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人生をハードモードに変える「べき思考」はどうやって対策すべきか?問題

 


 

「べき思考」ってあるじゃないですか。「私は〇〇せねばならない」や「私は〇〇をすべき」みたいな考え方のことで、一説には、「メンタルヘルスを悪化させる根源」だとも言われております(R)。

 

事実、「べき思考」が多い人は、

 

  • こだわりがひどすぎて周囲の人とうまくやれない

  • 日常の不快感に耐えられずに、すぐに怒りまくる
  • 無駄に自分の能力を低く評価したりする
  • 逆に、無駄に自分の能力を高く評価したりする
  • ストレスフルな出来事から立ち直るのが苦手

 

といった特徴を持ってたりします。まぁ「べき思考」が多い人は、人生がルールでガチガチなんで、こういった問題が起きるのも当然と申しますか。

 

このような凝り固まった人生ルールの例としては、

 

  • 金を持ってるやつが偉い!税金を払うやつが偉い!
  • 成功してないやつは努力が足りない!
  • 他人は俺を尊敬すべきだ!なぜみんな俺を敬わないのだ!
  • 物事は私の思い通りになるべきだ!

 

みたいなのがあります。あくまで上記は誇張した例ですが、もう少し軽いレベルで、この手のルールに縛られている人は意外と多いと考えられてるんですよ。

 

当然、このようなルールがない人はメンタルが柔軟なので、自分の能力に対する信念が高まったり、幸福感が上がったりすることがわかっております。自分を無駄に縛るルールがないんだから当然ですよね。

 

では、この問題をどうすべきかってことですが、幸いなことに、認知行動療法の世界っでは、「練習すれば誰でもルール解除が上手くなる!」と言われたりします(R)。トレーニングをすれば、ルールから自由になれるわけですね。

 

ってことで今回は、「べき思考」を乗り越えるための、具体的なエクササイズをやってみましょうー。

 

 

ステップ1:「べき思考」を特定する

メンタルを柔軟に保つための第一歩は、自分の「べき思考」を特定することです。「べき思考」は、自分自身や他人に対して激しすぎる要求や期待を持つところから生まれがちで、「しなければならない」「絶対にしてはならない」「すべき」「~すべきである」「~できない」「~すべきでない」といった言葉をふくむことが多め。たとえば、

 

  • 仕事は完璧にやらねばならない。
  • 私は成功しなければならない。
  • 他人は私に敬意を払うべきだ。
  • 人々にもっとよく知られなければならない。
  • 会う人みんなに好かれなければならない。
  • みんな私によりそうべきだ。
  • どうせ人生はうまくいくのだ。

 

みたいな感じです。それでは、自分自身や他人、あるいは周りの世界に対して、自分がどんな要求や期待を持っているかを考えて、思いつくだけ書き出してみましょう。

 

 

ステップ2:「べき思考」を振り返る

続いて、まず自分の「べき思考」を振り返りましょう。前のステップで書き出した「べき思考」を見つつ、以下の質問に答えてみてください。

 

  • このゴリゴリにカッチカチなルールは、自分をどのような気分にさせるだろうか?焦り?怒り?憤り?

 

  • 私は、自分ではどうすることもできない要求を、他人や自分にしていないだろうか?

 

  • この人生のルールは、自分自身や他者に対して、どんな欲求や期待を生み出したのだろうか?

 

 

ステップ3:「べき思考」を柔軟な思考に置き換える

このステップでは、上記の「べき思考」に代わる、新しい柔軟な思考を作ります。そのために、自分が何を望むかを考えることで、非現実的な欲求や期待から離れること作業を行いましょう。

 

ここで重要なのは、「何が起こるべきか?」「何をすべきか?」を考えるのではなく、「何が起こるのが望ましいか?」を考えることです。

 

たとえば、「成功しないと意味がない」と考えている時は、「私は成功することを望んでいるけど、完璧な人間や誰からも好かれる人間はいないからなぁ。望むものすべてを手に入れることはできないし、それを他人に求めるのは無理ゲーだなぁ」と考えていく感じになります。「べき思考」の極端な部分を、いったん現実的な思考に変えてみるわけっすね。

 

その上で、自分や相手への要求ではなく、自分の好みや願望を考慮した、より柔軟な代替案を考えていくことになります。具体的には「では、このような状況の中で、自分はどうありたいだろう?」と考えて、紙に書き出してみると良いでしょう。

 

たとえば、↓みたいな感じです。

 

  • この試験に合格しなければならない!合格できなかったら人生の落伍者だ! → この試験には合格したいが、もし合格できなくても落ちこぼれってわけじゃないので、他の人と同じように間違いを犯すところを認めてやろう。

 

  • 私は成功しなければならない! → 成功したいけど、できなくても人生の終わりじゃないからなぁ。

 

  • 私は同僚に好かれるべきだ! → そりゃあ同僚には好かれたいけど、絶対に好かれる必要はないし、同僚に「好きになってくれ!」と言ってもしかたないしなぁ。

 

  • みんな俺の意見に賛同すべきだ! → 意見に賛同してくれる人がいたら嬉しいけど、意見の違いから良いアイデアが生まれることもあるからなぁ。

 

  • 私は間違いを犯してはいけない! → ミスはしたくないけど、しょせんは人間だからなぁ。

 

  • 物事は完璧でなくては! → 物事がうまくいけばいいけど、人生は予測不可能だし、すべてをコントロールすることはできないからなぁ。

 

  • 昇進しなければ! → ガチで昇進はしたいけど、そうならない可能性もあるから受け入れないとなぁ。ベストを尽くしてきたわけだし。

 

  • 今日中にToDoリストをすべて終わらせいと! →計画したことはすべてやり遂げたいが、思い通りにいかないこともある。とりあえず、いまのリストから、最も優先順位が高いものをピックアップして並べるかぁ。

 

 

ステップ4:柔軟な思考を振り返る

より柔軟な思考を考えたところで、最後にすべてを振り返ってみましょう。前のステップで自分が作った新しい思考について少し考え、以下のような質問を自分に投げかけてみてください。

 

  • この柔軟な思考で、自分はどんな気分になるだろうか?リラックス?解放感?モチベーション?

 

  • この柔軟な思考は、自分自身や他人に対して、より現実的な態度を取らせてくれるだろうか?自分や相手への態度はどう変わるだろうか?(「他人に怒らなくなる」「自己嫌悪が減る」など)

 

  • この柔軟な思考は、ストレスフルな状況において、自分にどんな新たな行動を起こさせてくれるだろうか?(「自分ができるところに集中する」「仲間に協力を仰ぐ」など)

 

 

ってことで、割とシンプルなエクササイズですけど、

 

  1. 「自分はどんな『べき思考』をすべきか?」と考える習慣をつける

  2. 「この『べき思考』をもっと現実的にしたら?」と考える習慣をつける

 

って2つの作業を心がけるだけでも、わりと人生の重荷が軽くなるんじゃないでしょうか。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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