現代人と狩猟採集民の運動量は実は変わらない?
「現代人は運動をしないから太る!」「ダラダラせずにエクササイズだ!」 なんてことをよく言いますが、ここでは「どうしても痩せないのはカロリー消費が少ないからじゃない!」という話を書きます。
狩猟採集民のカロリー消費は現代人とあまり変わらない?
ご紹介したいのが、タンザニアのハッツァ族を調べた2012年の研究。この部族、いまも狩猟採集の暮らしを続けておりまして、ほぼ石器時代と同じライフスタイルを維持しているんですな。
参考:Hunter-Gatherer Energetics and Human Obesity
もちろん、部族の全員が超健康体。体脂肪が少なく骨も頑丈な理想のボディで、糖尿や肥満のような現代病とは無縁なんだそうな。
こちらがハッツァ族の男性。これだけ健康体なのだから、さぞや大量のカロリー消費しているに違いない……、と思いきや調査の結果はまったく違いました。ハッツァ族の1日のカロリー消費量は西洋人とほぼ同じだったんですな。うーん、びっくり。
もっとも、ハッツァ族は1日にかなりの量を歩くので、「運動しなくてもOK!」って結論にはなりません。研究者も「運動が健康にいいのは間違いない」と言ってますし。ただし、少なくとも「運動でカロリーを消費しないから太るんだ!」ってのは間違ってそう。
狩猟採集民の食事は超理想的!
理想のボディと運動の関係が薄いなら、肥満の原因は1つしかありません。食事ですね。ハッツァ族を調べた研究者も、「カロリーが高いくせに栄養のない加工食品が、現代人の代謝をおかしくしているんだろう」と推測しております。
そこで参考になるのが、原始人の栄養状態を調べた2014年の研究。狩猟採集民が暮らしていた地域で手に入る野菜や動物をチェックしたところ、健康の維持に必要なビタミンやミネラルがメチャクチャ豊富なことがわかったんですな。
つまり、体脂肪の少ない体を持ちたいなら運動よりもまずは食事に気を配れ!というのが結論。また、ハッツァ族の研究を見ると、健康の維持にハードな運動は不要で、ウォーキング程度の軽いエクササイズでも十分なことがわかります。
ちなにみ、いま私が実践しているパレオダイエットも「狩猟採集民は現代人よりも健康だった!」という考古学の発見がベースになっております。といっても、現代で石器時代の食生活を再現するのって、かなり難しいんですけどね…。