「遊び心」は人間の幸福に欠かせないが、果たしてトレーニングで伸ばせるのか?みたいな実験の話
「最高の体調」では「遊び」なんて章を作りまして、「遊び心が大事だよー」みたいなポイントを強調しております。「遊び」のメリットについては、以前に書いたエントリなどを参考にしていただくとてして、
- もともと人類は「遊び」のなかでサバイバルの技術を学ぶように進化してきた
- なので、遊ばないと人間はメンタルがよどむようにできている……のかも
ってあたりは押さえておくといいかもしれません。とにかく子供だけじゃなく私のようなオッサンほど遊び心は大事。
で、新しいデータ(R)は「1日15分のトレーニングで遊び心が高まるよ!」って結論になってていい感じでした。
これはMLUなどの調査で、チームの問題意識はこんな感じです。
果たして、遊び心は鍛えられるのか? さらに、それが人にどのような効果をもたらすのか? こういったポイントはまだよくわかっていなかった。
遊び心が大事なのは間違いないものの、それが好転的なトレーニングで伸ばせるのかは謎だし、そのおかげで何らかのメリットが得られるのかも、従来の研究ではよくわかっていなかったんだ、と。大人の遊び心を訓練する実験って見たことないので、貴重な内容になってるんじゃないでしょうか(見落としがあるだけかもしれませんが)。
ってことでチームは533人の参加者を集めて、2つのグループに分けてます。
- 遊び心トレーニングを行う
- 遊びとは関係ないタスクを行う
実験期間は1週間で、みんな1日15分ずつのトレーニングを行なったそうな。ちなみに、念のため「遊び心」の定義を書いとくと、イリノイ大学のリン・バーネット博士は以下のように言ってます。
遊び心を持つ人は、どのような状況でも、自分自身と他人に娯楽やユーモアを提供するような方法で捉え直すことができる。このような素質を持つ人は、次のような特徴を持つ。
- ユーモラス
- 自発性がある
- 予測不可能な行動をとる
- アクティブ
- エネルギッシュ
- 冒険的
- 社交的
- 外向的
- 陽気
- 幸福
- 冗談を好む
- バカな行動をする
要するに、遊び心を持つ人は、事実上どんな環境でも、より刺激的で楽しいものに変えることができる。
どんな辛い状況でも楽しくできるんだから、、遊び心がある人のメンタルが強いのは当然と申せましょう。
さて、この実験で行われたトレーニングは以下のようになります。
- 寝る前の15分を使って、その日に体験した「遊び心に満ちたできごと」を思い出して簡単な文章にまとめる(自分が遊び心を発揮したことだけではなく、他人の行動を書き出してもOK)
- 寝る前の15分を使って、その日に体験した「遊び心に満ちたできごと」を3つ書き出し、それぞれにどのような状況で誰が関わっていて、自分はどのように感じたかを簡単な文章にまとめる
- 寝る前の15分を使って、「遊び心をいつもと違った形で使うにはどうすればいいのだろう?」と考えて、具体的な行動の内容をいくつか書き出す
全体的にはポジティブ心理学のエクササイズを「遊び心」に応用した感じになってますねー。
でもって、実験ではトレーニングの前後に性格や幸福度のアンケートを行ったところ、
今回のトレーニングにより、遊び心におけるすべての側面が増加し、ウェルビーイングに短期的な効果をもたらし、抑うつを改善した。
って傾向が確認されたそうな。たった1週間のトレーニングでも、みんな前よりアクティブでユーモアを好むようになり、結果として幸福度も上昇したみたい。なかなか良い結果っすねー。
この結果についてチームいわく、
遊び心のトレーニングによって、人々は「遊び心」へ意識的に注意を集中させ、そのおかげで「遊び心」をより頻繁に使うようになるのだろう。実際に、これらのタスクは遊び心の増加につながっている。
とのこと。なんせ類似の研究が他にないので、もうちょい追試を見てみないと何とも言えないんですが、なんにせよどんなことにも「遊び心」を持って臨むほうが楽しいのは間違いないんで、「なんか人生がつまらない……」みたいな方は上記のトレーニングを試してみるといいかもですねー。