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今週の小ネタ:恋人と破局するSNSの使い方、なぜ汚部屋は発生するのか?、フェイクニュース対策ゲーム

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

SNSに個人的な情報を流しまくってると恋人と破局するぞ!

 

まずはカーネギーメロン大学の研究(R)で、「SNSに個人的な情報を流しまくってると恋人と破局するぞ!」みたいな内容になっております。

 

 

ここでは5つの実験が行われていて、たとえばひとつめのデザインはこんな感じです。

 

  1. 114人の男女を集め、「どれぐらいネット上に自分の情報を出しているか?」を尋ねる
  2. 専用の質問紙(PRQC)を使って、いまの恋人との主観的な関係性を調べる

 

って感じでSNSとパートナーシップの相関を調べたところ、

 

  • SNSで個人的な情報を出せば出すほど恋人との関係は悪化した!
  • が、友人関係には何の悪影響もなかった!

 

との傾向が確認されたらしい。ここでいう個人情報ってのは、「今日は悲しい!」みたいに感情を伝えるものだったり、「今日はタピオカ食べた!」みたいに日々の平凡なイベントだったりとか、ごく普通の書き込みのことです。これぐらいなら日常的にアップしてる人は多そうっすね。

 

 

研究チームいわく、

 

ただし、個人情報系のポストに自分のパートナーの情報も組み込んでいれば、ふたりの関係性に悪影響はおよぼさない(ちゃんと「パートナーと飲んだ」や一緒の写真を投稿する、など)。これは、逆にふたりの親密さを増す方向に働く。

 

とのこと。どうやら自分だけの情報をアップすると、パートナーが疎外感を覚えてしまうのが原因みたいっすね。まぁ当然といえば当然な結論ではありますね。

 

 

 

なぜ汚部屋は発生するのか?

 

続いてはバース大学の研究(R)で、「なぜ汚部屋は発生するのか?」がテーマになってます。

 

 

これは55人の男女を対象にした研究で、そのうち半数は「なかなか物が捨てられなくて……」って問題に悩んでいる人を集めたらしい。どんな実験だったかと言いますと、

 

  1. みんなに「最後に家の物を捨てた時のことを思い出してくださいねー」と指示
  2. その後、「物を捨てられない人」と「普通に捨てられる人」の内面にどんな違いが出たかを調べる

 

みたいな感じです。そこでどんな違いがあったかと言いますと、

 

  • どちらのグループも、物を捨てる時には「買った時のポジティブな思い出」が呼び起こされていた
  • が、物を捨てられる人はその思い出を捨て去ろうと試みるのに対し、捨てられない人は逆にポジティブな記憶に浸ってしまう傾向があった

 

だそうです。誰にでも物と良い記憶を結びつける傾向はあるものの、どうも「物を捨てられない人」たちは、その思い出を他の人よりも楽しみすぎちゃう傾向があるそうな。ある意味で幸せな感じもしますね。

 

 

が、研究チームいわく、

 

物を捨てられない傾向は、行き過ぎれば心の障害になるし、その人の感情や健康に被害をおよぼす可能性もある。

 

ポジティブな記憶が邪魔をして物が捨てられない時は、その記憶のカウンターになるような代理記憶を思い起こさせるのが有効だろう。

 

とのこと。以前に「不要な物が処分できないなら写真に撮れ!」ってテクニックもありましたが、ここではさらに積極的に記憶へ介入するように主張してますね。

 

 

カウンターになる代理記憶ってのは、たとえば「昔買ったソファには恋人との良い記憶が……」みたいな場合は、

 

  • 現時点でいかにソファが生活のジャマになってるか
  • ソファの汚れがいかに美観を損ねているか

 

といった事実を何度もぶつけていくようなことを意味します。ちょっと認知行動療法っぽいとこもありますね。

 

 

 

ケンブリッジ大学が作ったフェイクニュース対策ゲームがおもしろい件

フェイクニュースを覆すのは超難しい!ってのが今の心理学の結論だったりしますけど、「なんとかなるかもよ?」と主張する論文(R)が出ておりました。

 

 

これはケンブリッジ大学の研究で、2018年に「Bad News」というオンラインゲームを作り、その効果を確かめたものです。「Bad News」はボットと対話形式でを進めていくゲームで、プレイヤーは何をするかというと、

 

  • ボットの指示に従ってフェイクニュースをバラ巻こう!

 

って内容になってます。実際にやってみるとわかりますが、「偽トランプ大統領のツイートをリツイートしてフォロワーを稼ごう!」とか「他人の感情を煽るようなニュースサイトを作ろう!」といった指示が出てきて笑ってしまいました。要するに、典型的なフェイクニュースのやり口を学ぶことで偽情報への免疫をつけよう!みたいな考え方なわけですね。

 

 

で、このゲームをプレイしたユーザーたちに、情報を見る目が変わったかどうかのアンケートを行ったところ、

 

  • ゲームで遊んだ人は、フェイクニュースを信じる確率が21%低下した!

 

だったそうです。詐欺にだまされないためには、詐欺師の基本的な手口を学ぶのがいいのは当たり前ですもんね。

 

 

このゲームは英語ですけど、かなり良くできてますので、フェイクニュースの手口を知りたい方などはプレイしてみてくださいませ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。