サプリで寿命は伸びるのか?それとも逆に寿命が縮んだりはしないのか?問題
サプリにはどこまで意味があるのか?ってのは難しい問題で、いまんとこの見解はと言いますと、
- 一部を除いて、ほとんどのサプリは健康な成人には無意味なことが多い
- ただ、食事のバランスなどが原因で特定の栄養素が足りない人には有効かも
- しかし、一部には体にダメージがあるサプリもあるので注意が必要だろう
ぐらいの感じじゃないでしょうか。普通に健康的な食事をしてる限り、まぁサプリには意味がないと考えたほうが無難ではありましょう(もちろん一部には例外もあるんで、そこらへんの判断はムズいんだけど)。
ってことで、近ごろ出版されたデータ(R)は、「サプリで寿命は伸びるのか?(それとも逆に縮んだりするのか)」って問題に取り組んでて有益でした。
これはタフツ大学による観察研究で、27,000人以上のアメリカ人を追いかけたデータセットを分析した内容になっております。具体的には、
- アメリカ国民の死亡データ
- 普段の食事とサプリメントの使用量
などをまとめていて、サプリメントの使用と全死亡率、癌のリスク、心疾患リスクを調べた前向コホート研究っすね。
その結論から要点をピックアップすると、まず大きな結論はこんな感じです。
- サプリでは寿命は伸びないが、「良い食事」から特定の栄養素をちゃんと摂取した場合は、全死亡率が下がる
というわけで、サプリと普段の食事で同じようにビタミンやミネラルをとっていても、なぜかサプリにはメリットが見られず、食事でのみ寿命が伸びる傾向があるらしい。「栄養は食事でとろう!」ってのはこのブログではおなじみの話ではありますが、ここでも似た結論になりましたね。
さらに、重要な知見を並べておくと、
-
サプリメント摂取と死亡リスク低下との間に相関はなかった
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過剰なカルシウムの摂取(1日1,000mg以上)は癌による死亡リスクの増加と相関していた (ただし食事からカルシウムをとった場合は安全)
- ビタミンKおよびマグネシウムの十分な摂取は死亡リスクの低下と相関していた(ただし食事から栄養をとった場合に限る)
- ビタミンA、ビタミンKおよび亜鉛の十分な摂取は、心血管疾患による死亡リスクの低下と相関していた(ただし食事から栄養をとった場合に限る)
みたいになってます。やっぱカルシウムについてはイマイチな結果が出てますねぇ(1日1000mg以上も飲む人は少ないような気がしますけども)。
研究チームいわく、
一部の研究では、過剰な栄養摂取と癌リスクの増加などの悪影響の関連が明らかにされている。今回の結果は、サプリメントの利用は栄養摂取量の増加に寄与するものの、有益な相関は食品からの栄養素ににしか見られないという考えを支持している。
とのこと。まぁサプリメントの長期的な効果を調べるのは超難しいので、この結論をどれぐらい信じるかは難しいところです。あと、「絶対的な栄養が足りない人にはサプリが有効」って考え方については相変わらず有効なままですんで、そこはご注意ください。
ちなみに、「なんで食事とサプリで効果が違うの?」ってあたりは非常に気になるとこですけど、現時点では「謎ですなぁ」とか言いようがない感じ。いちおう「サプリだと吸収率が悪いから?」って考え方はあるんですけど、これが原因なのかどうかはまだ実証されてないままであります。
あと、ちょっと気になるところとしては、
- サプリメントを使っている人のデータを見ても、特定の微量栄養素の摂取量はアメリカ政府の推奨量を下回っている
みたいなとこもありまして(表2のところ)、「うーん、これだとサプリの効能は正確に反映されてなさげだなー」とも思ってたりはします。
まぁそうは言っても、サプリで長期的に大量の栄養をとるのが良いとも思えないので、「基本的には栄養は食品から摂取する!」と考えておくのが最も安全策なのは間違いないでしょうなぁ。