ガッツリと「筋力」をアップさせるためにもボリュームは超大事なんだよ!というメタ分析の話
筋肉量にはボリュームが大事ですが……
「筋肉を増やすにはボリュームが大事!」みたいな話をよく書いてますが、ここで気になるのは「筋力はどうなの?」ってとこです。トレーニングのボリュームを増やせば筋肉がデカくなるのはわかったけど、果たして力のほうはどうなのか、と。
もちろん筋肉量と筋力が相関してるケースもあるものの、筋肉のサイズ増と筋力アップは割と異なる現象なので、細くても筋力がある人も結構いたりするんですよ。なのでボリュームが多いトレーニングで筋肉が増えるのは確実でも、筋力にまで効くかはようわからんわけです。
といった状況で新たに出た論文(1)では、「筋力アップにもボリュームは大事なの?」って問題をガッツリ調べてくれておりました。
筋力アップにもセット数は大事なのか?
これはUWSの研究で、過去の筋トレ研究から信頼性が高い9件をまとめたメタ分析です。データを選んだ基準はと言いますと、
- 最低でも4週間以上のトレーニングをしている
- 年齢は18〜60歳までバラバラ
- 筋力は1RMテストで測定している
- 少なくともひとつのメジャーな筋肉グループに集中している
みたいな感じで、わりと厳密になってるかと思います。
調査にあたっては、トレーニングの内容を1週間のセット数で分類していて、
- ハイセット:週に10セット以上の筋トレ
- ミディアムセット:週に5〜9セットの筋トレ
- ローセット:週に5セット以下の筋トレ
の3パターンでどれだけ筋力に違いが出るのかを見たんですな。ちなみに、週のボリュームレンジは1〜12セットまで広がっていて、結構な差になってたりします。
効果量は低めだが現実的には意味があるレベル
で、ここから一気に大きな結論を言っちゃいますと、
- ハイセットは確実にローセットより筋力がアップする。その効果量は1.01 vs 0.82
だそうです。ってことで、セット数を多くやったほうが筋力だってあがるんだ、と。
また、アブアナリシスでも似たような結果が出てまして、
- 多関節エクササイズでハイセットとローセットをくらべた場合、その効果量の差は0.18±0.085 (p=0.04)
- 単関節エクササイズでくらべた場合は、効果量の差は0.23±0.085 (p=0.008)
- 1RMの違いは 0.14±0.075 (p=0.06)
みたいな感じ。というと、「これって大した違いじゃないないんじゃない?」って気になる方もおりましょう。事実、筋肉量とボリュームをチェックしたデータは0.52の効果量が出てるんで、これとくらべたら大したことがないように思えちゃうわけです。
が、これを実際の筋力の変化に当てはめますと、ざっくり言って、
- ハイセットはローセットより20〜25%ほど早く筋力がアップする
って数字になったりするんですな。こうして見ると、やっぱ「筋力アップにもボリュームは大事!」ってことになるんじゃないかと。
もちろん、過去のデータを見てると、低いボリュームでも筋力は上がってるケースもあるんですけど、まぁ一般的な筋トレ好きならとりあえず「ボリュームを増やすぞ!」と考えておくと楽でいいんじゃないでしょうか。どうぞよしなに。