なぜ自分で自分をめちゃくちゃ責めてしまうのか……を理解するための10の質問
自分をめちゃくちゃ責める人っているじゃないですか。「あのときあんなことを言わなければ……」とか「もっと違う方法があったのに……」などと考え続けてしまうタイプですね。
このような思考がメンタルに悪いってのはよく言われるところで、ロンドン・サウス・バンク大学などによる最近の研究(R)でも、「自己批判の精神的な苦痛はかなりキツい!」と報告されておりました。実験のあらましを簡単に説明しておくと、
- 30人の学部生に、確実に失敗する難しい数学の問題を解いてもらう。しかし、参加者の半分には、「この問題はほとんどの人が簡単に解くことができました」と伝えておく
- 参加者が課題に失敗した後、参加者の半分に自己批判っぽい思考を読み上げて録音させる(例:「自分は何もまともにできないのか!」みたいな)
- その後、みんなの心理的な苦痛をテストで評価する
みたいになります。難しい数学問題で自尊心を破壊したうえに、自己批判的な思考を植え付けたらどうなるかをチェックしたわけっすね。
その結果はチームの予想どおりで、批判思考を植え付けられた参加者は、数学の問題を解いた後に激しい苦痛を感じていただけでなく、「あの問題は本当は超難しいんですよ」とバラした後も、しばらく自分の成績に心を痛め続けていたんだそうな。実験に不正があったと認識できても、自己批判が強い人はメンタルにダメージを負い続けるんだ、と。こりゃあいかにも精神を病みそうですな。
ということで、この研究チームは、ついでに「自分の自己批判レベルがどれぐらいのものか?」をチェックするテストも開発してくれてまして、これがまた参考になります。これは10の質問で構成されたテストで、それぞれの文章について、1(「同意しない」)から4(「強く同意する」)のいずれかで採点していただければ幸いです。
- 自分の過去のミスや失敗について考えると、他のことに集中できなくなる。
- 過去にした愚かなことを思い出すことで、もっと頑張ろうという気持ちになる。
- 将来、失敗しないようにするためには、自分が間違ったことを繰り返し考える必要がある。
- 過去の失敗を引きずることは、性格の弱さを表していると思う。
- 過去にどのように行動すべきだったかを繰り返し検討することは、自分が結果にこだわっていることを示すと思う。
- 自己批判的な考えを見直すのをやめないと、私は落ち込んでしまうだろう。
- 過去のミスや失敗について考える時間を十分に取らないと、私は傲慢になると思う。
- 自己批判的な考えを持つことは、自分が弱い人間であることを意味する。
- 「自分は十分ではない」という考えから距離を置くのが難しい。
- 自分の価値に関する考え方を事実として扱う傾向がある。
この10項目は2つのサブスケールに分かれていまして、自分の採点を判断する際は、
- 自分を痛めつける反芻傾向:質問1、4、6、8、9、10の点数を合計する。自分の過ちについて考えることで、自分自身について気分が悪くなりやすいタイプの人は、この点数が高くなる。
- 自分への言い訳をする反芻傾向:質問2、3、5、7の点数を合計する。自己批判的な思考を「これは良いことなのだ!」と自分を説得しようとするタイプの人は、この点数が高くなる。
って感じで判断してください。ひとことで「自分に厳しい」といっても、実際にはふたつのタイプがあるわけですな。私の場合は、どっちかといえば「自分を痛めつける反芻傾向」が強い人間っすね(20代のころよりはだいぶマシになりましたが……)。
また、点数の判断基準もざっくり示しておくと、
- 自分を痛めつける反芻傾向:平均は14.3点で、ほとんどの人が9~19点の間だった
- 自分への言い訳をする反芻傾向:平均2.1点で、もっとも高い得点は約11点だった。
みたいになります。とりあえず、これらの点数を超えているようだと、あなたは自己批判がデカすぎるのかも?とは言えましょう。
ちなみに、この研究チームは、自己批判の解毒剤として「メタ認知療法」を推奨しておられますので、自分責めが強すぎて毎日がつらい方はお試しいただくといいのではないかと。拙著である「無(最高の状態)」にも近い技法を紹介してますんで、こちらもあわせてどーぞ。