今週の小ネタ:カフェイン+タウリンで運動パフォーマンスが上がる? ビーツジュースを飲むと最大酸素摂取量が上がる? カルノシンを飲むと筋肉の持久力がアップする?

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
カフェイン+タウリンで運動パフォーマンスが上がる?
「カフェインとタウリンをいっしょに飲むと、少量でも運動パフォーマンスが上がるかも?」って研究(R)が出ておりました。
カフェインとタウリンは、エナジードリンクではおなじみの組み合わせ。カフェインには覚醒作用があり、タウリンは筋肉の収縮に関わるんで、「両方を合わせれば運動に効くんじゃない?」と考えるのは自然な発想でしょう。
そこで研究チームは、平均19歳の男性32人を対象にした試験を実施。実験では、全員に次の4パターンをランダムな順番で試してもらっております。
- カフェイン2mg/kg
- タウリン10mg/kg
- カフェイン+タウリン
- プラセボ
平均的な参加者で考えると、カフェインは約160mg、タウリンは約800mgぐらいっすね。一般的なコーヒーには1杯あたり80〜120mgほどのカフェインが入っているので、カフェインの量はコーヒー1〜2杯分ぐらい。一方、過去のタウリン研究では2〜3gを使うケースが多いため、こちらはかなり控えめな量ですな。
で、参加者にはサプリを飲んでから60分後に、
- 30秒間の全力自転車こぎ
- 握力テスト
- 認知機能テスト
などに取り組んでもらったそうな。
で、その結果はどうだったかと言いますと、
- カフェインとタウリンを同時に飲んだ場合のみ、30秒間の自転車こぎにおける平均パワーが改善していた!
だったそうな。カフェインだけ、またはタウリンだけでは効果が確認されてないんで、両者の組み合わせが大事なんですかね。
ただし、すべての能力が向上したわけではなく、
- 瞬間的な最大パワー
- 握力
- 認知パフォーマンス
- 運動のきつさ
- 血中乳酸値
には有意な違いが出てないんで注意。つまり、カフェインとタウリンを組み合わせても、瞬発力の最大値が上がるわけではないし、頭の回転が速くなるわけでもなく、30秒間にわたって高い出力を維持する能力は少し改善するかもしれない、って結果ですな。なので、短時間の全力運動を何度も行う競技や、最後まで出力を落としたくない場面では、試してみる価値があるかもっすね。
ビーツジュースを飲むと最大酸素摂取量が上がる?
「ビーツジュースを飲むと、最大酸素摂取量がちょっと上がるかも?」ってメタ分析(R)が出ておりました。ビーツは赤紫色をしたカブのような野菜で、スポーツ界では昔から「持久力アップに使えるかも?」と注目されております。
というのも、ビーツには硝酸塩がたくさん入ってまして、こいつが体内で一酸化窒素に変わり、血管を拡張したり、筋肉への酸素供給を助けたりするんですよ。そのおかげで、同じ運動を少ない酸素でこなせるようになり、有酸素運動の能力が上がるのではないかと考えられているわけです。
で、今回の研究は、過去に行われた38件のランダム化比較試験をまとめたもの。参加者は合計703人で、趣味で運動をしている人からエリート選手までが含まれてたそうな。
実験で使われたのは、硝酸塩を豊富に含むビーツジュースでして、多くの研究では6.4〜12.8mmolの硝酸塩が使われており、
- 運動前に1回だけ飲む
- 3日以上にわたって毎日飲む
という2つのパターンがあったらしい。比較対象には、硝酸塩だけを取り除いたビーツジュースが主に使われております。
そこで、分析の結果がどうだったかと言いますと、
- 硝酸塩を含むビーツジュースを飲んだグループでは、プラセボに比べてVO2maxが向上していた。
だったそうな。VO2maxは「最大酸素摂取量」と呼ばれる指標で、激しい運動中に身体がどれだけ多くの酸素を取り込んで利用できるかを表しております。数値が高いほど、ランニングや自転車などの有酸素運動を続ける能力が高いんですな。
ってことで、ビーツジュースは良さそうな気がするわけですけど、改善幅はあくまで小さいので、実際に飲むべきかどうかと言うと悩ましいところではあります。まぁ、VO2maxはトレーニングを積むほど大きく伸ばしにくくなるので、わずかな改善でも競技者には意味があるかもですが。
ちなみに、今回の分析では、ビーツジュースを運動前に1回だけ飲むよりも、少なくとも3日間、毎日続けて飲んだ場合のほうが効果が大きい傾向があったので、大会や長距離イベントで使うなら、当日に初めて飲むより、数日前から継続したほうがよさそうっすね。「あと少しだけ有酸素能力を伸ばしたい」という場合には、試す価値があるかもですんでー。
カルノシンを飲むと筋肉の持久力がアップする?
「カルノシンを飲むと、筋肉の持久力がアップするのか?」って問題を調べたRCT(R)が出ておりました。
簡単におさらいすると、カルノシンは、βアラニンとヒスチジンという2つのアミノ酸から作られる物質で、特に筋肉に多く含まれております。この成分には、筋肉内の酸性化をやわらげる働きがあるため、「サプリで補給すれば疲れにくくなるのでは?」と考えられてきたわけです。
で、今回の研究に参加したのは、平均45〜48歳の成人283人。研究チームは、参加者をランダムに、
- カルノシンを毎日2g飲む
- プラセボを毎日飲む
という2つのグループに分け、12週間にわたって変化を調べたんだそうな。そのうえで、開始から6週間後と12週間後に、
- かかとの上げ下げを何回続けられるか
- 握力がどれぐらいあるか
- ステップ運動をどれぐらいこなせるか
- どれぐらい速く歩けるか
といった身体パフォーマンスを測定しております。
では、結果はどうだったかと言いますと、残念ながら「カルノシンには明確な効果がない!」って結果だったそうな。6週間後と12週間後のどちらを見ても、握力や歩行速度には違いが確認されなかったみたいなんですよ。今回の結果を見る限り、運動習慣のない一般的な成人がカルノシンを2g飲んでも、目に見える運動効果は得られなさそうですな。
ただし、ここで注意したいのが、今回調べたのはあくまで「カルノシンだけ」だってところです。スポーツサプリの世界では、筋肉内のカルノシンを増やしたい場合は、βアラニンを摂取するほうが一般的ですからね。βアラニンはカルノシンの材料でして、こちらのほうが筋肉内のカルノシン濃度を効率よく高めることが知られてますんで(通常は1日4〜6.4gほどを使う)。
個人的にも、βアラニンは研究の蓄積が多いので、筋肉内のカルノシンを増やすことが目的なら、βアラニンを使いますかねぇ。


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