェックしてる大規模なデータなんですな。

 

 

今回は、このデータから「いつもどれぐらいスポーツを見てますか?」って質問に答えた約2万人の参加者をピックアップして、スポーツ観戦と幸福度の関係を見ております。スポーツの試合を見にいく人はメンタルの状態がいい!みたいな話は過去にもあったんですけど、テレビで見た場合はどうなの?って疑問を調べたものはなかったので、実にありがたい調査ではないかと。

 

 

で、分析の結果をざっくりまとめると、こんな感じです。

 

 

▼試合会場に出かけてスポーツを見る人の場合

  • 年に2〜3回ぐらい試合の会場に出向いてスポーツを観戦する人は、まったくスポーツを見に行かない人に比べて、「メンタルが低め」になる確率が20%ぐらい低かった(PR0.80 , 95%CI;0.74~0.85)

  • 試合会場でのスポーツ観戦の回数が月に1~3回ぐらいの人も、やはり「メンタルが低め」になる確率が21%ぐらい低かった

  • ただし、試合会場でのスポーツ観戦の回数が週に1回以上ぐらいなガチファンは、なぜかメンタルの状態が低下する確率は、スポーツを見に行かない人と変わらなかった

 

 

▼テレビとかネットでスポーツを見る人の場合

  • テレビやネットでのスポーツを観る人は……

    • 観戦の回数が年に数回の人は、メンタルが低下する確率が8%ぐらい低かった

    • 観戦の回数が月に1~3回の人は、メンタルが低下する確率が11%ぐらい低かった

    • 観戦の回数が週1回以上の人は、メンタルが低下する確率が17%ぐらい低かった

 

 

ということで、試合会場に行くかテレビで観るかを問わず、スポーツを観るだけでメンタルが悪化する可能性は低くなるらしい。研究チームいわく、

 

テレビやネットでスポーツを観戦する回数とメンタルの健全さには、見れば見るほど良いという傾向が認められた。テレビの視聴については健康への害が強調されがちだが、メンタルとの関連については違う効果があるのかもしれない。

 

ってことでして、こりゃスポーツファンには嬉しい結果ですねー。

 

 

さて、ここで気になるのは「なんでスポーツ観戦でメンタルは改善するのか?」ってポイントでしょう。自分が体を動かせばメンタルが健全になるのはわかるけど、なんで観るだけでもOKなのか?ってなポイントですね。

 

 

この疑問についても研究チームは媒介分析をしてまして、

 

  • スポーツを観戦する人は友人の数が多く、メンタルが改善する理由の9.6~23.7%はそれで説明できる

 

みたいな結果になってました。人間の幸福を決める最大の要因が人間関係なのは周知の事実ですけど、スポーツ観戦がその一助になってるんだよーって話ですね。まぁひとりでスポーツ観戦するよりは、仲間とワイワイやってた方が楽しいですもんね。

 

 

ちなみに、この研究では「スポーツ観戦とメンタル」に関する先行研究も紹介されてまして、高齢者の方々に「プロ野球の試合を見に行ってみたら?」と勧める実験もあったそうで、2ヶ月の間に6回ほどスタジアムまで足を運んだ人たちは、抑鬱の症状が軽くなったって話があったそうな。

 

 

いずれにせよテレビを見るだけなら楽なんで、定期的にチェックしてみるのもいいかもっすねー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。