今週半ばの小ネタ:加圧トレーニング効果ある? 孤独感を癒やす最強の方法? 文法警察ってどんな人?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
加圧式の筋トレは効果があるんだろうか?のメタ分析によりますと
腕や脚のつけ根を専用のベルトで締めつけて行う加圧トレーニング。普通の筋トレより効率よく筋肉が増えるかも?などと言われるわけですが、具体的な効果はまだよくわかってなかったりします。なかなか良い比較研究がないもんですから。
で、新しく出たメタ分析では、加圧式と普通の筋トレの効果を比べてくれてておもしろかったです(R)。
これは6つのRCTをまとめたもので、対象は運動をしない65歳以上の高齢者のみ。従来の筋トレと低強度の加圧式を比べて、筋力や筋肉量に違いがでるかを見ております。運動不足の高齢者が中心なので、若者への効果がどうかはよくわからんのですが、そもそも比較データが少ない現状ではとても役立つ内容ではないかと。
全体的に、トレーニングの頻度は週に2〜3回で、実験の期間は12〜16週間ぐらい。従来の筋トレを行ったグループは、1回の最大筋力(1RM)の70〜80%の負荷で、6〜12回の反復を3〜4セット行ったとのこと。また、加圧式のテストでは、参加者は30回を1セットとして、1RMの20〜50%の負荷で15〜18回を2〜3セット、カフの圧力は80〜270mmHgだったそうな。
というわけで結果をまとめておくと、こんな感じです。
- 加圧トレーニングは、従来の筋トレよりも筋力を向上させる可能性がある(効果の大きさは中程度)
- サブグループ分析によると、加圧の筋力アップ効果は、膝を伸ばす運動では統計的に有意だったが、膝を曲げる運動では有意ではなかった。また、MVCによる筋力の向上効果は、従来の筋トレと変わらなかった
- 筋肉量に対する効果は従来の筋トレと変わらなかった。サブグループ分析では、加圧で従来の筋トレより腕の伸筋と屈筋のサイズが増える……かも?ぐらいの結論
もしかすると、加圧式はちょっとだけ筋力アップに有効かもだけど、筋肉量については意味なさそうかなーぐらいの印象ですね。まぁ、すべてのデータが「質がとても低い」に分類されてますんで、この結果をどう受け取るかは難しいんですけど、現時点で加圧の効果をそこまで持ち上げる証拠もなさそうではありますね。個人的には、今後も普通の筋トレを続けていく予定。
大自然に触れると都会人の孤独が癒やされるぞ!みたいな話
「最高の体調」では自然の素晴らしさをガンガンに推奨しているわけですが、新しい研究(R)では「大自然に触れると都会人の孤独が癒やされるぞ!」って結論になってておもしろかったです。
これがどんな研究かと言いますと、
- 参加者に「Urban Mind」ってスマホアプリを使ってもらう
- アプリで自然に出かけた頻度と気分をリアルタイムで収集してもらう
みたいになります。ここで使われたアプリは研究チームのお手製で、1日3回ずつ「いまどんな環境にいて、どんな気分?」ってのを記録するように通知してくれる仕組みらしい。
その結果、なにがわかったかと言いますと、
- 「過密感」(「周囲に人がいっぱいいるなー」みたいな感覚)は孤独感の増加をもたらしていた(具体的には平均39%の増加)
- 一方で、木や空、鳥といった自然の要素を見ると、孤独感が28%減少する
だそうです。人間が密集した都市環境に住む人ほど孤独感は強烈で、それは自然と触れ合うことで大幅に軽減されるのではないか、と。
このような現象が起きる理由はいろいろありましょうが、原因として大きいのはやはり「周囲に知らない人が多すぎる環境だと、逆に『孤独なのは自分だけではないか……』って気分が高まるから」でしょうね。人間があまりに多い環境だと、逆に自分の交友関係の薄さが際立ってしまい、そのせいで孤独感が増すんじゃないか?みたいな話です。人間はものごとを比較で決める生き物ですからね。
ところが、大自然だと人間がほかにいないので、「あ、これぐらい人間はいない状態が本来はデフォルトなんだな」って気分になり、そのおかげで孤独がいやされるわけっすね。研究チームいわく、
社会的なつながりがますます高まっているにもかかわらず、孤独の苦痛は、現代社会を特徴づける問題の1つとなっている。人間の密度が高すぎると、実際には不幸な感情が生じ、直感的に孤独を感じることになる。
特に人口密度が高い都市では、過密状態を緩和しつつ、社会的包容力や自然との接触を高めるための具体的な方策を実施すべきである。
ってことで、孤独感にお悩みの方は定期的にソロキャンプとか行ってみるといいんじゃないでしょうか。
文法警察ってどんな性格のひとなんだろう?
文法警察っているじゃないですか。「てにおは」を間違った文章に皮肉なコメントを付けたり、英語系サイトの文法ミスをバカにしたりと、とにかく他人の文法ミスに厳しいタイプのことです。
でもって新しいデータ(R)は、「文法警察に特有の性格はあるのか?」ってとこを調べてくれてておもしろかったです。
これは83人の男女を対象にしたテストで、
- 簡単なタイプミス(「mkae」とか「abuot」みたいな)と文法ミス(to/too、it's/its、your/you'reなど)が含まれる、同居人募集のチラシをみんなに読んでもらう
- その後、みんなに文法の間違いに気付いたかどうか、どれぐらい気になったかを尋ねる
って感じで、全員の文法警察ぶりをチェックしたんだそうな。すると、文法警察のレベルが高い人には特有の性格特性が認められまして、
- 文法警察ほど、ビッグファイブの協調性が低かった(そもそも人と仲良くしようとしないタイプ)
- ビッグファイブで内向性が高い人ほど、文法的な間違いやスペルミスが多い人を「こいつはダメだ」と判断する傾向があった
だそうです。文法警察ってのは、文章のエラーで他人の能力をジャッジしやすく、それをもとに他人を批判することをいとわない性格なんだ、と。めちゃくちゃ他人の能力に厳しい人っすね……。
一方で、外向的なキャラの人は文法のエラーをほぼ気にしなかったそうで、まぁそっちのほうが人生は生きやすそうですな。