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ポジティブの罠にハマらないための、正しいプラス思考の使い方

Positive

  

 ポジティブ思考のメリットが怪しくなってきた昨今ですが…

つい最近、カナダのポジティブ心理学協会がカンファレンスをやってたんですが(1)、そこでバーバラ・フレデリクソン博士が「ポジティブに優先順位をつけよ!」ってスピーチをしていて、なかなか勉強になりました。博士はポジティブ心理学界の大御所のひとりであります。

 

 

今回のスピーチがおもしろいのは、ここ数年で出てきた「ポジティブ思考ってヤバいんじゃない?」ってデータに関して意見をのべたとこ。たとえば当ブログで取り上げた話だと、

 

 

なんて話を取り上げてきました。いずれのデータも、ポジティブ思考のせいで努力をしなくなり結果として成功から遠ざかってしまうんだよーって話であります。



 

ポジティブ思考のダークサイドをまとめると

さらに近年では「ポジティブな感情を追うのもヤバい!」ってデータがありまして、

 

 

などで具体的な論文を紹介しております。ざっくり言うと、「自分は幸せか?」とか「自分はポジティブか?」にこだわっちゃうと、逆に自分のダメな側面に意識が向かいやすくなり、そのせいでメンタルをやられちゃうわけですね。

 

 

つまり、ポジティブ思考のダークサイドをまとめると、

 

  • ポジティブ思考で現実から目をそむけてしまう
  • ポジティブを追いすぎて現在の不幸が際立ってしまう

 

の2点が大きなポイント。ひとくちにポジティブといっても、なかなか微妙なバランス感覚が必要だったりするんですな。

 

 

ポジティブ思考のダークサイドから逃れるには? 

で、この問題に対してフレデリクソン博士が主張するのが、

 

  • つねにポジティブでいようとするのではなく、自然とポジティブな感情がわくように自分を誘導せよ!

 

って話であります。

 

 

要するに、ネガティブな感情にさからって、強引に自分をポジティブに変えようとするのは逆効果だし時間と労力のムダ。そのかわり、ムリをしなくても自然とポジティブな状態になれるように、自分の行動や環境をコントロールしていきましょうって考え方ですね。

 

 

その方法としては、2007年にジョン・グロス博士が提唱した「感情統制モデル」(1)が参考になるとのこと。具体的には以下の5つです。

 

  • 状況セレクト:自分がもっとも気分よくいれそうな状況に身を置けるようにがんばる。大自然のなかでバカンスとか。
  • 状況組み換え:イヤな状況の枠組みを変えてしまう方法。恥ずかしい失敗をジョークでごまかすとか。
  • 注意の再配置:ネガティブな状況から注意を別の対象に向け直す方法。ダイエット中の空腹をゲームでごまかすとか。
  • 認知チェンジ:ネガティブな状況の解釈を変える。「不安」を「興奮」だと考え直してみたりとか。
  • 反応組み換え:ネガティブな感情の体験のしかたを変える。怒りを感じたら深呼吸をしてみたりとか。

 

これらのテクニックを使って、自然とプラスの感情になれる確率を高めていくのが大事なんだ、と。確かに、これならポジティブ思考のダークサイドにはハマりにくそうですな。

 

 

というわけで博士がオススメしているのが、

 

  • 毎日のToDoリストに、必ず1個はプラスのタスクを登録しておく

 

って方法であります。「7時から飲む!」でも「猫と遊ぶ!」でも「散歩する!」でもいいんで、義務的なタスクだけじゃなくて、とにかく自分が楽しくなれるものを入れておくと吉。これを何度かこなしていくうちに、自分を誘導していくのがうまくなっていくそうな。

 

 

そういえば、わたしも「猫と遊ぶ」や「瞑想30分」ってタスクは昔から登録してたりしました。知らぬうちに自分の感情を誘導しようとしてたんだなぁ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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