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【質問】筋トレのためのベストなウォームアップ法ってどんな感じですか?

 

 

こんなご質問をいただきました。

 

鈴木さんは筋トレのウォームアップをしてますか?私はウォームアップが必要だと思っているのですが、どのようなことをどれぐらいすればいいのかがわかりません。何か参考になることがあれば教えて欲しいです!

 

とのことで、筋トレのウォームアップは何を行うべきなのか、と。確かに、良いウォームアップは怪我のリスクを減らしてくれますし、筋トレのパフォーマンスを向上させてくれますんで、ちゃんとやっておきたいところです。

  

 

で、まず大前提として、ウォームアップは2種類に分けられます。

 

  1. 一般的なウォームアップ

  2. タスク特化ウォームアップ

 

一般的なウォームアップってのは、疲労を発生させずに体温を上昇させるのを目指すウォームアップです。サイクリングでも軽いジョギングでも何でもいいんですが、とにかく軽めの有酸素運動を行って、体温を上げていくのがポイントであります。

 

 

というのも、私たちの筋肉っては「温かいほうがよい」という前提がありまして、ほとんどの研究(R,R)では、筋肉の温度が高いほどパフォーマンスが上がりやすいって結論が報告されているからです。要するに、温かい筋肉は冷たい筋肉よりも性能が良く、怪我に強いってことですね。

 

 

たとえば、多くの人は、朝よりも夕方の方が「なんか筋トレのパフォーマンスが上がるな……」と思いやすいんですが、これは夕方のほうが筋肉の温度が高いので、そのおかげで速筋繊維が活性しやすくなるからなんですよ。その意味で、ウォームアップは欠かせない感じっすね。

 

 

でもって、もうひとつのタスク特化ウォームアップってのは、これからトレーニングする筋肉を活性化させるために行うウォームアップです。これから行う運動を事前に行うことでシミュレーションし、筋肉を万全に働かせるためのベースを作るわけですね。そのため、タスク特化ウォームアップを適切に行うためには、あなた自身が行うトレーニングの内容や、持ち上げる予定の重量によって大きく異なってきます。

 

 

では、具体的にどんなことをすれば良いのかと言いますと、

 

  • 一般的なウォームアップ最大心拍数の55%ぐらいのランニングやサイクリングで15~20分程度の軽い有酸素運動を行う。

 

  • タスク特化ウォームアップ:これから行う筋トレを、1セットあたり10~20レップが限界の重量で行う。これを2〜3セットぐらい続ける。

 

ぐらいに考えれば問題ないはず。まー、本格的なビルダーさんとかだと、この考え方だと不十分なところがあるんですが、我々のような市井のマッチョには、これぐらいで考えておけば問題ないんじゃないでしょうか。

 

 

そこで、以上の話をふまえて、具体的にどのような感じでウォームアップを行うのかと言いますと、以下のようになります。

 

 

たとえば、わりと気温が低い日の午後遅くに、筋トレをしているとしましょう。このような条件では、私の場合、1セットあたり10~20レップが限界の重量で筋トレを1〜2セットやるぐらいで済ませちゃうケースがほとんどです。すでに体もあったまっているので、一般的なウォームアップを行う意味はあんまないんですよ。

 

 

もしかしたら、5~10分ぐらいトレッドミルをやるケースもあるかもですが、私だったら一般的なウォームアップを省略して、そのままタスク特化ウォームアップから始めちゃいますね。なので、温かい日のウォームアップは、だいたい5分もあれば十分でしょう。

 

 

逆に、寒い時期に朝一番のトレーニングする場合は、15~20分ほどの有酸素運動を行なってから、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトなど、それぞれの種目で1セット20レップのウォームアップを2〜3セットぐらいやるかと思います。なので、寒い日の朝のウォームアップには、だいたい20分ぐらいはかかるはずであります。

 

 

ただ、全体的に言えることとしては、バイセップス・カールやマシンエクササイズみたいに、難易度が低いエクササイズを行う場合は、そこまでウォームアップ・セットをこなす必要はないってところです。こういった簡単なエクササイズを行う際は、ほとんどの場合、ウォームアップ・セットを2~3セット行えば十分でしょう。

 

 

また、すでに温まった筋肉のエクササイズを行う場合も、やはりウォームアップの必要性は低くなります。たとえば、懸垂を3~4セット行った後でダンベルローを行う場合、背中と上腕二頭筋はすでに十分に温まっているので、そのままトレーニングセットに入っても問題はありません。ここらんは、事前に鍛えた筋肉の部位とご相談ください。

 

 

さらに、筋トレのウォームアップというと、「どのようなストレッチをすればよいですか?」というご質問もいただくのですが、現時点では「やらなくていいですよ」とお答えしております。というのも、いまのところでは、ウォームアップのためにストレッチを行なってもほとんど効果がないって結論なので(これは動的でも静的を問わない)。ほとんどの研究(R)では、運動前にストレッチをやっても、ケガの予防にはほとんど効果がないし、筋トレのパフォーマンスにも有益な効果はないとされてますんで。

 

 

ってことで、上記のポイントをふまえて、正しいウォームアップを心がけていただければ幸いです。どうぞよしなにー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。