よく遊ぶ人ほど頭は良くなるしデブにもならないしストレス解消にもなるし……みたいな話
「最高の体調」には「遊び」って章があるわけです。人間には遊びが必要だよーって話でして、遊び心がある人ほど幸福だしモテるって傾向があるんですな。
これはヒトに限らない話で、猿も石遊びをするし、イルカは呼吸孔から空気を出して遊ぶし、カラスも雪遊びをするしで、知能がある生物はだいたい遊びを楽しむ傾向があるんですな。つまり「遊び」は無意味なことではなく、生物が生きるのに欠かせない要素ではないか、と考えられるわけです。
でもって近ごろ出た論文(1)は、「遊びは超大事!特に子どもは遊ばないとヤバい!」って議論が全面展開されていて有用でありました。
これは米国小児科学会によるステートメントで、過去に行われた「遊びと児童の発達」にかんするデータをまとめたもの。研究者いわく、
「遊び」はくだらないものなどではない。人間に必須の要素だ。
ってことで、とにかく自由に遊ぶことの大事さが強調されておりました。まさに「All work and no play makes Jack a dull boy.」ですな。
では、具体的に「遊び」が人間にとってどんな役割を果たしているのかと言いますと……
1 遊ばないと脳が発達しないかもよ!
頭を良くする物質としておなじみの「BDNF」は、遊びによっても分泌される。この論文では2002年の動物実験(2)が引用されてて、仲間とじゃれ合ったマウスは約30分で遺伝子の発現が変わり、BDNFの分泌量が増えたんだとか。
まだヒトを対象にした研究はないものの、体を動かせばBDNFが増えるのはわかってますんで、とりあえず楽しく遊んでみれば良いのではないかと。
2 「遊び」は肥満を防ぐよ!
たとえば2015年の観察研究(3)では、2810人の子供を1年にわたって追いかけたところ、
- 平均で1日37分ほど元気に遊んだ子どもは、1年後に肥満にならない確率が42%低かった
って結果だったらしい。ちなみにこの研究は世帯収入が低い地域で行われていて、全体的な食事の質は悪め。それでも1日30分ちょい遊べば、デブになる確率は激しく下がるわけっすな。
3 「遊び」はストレス解消に効きまくる……かもよ!
ここらへんはまだ発展途上の分野で、「まだまだリサーチは必要」とのこと。ただし113人の未就学児童を対象にした1年の研究(4)では、
- まずは先生と1対1で10〜15分ほど遊ぶ
- 続いて子ども同士で10〜15分ほど遊ぶ
ってセッションを週2〜3のペースで行わせたところ、普通に学校生活を送らせたグループよりもコルチゾール(ストレスホルモン)が減り、問題行動(ケンカとかイジメとか宿題をやらないとか)の量も激減したそうな。
まぁ意外とストレスと「遊び」のリサーチって少ないんですが、とりあえず子どもは遊ばせといて損はないかと。
4 「遊び」は成績もあげるよ!
研究チームいわく「よく遊ぶ子どもはテストの成績もいいよ!」ってことで、なんの指示もあたえずに好きなように遊ばせた児童は、実際に言語の運用能力が上がり、一般的な教養レベルも高くなったんだそうな(5)。
これは、もちろん「遊び」で脳が発達したのも大きそうなんだけど、実験では「子どものモチベーションも上がってたよ」とのこと。どうも「遊び」によって内発的動機づけが高まったようなんですな。
研究チームによれば、
ほんの2分ほどブロック遊びをするだけでも言語能力は高まり、結果的に学習スキルにも影響が出た。おそらくこの効果は両親にも役立つはずだ。
ってことなんで、どんな短い時間でもいいから遊ばせよう!って感じですな。これは子どもにマトを絞ったデータですけど、もちろん成人にも適用できるものと思われます。どうぞよしなに。