今週半ばの小ネタ: ニンニクとリウマチ、食物アレルギーにハーブ、マインドフルネスがメンタルに効く理由
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
ニンニクがリウマチに効くかもだ!
「ニンニクは素晴らしい!」って話はよく書いていて、抗炎症作用と免疫の調整機能についてはすでに一定の評価があると言っていい感じ。
で、新たなデータ(R)は、「ニンニクの強力な抗炎症が関節リウマチに役立つぞ!」って話になってました。これは8週間のRCTで、中から重度のリウマチに悩む女性70名を、
- 1gのニンニクサプリを毎日飲む
- プラセボサプリを毎日飲む
って2つのグループに分けて、その前後に症状がどう変わったかを評価してます。
結果、ニンニクを摂取したグループは、CRPやTNFαといった体内の炎症サインが改善したのに加えて、主観的な関節のこわばり、痛み、疲労も減ったんだそうな。リウマチは炎症による痛みが出る症状なので、やはりニンニクは効くのかもですねー。
ただし、この実験そのものはよくデザインされてると思うんですが、
- 長期的にサプリを飲み続けても効果が維持されるかどうかは謎
- テストに参加した人たちの全員が複数の免疫抑制剤を服用していたので、あくまでニンニクは補助的な治療として役立つ可能性しか示唆されてない
ってあたりは重要なポイントなので、お気をつけくださいませ。
食物アレルギーにハーブやプロバイオティクスは効くのか?問題
食物アレルギーは悩ましい問題で、なかなかこれといった対策がないのが現状だったりします。一説には子供と大人の最大11%が食物アレルギーに悩んでると言われていて、貝類、牛乳、ピーナッツ、木の実、魚などが一般的っすね。いまのところはアレルギーを引き起こす食品を避けるか、脱感作の方法を使うのが定番かと思います。
そこで新しいデータ(R)は、「ハーブやプロバイオティクスが効くのでは?」って指摘をしていて、参考になりました。これは食物アレルギーの予防と治療に関する過去のデータをまとめたレビュー論文で、いまんとこハーブとプロバイオティクスについてはヒト臨床試験がほとんどないんで、大部分は動物モデルか生体外研究をチェックしてます。
そのポイントをまとめておくと、
- ある種の海藻類には、アレルギー反応を抑制する可能性がある
- いくつかのハーブ(茜草根、エゾカワラナデシコ、FAHF-2、紅参、リンゴエキス)などにも可能性がある
- プロバイオティクスについてはヒトのデータがあるものの、いまんとこ結果がバラバラだし、免疫系の過剰刺激リスクがある
みたいになります。ヒト試験ではサポートされてないので、まだなんとも言いづらいのが現状ではありますが、とりあえずガラクトオリゴ糖とイヌリンあたりは摂っておいてもいいんじゃないかと思ったりしますね。
なぜマインドフルネスは不眠・うつ・不安に効くのか?
マインドフルネスのメンタル改善効果はそこそこ認められつつある昨今。まだまだ質が高い研究は少ないのが難点なんだけど、まぁ不安や抑うつ、睡眠などの問題には一定の効果があるだろうと思っております。
で、新たなデータ(R)もマインドフルネスに関する調査で、
- マインドフルネス何が不安や睡眠の改善に効いてるのか?
- 他の人よりもマインドフルな人は何が違うのか?
ってな2つの点をチェックしてくれてます。Genesis 12-19っていう有名な双子研究のデータを使ってまして、1999年から双子のペア、双子以外の兄弟ペア、またはその両親を対象に862人から集めた記録を分析してます。
この研究、もともとは思春期のうつ病と遺伝子と環境の関係を調べるのが目的だったんですけど、チェック項目にマインドフルネスレベルがふくまれてたんですよ。ここではマインドフルネスを5つのサブグループに分けていて、
- 自分の内面に反応しない性質
- 自己を観察する性質
- 自分の行動を意識できる性質
- 自分の内面を言語化できる性質
- 自分の内面を善悪でジャッジしない
って要素ごとに影響を見てます。その結果はと申しますと、
- マインドフルネスのレベルが高い人ほど、不眠症、抑うつ、不安感が低い傾向があった
- マインドフルネスの要素のなかでは、特に自分の内面を善悪でジャッジしない傾向が、不眠症、抑うつ、不安感の低下と相関していた
- 個人のマインドフルネスレベルは、遺伝的よりも友人関係や職場・学業環境などの影響を受けていた
みたいな感じです。つまり、ここから教訓を引き出すならば、
- マインドフルネスをメンタルに効かせたいならば、自分の思考と感情を判断せずにほっとく態度を養うのがいいのかもしれない
- マインドフルネスは周囲の仲間の影響が大きそうだから、付き合う人たちは選ぼうね!
みたいになりましょう。結構大事なポイントっすね。