メールでの頼みごとは、対面よりも死ぬほど効果が低い!という実験の話
「メールでの頼みごとは死ぬほど効果が低い!」ってデータ(R)がおもしろかったんでメモ。ちょっと考えただけでも、メールよりは対面で頼みごとをしたほうが成約率が高そうな印象がありますけど、その影響力の差はケタ違いらしいんですな。
これはコーネル大学などの研究で、45人の男女に対して「見知らぬ人たち10人に声をかけて、アンケート調査を頼んでみてくれません?」と指示したんだそうな。その際に全体を2つのグループに分けまして、
- メールで依頼する
- 直に顔をつきあわせて依頼する
って感じでどんな違いが出るのかをチェックしたらしい。もちろん、どちらのグループも、まったく同じ内容の依頼をするように指示しております。
それで、何がわかったのかと言いますと、
- どちらのグループも、最初は「10人のうち5人くらいはアンケートに答えてくれるだろう」と考えていた
- メールで依頼した場合は平均して10人中0.3人しかリクエストに応じなかったが、対面リクエストの成功率は10人のうち8人だった
ってことで、相当な違いが出てますね。
この研究では、似たような実験をいろいろ行っていて、「見知らぬ人に文書の校正作業を頼む」みたいな指示も出してるんですが、結果はいずれもおんなじ。メールよりも対面で依頼したほうが、30倍近く成功率が高かったんだそうな、
なんだか凄まじい差ですけど、その理由は簡単で、メールで断るよりも対面でノーと言うほうが気まずいからです。そりゃあ対面で相手の依頼を断るほうがエネルギーは必要ですもんね。
研究チームいわく、
初対面の人と接するときは、気まずさや恥ずかしさを避けたいものです。しかし、メールではその感覚を回避することができるだろう。実際のところ、友人とのやり取りでさえ、参加者の50%が頼みごとには電子メールを使うと答えている。
「見知らぬ人に対面で頼む」と「メールで友人に頼む」という2つの手法を比べた場合は、前者の方がはるかに効果的だと考えられる。対面をやめて電子メールを使おうと決めた瞬間、友人の人に頼もうが初対面の人に頼もうが、成功率は低くなってしまう。
とのこと。とにかく対面でものごとを頼まれると、人間は断りにくくなってしまうんだ、と。
メールの効果が低いのは、信頼間を築くのに向いていないからだ。メールで頼みごとをされると、多くの人は『本当に真剣な頼みなのだろうか? なぜ直接私に尋ねてこないのだろうか?』と思ってしまい、最後は無視にいたるのだ。信頼は共感につなが、それは対面でしか培われないものだ。
メールで依頼する方が便利で楽なことが多いが、その有効性を過大評価してしまうと、マイナス面を認識せずに、影響力の弱い手段を選ぶことになりかねない。
まぁ学生だけを対象にした研究なんで、ビジネスのセッティングなどでも追試する必要はあるでしょうが、対面とメールでは30倍以上の効果の差があるのかも?と思っとくのは有用でしょうね。お気をつけください。