ドーパミンを減らして「先延ばし」を有効に使うための10分ルール
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「先延ばし」をする人は心臓病の発症率が高いなんてデータもあるとおり、とかく評判が悪いのがダラダラ癖。しかし、2011年の論文(1)によれば、「先延ばし」を良い方向に使うことも可能らしい。
これはエラスムス・ロッテルダム大学の実験で、学生たちの目の前にお菓子を置いた状態で、映画を見てもらったんですね。その際、全員には以下の2パターンの指示が出まして。
- 「絶対にお菓子を食べないでください」と言う
- 「映画が終わったらお菓子を食べてもいいです」と言う
で、映画の上映後に学生たちへ「お菓子を好きなだけどうぞ」とすすめたところ、2番めの「映画が終わったら食べてもいい」と言われたグループのほうが、お菓子に手を出す確率が低かったんだそうな。
こういった現象が起きるのは、何か欲しいものを目の前にすると、人間の脳にはドーパミンがドバドバと出るから。ご存じのとおり、ドーパミンは人間に欲望をあたえる物質で、やる気を出すためには大事な要素なんですが、出すぎちゃうと自己をコントロールできなくなっちゃう。
このドーパミンは、脳が危機感をおぼえるほど出やすい傾向がありまして、お菓子を目の前にした学生たちも、「絶対に食べちゃダメ」と言われたほうが分泌量が増えてしまったみたい。
が、研究者によれば、ドーパミンの欲望アップ効果が続くのはおよそ10分間ほど。この時間さえ耐え切ればドーパミンの支配力はやわらぐんだそうで、「映画が終われば食べてもいい」と言われた学生たちは、欲望を先延ばししたおかげで自己コントロール能力を取り戻せたわけですね。
そんなわけで、先延ばしを有効に使うには、
- カロリーが高いものを食べたくなったら「10分だけ待ってみよう」と言い聞かせる
- エクササイズを途中でやめたくなったら「10分だけ続けてみよう」ともう少し頑張る
といった感じで、とにかく10分だけ決断を引き伸ばしてドーパミンの作用が減るのを待つのが有効っぽい。このあたりは、以前に紹介した「テトリスでダイエットができる」って研究と原理は同じですね。
ちなみに、哲学方面からみた「先延ばし」のメリットにかんしては、「スタンフォードの哲学教授が明かす、正しい『先延ばし』の技術」なんかもあわせてどうぞ。
credit: Darwin Bell via FindCC