最強の食物繊維こと「レジスタントスターチ」はどこまで体にいいのか?のわりと最近の見解とか
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こないだ「スマートスターチ」というレジスタントスターチ系の商品を紹介したんですが、「そういえば近ごろの研究ってどうなってんのかなー」と思いまして、2019年に出たレビュー(R)をチェックしてみました。「レジスタントスターチ?なにそれ?」という方は、「究極の食物繊維?「レジスタントスターチ」の正しい摂り方」をご参照ください。
これはペンシルベニア州立大学の先生がまとめてくれたもので、ここ最近のレジスタントスターチ研究を調べたうえで、
- レジスタントスターチのメリット研究はどこまで進んでいるのか?
- レジスタントスターチのメリットはどこまで確立されているのか?
ってあたりを調べてくれた内容になります。現時点でレジスタントスターチの実力を知るための、手っ取り早いサマリーとしてよろしいのではないでしょうか。
で、まずは結論から引用してみると、
レジスタントスターチは健康の管理に役立つと言われているが、それには理由があり、健康の維持や病気の改善に効果があることがますます明らかになってきている。
といった感じでして、なかなか期待が持てる感じになっております。その要点をざっくりふたつにまとめると、以下みたいな感じっすね。
ポイント1.レジスタントスターチの酪酸生成パワーがすごい
- レジスタントスターチが大腸に到達すると腸内細菌のエサになり、酢酸,プロピオン酸,酪酸などの主に短鎖脂肪酸(SCFA)が生成される
- 酢酸とプロピオン酸はそれぞれ健康に影響を与える可能性があるが、特に健康増進に役立つと考えられているのは酪酸であり、炎症を抑え、大腸がんのリスクを下げ、腸のバリア機能を高めるなど、人間の腸の健康に重要な役割を果たす。酪酸はレジスタントスターチの摂取によって最も増加する。ある研究では、馬鈴薯でんぷん(RS2)を摂取した後に、糞便中の酪酸値の中央値が50%も上昇した
- レジスタントスターチは、多くの人によって、酪酸の濃度を高める最も優れた食物繊維のひとつであることが示されている。ただし、すべての人が同じ効果を得られるわけではなく、レジスタントスターチに反応しない人がいることも明らかになっている(これは個人の腸内細菌によるものが大きいので、レジスタントスターチのご利益を得るには。多様な野菜を食べるなどして日ごろから腸内細菌のバリエーションを増やす必要があると考えられる)
- 酪酸は重要な免疫コントロールの役割も果たしており、アレルギーの改善などには非常に大事。どのタイプのレジスタントスターチが腸内細菌の種類や量にどれぐらい影響を与えるか調べた研究は限られているが、とにかく食物繊維の多い食事が腸内フローラの構成に大きく影響することは間違いない
- そのおかげで、レジスタントスターチを含むプレバイオティクスは、肥満、糖尿病、炎症性腸疾患、癌などの様々なヒトの疾患を改善または予防する可能性がある
ポイント2.食欲のコントロール効果が良さそうな感じ
- レジスタントスターチは酪酸の生成量が増えるだけでなく、ほかにも注目すべきメリットが認められている。レジスタントスターチは消化率が低いため、グルコースの放出が少なくなり、食事をしたあとの血糖値コントロールによい可能性がかなりある(「セカンドミール効果」と呼ばれている)
- また、そのおかげでレジスタントスターチを食べた後はグルコースとレプチンの反応が減少し、レプチン抵抗性のリスクが軽くなることが示されている(レプチンは食欲にかかわるホルモンで、くわしくは「痩せるホルモン「レプチン」を適切に調整するためのガイドライン」を参照)
- それと同時に、重要な腸内ホルモンであるペプチドYY(PYY)も、レジスタントスターチを摂取した後に上昇することが示されている(PYYも食欲にかかわるホルモンで、これが増えるほど食欲が暴走せずにすむようになる)
ってことで、基本的には従来も言われてきたことが、ここ数年の研究によりさらに強固になった印象でしょうか。まーレジスタントスターチの効果は個人差が大きそうなので、「同時に腸内細菌の多様性をアップさせるのも忘れないでね!」って感じではありますが、やはり日常的に気にしておきたい成分だとは言えましょう。
ちなみに、「1日にどれぐらいのレジスタントスターチを摂取すればいいの?」ってあたりはまだ確立してないんですけど、。ほとんどの人は1日に5グラム程度しか摂取していないみたいなので、1日に10グラム程度を目標にするのがいいのかなー、などと考えております。