今週の小ネタ:ホットヨガでうつ症状が改善?牛乳やチーズは低脂肪を選んだほうが健康にいい?ポリフェノールで悪玉コレステロールが上がる?

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
ホットヨガでうつ症状が改善?
「ホットヨガをやるほど、うつ症状が改善するかも?」って研究(R)が出ておりました。これは、過去に行われたRCTのデータを使った二次分析で、対象になったのは中等度〜重度のうつ症状がある65人。平均年齢は33歳で、女性が82%を占めております。
参加者が行ったホットヨガは、
- 室温約40.6℃
- 1回90分
- 週2回まで
- 8週間
って感じで、なかなか本格的な内容になってますね。
で、研究チームが「ホットヨガに通った回数が多いほど、うつ症状も改善するのか?」ってのを調べたところ、
- ホットヨガに1回多く参加するごとに、うつ症状のスコアが0.72ポイントずつ低下していた!
って感じだったそうな。参加者全体では、8週間でうつ症状のスコアが平均13.4ポイント低下してまして、こいつはなかなか期待できそうな数字っすね。
まぁ今回の分析は参加者が65人しかいないし、「ヨガそのもの」が効いたのか、「暑さ」が効いたのか、それとも両方の組み合わせが重要なのかもわからないんで、そこは注意。さらに、途中で測定できなかった人のデータを「最後に測った値で代用する」という方法も使ってるんで、これが効果を大きめに見積もった可能性もあるでしょうな。
なので、「ホットヨガはうつに効く!」と断言するにはまだ早いものの、個人的には運動+熱という組み合わせは面白いよなーと思ってたりします。運動がメンタルに良いのは常識だし、最近はサウナや温浴のような「体を温める刺激」も気分の改善に効くのでは?って研究が増えてますからね。ホットヨガはその2つを同時にやるんで、効果があっても不思議じゃないよなぁ、と。
牛乳やチーズは低脂肪を選んだほうが健康にいい?
「牛乳やチーズは低脂肪を選んだほうが健康にいいの?」って問題を調べたRCT(R)が出てまして、これがなかなか面白かったです。一般的な食事のアドバイスでは、「乳製品を食べるなら低脂肪や無脂肪を選ぼう!」と勧められることが多いんですが、これは果たして正しいのかってことですな。
この研究は、BMI29ほどの成人74人を対象にしたもので、全体を以下の3グループに分けたそうな。
- 1日500kcalを減らしつつ、低脂肪乳製品を最大1食分は食べる
- 1日500kcalを減らしつつ、全脂肪乳製品を3食分ずつ食べる
- カロリー制限なしで、全脂肪乳製品を3食分
全脂肪乳製品として使われたのは、牛乳、ギリシャヨーグルト、チーズなどで、12週間にわたって上記の食事を続けてもらったそうな。
で、結果がどうだったかというと、
- 体重にはどのグループも大きな変化なし!
- さらに、血中脂質、血圧、HbA1cについても、グループ間ではっきりした差は確認されなかった!
って感じだったらしい。つまり、この研究では、全脂肪の牛乳やヨーグルト、チーズを1日3食分食べても、低脂肪乳製品より明確に悪い結果にはならなかったわけです。
まぁ、これは理解できるところで、牛乳の脂肪ってのは特殊な膜に包まれてて、そのおかげで、飽和脂肪による血中脂質への悪影響が抑えられてるんですな。また、チーズや牛乳にはカルシウムなども含まれるため、同じ飽和脂肪でも体への影響が変わるかもしんないわけっすね。
実際のところ、過去の試験では、バターとかはチーズや牛乳よりLDLコレステロールを上げやすい傾向が確認されてたりします。このような違いが起きるのは、バターの製造過程で牛乳のような膜が消えちゃうからなんでしょうな。
そう考えると、全脂肪の乳製品は、低脂肪の乳製品より身体に悪いってことはなさそうですが、現時点での結論としては、「牛乳、ヨーグルト、チーズまで無理に低脂肪にする必要はなさそうだけど、だからといって飽和脂肪を気にしなくていいわけではないよなー」って感じになるんでしょうな。
ポリフェノールで悪玉コレステロールが上がる?
「ポリフェノールのサプリを飲んだら、なぜかLDLコレステロールが上がった!」という、ちょっと不思議な研究(R)が出ておりました。
これは閉経後の女性78人を対象にしたランダム化クロスオーバー試験で、平均年齢は53歳。参加者には8週間にわたって、
- エラグ酸:312mg
- レスベラトロール:133mg
- 大豆イソフラボン:166mg
を含むポリフェノールサプリか、プラセボを毎日飲んでもらったんだそうな。
で、その結果がちょっと変わってまして、
- ポリフェノールサプリを飲んだときは、LDLコレステロールが約10%増加し、中性脂肪も約16%増加していた!
- 一方ではアポリポタンパクB(ApoB)は約11%低下していた(ただし、こちらは統計的有意差にはわずかに届いていない)
って感じだったんだそうな。これだけ見ると、「え、ポリフェノールって健康にいいんじゃないの?」って気持ちになりますな。
しかし、ここでポイントなのが、LDLコレステロールとLDL粒子の数は同じものではないってとこです。LDL-Cは「LDL粒子の中にどれだけコレステロールが入っているか」を見るのに対して、ApoBはざっくり言えば「動脈硬化を起こしうる粒子がどれぐらいあるか」を反映するんですよ。
なので、今回みたいにLDL-Cが上がった一方でApoBが下がる場合、LDL粒子の数そのものが増えたというより、ひとつひとつの粒子が大きくなってコレステロールを多く運ぶようになったかもしれないんですよ。なので、単純に「LDLが上がったから悪い!」とは言い切りにくい結果になってるんですよね。
ってことで、実に解釈が難しい研究ですが、現時点では、
- ポリフェノールサプリでLDL-Cが上がるケースがあっても、それだけで心血管リスクが悪化したとは判断できない。血中脂質はLDL-CだけでなくApoBなども合わせて見る必要がある
ぐらいに考えるしかないかなぁ……ってところですね。健康診断でLDLだけ見て一喜一憂しがちな人には、なかなか示唆的な研究ではないでしょうか。


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