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愚痴を言うとメンタルに悪い?いやいや上手く使えばメリットだらけなんだぞ!という本の話


  

毒ポジティブ(Toxic Positivity)」って本を読みました。著者のウィットニー・グッドマン先生は有名な心理療法士で、本書は「いかにポジティブさが危ないか?良いポジティブと有害なポジティブはどう違うか?」ってのをまとめてくれてて勉強になりました。

 

 

個人的にためになったポイントをまとめとくと、こんな感じです。

 

 

ポイント1. 幸せを追うと死ぬので、価値観を定期的に追いましょう

  • ポジティブであること自体は有害ではないが、誤ったタイミングで誤った状況に使用されると毒になる。たとえば、大切な人を失ったのに「前に進まなければ!」と思い込むと、自分の感情を否定することになってしまう。このような有害なポジティブさを使うとき、私たちは自分自身や他人に、特定の感情は存在するべきではないと言い聞かせることになる。

 

 

  • また、幸せを求め続けるマインドにも害は多い。調査によると、幸せを目標にすればするほど人は幸せになることができず、アメリカ人は他のどの国よりも多くの時間、エネルギー、お金を幸せ探しに費やしているにもかかわらず、1972年以降、アメリカ人の幸福度はほとんど変化していない。

 

 

  • 幸せを追求する代わりに、価値観を重視した生き方で充実感を追求するほうが得るものは多い。価値観を最優先にした人生とは、自分が何者であるか、何を望んでいるのかに沿って生きるタイプの人生であり、必ずしも幸せを感じることを意味するわけではない。

 

 

  • 価値観を優先するための最初のステップは、自分の価値観を見つけることである。価値観は、ルールや指示としてではなく、あなたが決断を下して充実感を得るための道しるべとなる存在だと言える。そのためには、まず「仕事・教育」「人間関係」「自己成長・健康」「余暇」という4つの人生のエリア領域で、自分がどのような価値観を持っているかを考えてみるとよい。具体的には、それぞれの領域で、自分自身に以下の質問をしてみるとよい。

    • 自分にとって何が重要なのか?

    • 自分は何に関心があるのか?

    • 自分は何に向かって努力したいのか?

    • 自分の文化や家族からどのような価値観を植え付けられたか?

    • 自分の文化や家族から植え付けられた価値観は、今の自分にとって重要なものだろうか?

 

 

  • 上記の価値観は人生の中で変化していくものなので、今日思ったことが1週間後に変わることもある。そのため、違和感を感じるごとに価値観は再検討する必要がある。

 

 

 

ポイント2. 愚痴はうまく使えばメリットが大きいので、適切に使う方法を知っておきましょう

  • ポジティブを信望する人のあいだでは、「愚痴を言うのはメンタルに良くないから口に出さない」といった主張が見られる。しかし、愚痴をこぼす行為には、会話相手との絆を深める働きがあり、実際には非常に役に立つ。愚痴は自分の気持ちを共有する行為なので、聞き手の共感を呼ぶのに効果的だからである。

    さらに、愚痴は「私たちは本当に何を必要としているか? どうすればそれを満たすことができるか?」を深堀りし、自分がいま抱える問題の解決につながることも少なくない。その点でも愚痴は有用だと言える。

 

 

  • 有効に愚痴を使う場合には、以下の3つの要素を満たすように気をつけておく。この3つがそろっていれば、愚痴や文句を言ってもより良い結果につながる可能性が高くなる。

    • 愚痴のなかでちゃんと事実と論理を用いる

    • 自分が望んでいる理想の結果を把握しておく

    • 望んだ結果を実現する能力を持っているのが誰かを把握しておく

 

 

  • さらに、愚痴や苦情を効果的に言うためには、8つのポイントを押さえておくとよい。

  1. 自分が本当に悩んでいることは何か?を把握する

  2. 自分の愚痴の目的を明確にする。誰かに問題を認識させたいのか? 変化をもたらしたいのか? たんに愚痴を聞いてもらいたいのか? 相手に認めてもらいたいのか? アドバイスを求めているのか? などをハッキリさせておく

  3. 正しい聴衆を選ぶ。誰が助けてくれるのか? 理解してくれる人、共感してくれる人はいるか?などを考えて、いつも同じ人に愚痴を言わないように気をつける

  4. 本当に他人に愚痴る価値があるかどうかを判断する。このことについて文句を言ったらどうなるだろう? このことについて文句を言わなかったらどうなるのか?などを考え、愚痴ったほうがメリットが大きいのかを考えておく

  5. 「自分はたんに他人とコミュニケーションを取りたいだけだ」と判断した場合は、愚痴以外の何かで相手とつながる方法を考える

  6. 他人に愚痴る前に内容を紙に書き出しておくと、経験が整理され、何が起きたのか、どう対処すればいいのかをより深く理解でき、愚痴のメリットが高まるという研究結果がある

  7. 愚痴はできるだけ直接的に伝える

  8. 感情にとらわれて愚痴から論理が失われてきたら、「世の中にはもっとひどい目にあっている人がいる!」と自分に言い聞かせる

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。