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プチ断食は、午前に食事をするパターンのほうが体に良いのではないか?という仮説


  

このブログではプチ断食ってのを推奨していて、自分でもリーンゲインズって手法を続けてるわけです。プチ断食ってのは、1日に食事をする時間を4〜10時間に制限する断食の方法のひとつで、体重の管理に役立つし、心臓や血管の病気をふせぐ働きもあると言われてるんですよね。

 

 

その流れで、いまもプチ断食関連のデータはチェックしてるんですけど、新たに出てきた文献(R)は、「プチ断食で食事をするタイミングによってその効果が変わるんじゃないすか?」って話になっていて参考になりました。

 

これは5週間のランダム化比較試験でして、82名の参加者(平均年齢31歳、BMI22)を集めたうえで、全体を3グループにわけたんだそうな。

 

  1. 早期プチ断食:午前6時から午後3時の間だけ好きに食事をしてOK

  2. 後期プチ断食:午前11時から午後8時の間だけ好きに食事をしてOK

  3. コントロール:時間を気にせずに食べる

 

プチ断食をしたグループは、どちらも1日の断食時間は16時間でして、リーンゲインズの変種パターンって感じですね。断食の期間中、断食を行った参加者は、水、フレーバーつき炭酸水、無糖のお茶、コーヒーだけは摂取してもOKってルールで実践したらしい。また、参加者はみんな毎日摂取した食事の写真を撮影してアプリに投稿してもらったそうな。

 

 

でもって、主要アウトカム(メインのチェック項目)はインスリン抵抗性の変化で、これに加えてカロリー摂取量、空腹時血糖値、体格、血圧、コレステロール、体内の炎症レベルなどを調べたところ、結果は以下のようになっておりました。

 

  • 後期プチ断食およびコントロールと比較して、早期プチ断食のほうがインスリン抵抗性が改善した(HOMA-IRが+0.39および-0.05 vs. -1.08)。後期プチ断食とコントロールの間に差はなかった。

 

  • また別の結果を見てみると、早期プチ断食とコントロールと比較した場合、空腹時血糖値(-0.59 vs. +0.16 mmol/L)、体重(-1.6 vs. +0.3 kg)、体脂肪率(-0.60% vs. +0.42% )、TNF-α (-0.81 vs. +0.39 pg/mL),IL-8(-1.9 vs. +1.1 pg/mL )などに改善が見られた。

 

  • 上記の結果について、早期プチ断食と後期プチ断食、後期プチ断食とコントロールの間に有意差はなかった

 

  • 最後にカロリー摂取量については、どちらのプチ断食もコントロールよりカロリー摂取量が減った(1日あたり-240および-159 vs. +64kcal)。早期プチ断食と後期プチ断食の間に差はなかった。

 

ということで全体的に見てみると、1日の早い時間に食事を終えてしまい、そのあと午後3時以降はなにも口にしない食事パターンのほうがいいんじゃないか?って感じがしてくるわけですね。うーん、なるほど。

 

 

 

ちなみに、同じプチ断食でも実践のタイミングによって効果が変わる(かもしれない)理由については、以下のような推測がなされておりました。

 

  • 体内時計のシステムは、脳のマスタークロック(視床下部の視交叉上核)と、肝臓、膵臓、消化管、骨格筋、脂肪組織など、体内に存在する末梢の時計で構成されており、いろんな組織の働きぶりは時間によって変わってくる。

 

  • 例えば、健康な成人では、糖の代謝が夜よりも朝のほうが優れていることは一貫して証明されており、食事のタイミングをちょっと変えただけでも、食後のグルコース値が変わることがある。

 

  • さらに別の研究では、1日のうちに朝早い時間のほうが脂肪組織と骨格筋のインスリン感受性が高まることもわかっている

 

ってことで、以上のようないろんな要因があわさった結果、朝から午後にかけての食事のほうがメリットが大きくなるのかも?って仮説が導き出されるわけですな。

 

 

さらに余談ですが、はじめて早期プチ断食の可能性を示した研究は2018年のもの(R)で、糖尿病予備軍の男性を対象に、5週間にわたって「午前6時30分から午後3時まで食事をしてOK」ってルールで食事をしてもらったところ、

 

  • 普通に食事をしたグループと比べて、早期プチ断食はは空腹時のインスリンを減少させ、インスリン感受性も増加。ついでに最高血圧と最低血圧もそれぞれ11mmHgと10mmHgほど変化した

 

って感じでして、こちらもなかなか良い成績が出てるなーとか思うわけです。

 

 

これらの話を考えると、「食事の時間を1日の早いうちに絞る」ってやり方はわりとよさげなんですが、個人的にはもう朝飯抜きバーションに慣れてしまったので、今後もこのままでいくつもりであります(もう少しデータがたまったら鞍替えするかもですが)。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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