いつもより就寝と起床を1時間ずつズラすだけでメンタル悪化リスクが23%も改善?
早起きな人はメンタルが健全!ってのは、わりと過去の観察研究で見られる傾向だったりします。たとえば、1日に8時間寝る人を比べた場合でも、朝8時に起きる人よりは朝7時に起きる人のほうがうつ病にかかりにくかったりするんですよ。ある観察研究では、夜更かしをする人は早起きをする人の2倍もの確率でうつ病になるとまで言われてまして、なかなかすごいことになっております。
ただ、ここで謎なのは「メンタルを改善するためにはどれぐらい早起きすればいいのか?」ってポイントです。当然ながら、いくら早起きが良いといっても夜型の人が午前4時とか5時に起きるのは現実的じゃないんで、最低限のレベルは押さえておきたいとこじゃないかと。
で、新しいデータ(R)は「どれぐらい早起きするとどれぐらいメンタルに影響するのか?」を探ってくれていていい感じでした。
これはハーバード大学などの調査で、だいたい84万人の男女に行われた遺伝子データと大うつ病の診断に関する調査をふくんだ別のサンプルを使用。ここには睡眠計測器を7日間装着したデータ8万5,000人分と、睡眠の好みに関するアンケート25万人分がふくまれてまして、いろんな方向から睡眠と起床のタイミングがどのような影響を与えるかを、1時間単位で細かくチェックしてくれてます。
まずは、みんながどんな睡眠の傾向を持っているのかを並べてみると、
- 参加者の約3分の1が「朝型」、9%が「夜型」、残りは「中間型」だった
- 平均的な睡眠のスケジュールは、午後11時に就寝して午前6時に起床するパターンだった
だったそうです。平均を取ると意外とみなさん早寝早起きですね。
でもって、すべてのデータをひっくるめてどんな結論が出たかと言うと、こんな感じです。
- 早起きに遺伝子を持ってる人は、やっぱりうつ病のリスクが低かった
- 睡眠の中間点(就寝時刻と起床時刻の中間点)を1時間早めるごとに、大うつ病のリスクが23%低下する可能性がある
つまり、いつもは「午前1時の就寝で8時間の睡眠」な人が、「午前0時の就寝で8時間の睡眠」に切り替えればメンタルが悪化するリスクを23%削減でき、さらに「午後11時の就寝で8時間の睡眠」に切り替えた場合は約40%もリスクを減らせるかもしれないわけっすね。これはなかなかすごい数値じゃないでしょうか。
まー、ただしこれは「際限なく早起きするのが良い」って話ではなく、たとえば現時点で朝5時に起きてる人が朝3時起きに変えても同じ効果を得られるのかは不明であります。あくまで現時点で半端に早起きの人とか夜型の人であれば、寝床に入る時間を早めたほうがいいかもよ?ってことですんで。
ちなみに、「なんで早起きするとメンタルが改善するの?」って問題も気になるところですが、研究チームの推測としては、
- 早起きの人は日中に浴びる光の量が多いからでは?
みたいになってます。太陽光を浴びる量が多いおかげでホルモンバランスやビタミンDのバランスが改善し、それでメンタルが低下しづらくなるんじゃないかって仮説ですね。そのためチームは「朝は明るく!夜は暗く!を徹底しよう!」と提唱してまして、
朝のコーヒーはベランダで飲みましょう。できれば徒歩や自転車で通勤し、夜は電子機器を暗くしましょう。
と言っておられます。まぁ体内時計の違いそのもの自体が影響してる可能性もあるんで、このあたりはまだ謎が多いんですが、試しにいつもより就寝と起床を1時間ずつズラして様子を見てみるのはいいかもですね。