睡眠お役立ちデータいろいろ:ビタミンDで睡眠改善、メラトニンで睡眠障害が改善、地中海式ダイエットで睡眠改善
「過去に類似の話を紹介したけど、さらに追試で効果が確認されたので無視するのももったいないケース」をまとめて取り上げてみる」シリーズです。今回は「睡眠の改善に役立ちそうなデータ」を3つほど、ざっくりとまとめてお送りしまーす。
ビタミンDで睡眠が改善する?
毎度おなじみビタミンDに「睡眠が改善するかも?」みたいなデータ(R)が出ておりました。そもそも、脳内に存在する睡眠覚醒システムにはビタミンDをターゲットにした神経があることがわかってまして、「ビタミンDが足りないと睡眠障害が起きるのでは?」と言われてきたんですよね。
ってことで、この研究では「睡眠障害にビタミンDサプリは意味があるか?」を調べた先行研究から25件を集めたメタ分析になってまして、合計3,603人のデータをまとめてくれてます。でもって、ざっくりとデータの内訳を申し上げますと、
- 21件の研究で、睡眠障害がある人(1,864人)とない人(1,340人)の間でビタミンDレベルを比較したところ、睡眠障害のある人のはビタミンDレベルが平均0.75ng/ml低かった
- 4件の研究で、睡眠障害を持つ人にビタミンDサプリを使ったグループ(189人)と使われてなかったグループ(210人)をくらべたところ、研究が2ヵ月以上続いた場合に限り、ビタミンDを飲んだグループのほうが睡眠が改善した
みたいになってます。ちなみに、理由はよくわからんのですが、サブグループ解析では「アメリカ人よりアジア人のほうがビタミンDで睡眠が改善しやすい」みたいな報告も出てて、ここらへんは謎っすね。人種とか関係あるんだろうか……。
まぁいずれにせよ、体内のビタミンDレベルが低い人はサプリで睡眠が改善するかもなんで、お試しいただくのもいいかもしれませんねー。
メラトニンで睡眠障害が改善する?
これまた毎度おなじみメラトニンに、「ADHD関連の睡眠障害がやわらぐかも?」みたいな研究(R)が出ておりました。ADHDにお悩みの方は睡眠障害に苦しんでいるケースも多く、この問題をメラトニンが救うかもしれないというんですな。
これは3週間のRCTで、ADHDとDSPS(体内時計が狂う障害)に悩む成人46人を集め、まずは全員に睡眠教育を受けてもらったあとで、全体を3つのグループに分けたそうな。
- 1日0.5mgのメラトニンを飲む
- 1日0.5mgのメラトニンを飲み、さらに1日10,000ルクスの光治療を30分間行う
- 1日0.5mgのプラセボサプリを飲む
でもって、それから3週間の経過をチェックしたところ、
- メラトニンを飲んだグループは、どちらとも実験スタート時と比べて1~2時間ほど体内時計が改善した
- メラトニンだけのグループと、メラトニン+光治療グループに有意差はなかった
- メラトニンを飲んだグループは、ADHD の症状のスコアが平均14%減少した
だったそうで、わりと良い成績が出ているんじゃないでしょうか? 0.5mgぐらいの低用量で良い効果が出てるのは、なかなかよろしいですね。
まぁデータを見てると、実験を終えてメラトニンを止めたら2週間で体内時計がもとに戻ったみたいなんで、「いったん改善した体内時計が根づくわけでもないのか?」って気はしております。お悩みの方はご参考までに。
地中海式ダイエットで睡眠時無呼吸症候群が改善するかも?
さらに毎度おなじみの地中海式ダイエットに、「睡眠時無呼吸症候群が改善するかもだ!」みたいなデータ(R)が出ておりました。
具体的には、太りすぎや肥満、睡眠時無呼吸症候群に悩む180人を対象にしてまして、全体を3つのグループに振り分けてます。
- 地中海式ダイエットグループ(60分の栄養カウンセリングを受ける)
- 地中海式ライフスタイルグループ(60分の栄養カウンセリング+身体活動、睡眠時間、睡眠衛生のカウンセリングも受ける)
- 標準ケアグループ(CPAPを夜間に使う)
研究期間は6ヶ月で、それぞれのカウンセリングは全7回。地中海式ダイエットグループは。その間に5~10%の体重減少を目指したそうな。
でもって、結果はこんな感じです。
- 地中海式を実践したグループは、どちらも睡眠時の無呼吸レベルが有意に改善。その改善レベルは、地中海式ダイエットよりも地中海式ライフスタイルグループの方が大きかった
- また、地中海式を実践したグループは、どちらも酸素パラメータ、日中の眠気、不眠症が大きく改善した
- 地中海式ライフスタイルグループは、地中海式ダイエットよりもレム睡眠の量が大きかった
ってことで、地中海式を実践した人たちは、標準ケアよりも格段に睡眠が改善したそうな。まぁ食事を改善すれば睡眠も改善するってのはわかりやすい話なんで、お悩みの方は「地中海式の生活を心がけるぞ!」と考えてみるといいかもしれません。