説得のプロ「難しい相手を説得する方法のトップ3はこれでしょう」
仕事の関係でジョーナ・バーガー先生の「カタリスト」を読み直しましたんで、せっかくだから個人的に勉強になったとこをピックアップしときます。
バーガーさんは、ペンシルベニア大学でマーケティングを教えてる先生で、本書は「誰かを説得したい!」と思ったときにどうすればいいのかをまとめたものです。当然ながら、誰かを説得する際に「これをしてくれ!」「これをやってくれ!」と伝えると、向こうはガードを固めちゃうだけなんで、もっと別のやり方を考える必要があるわけですな。
というわけで、個人的に心がけようと思ったポイントは、以下のようになります、
ポイント1. 相手に選択肢を与える
相手に選択肢を与えるのは、他人を説得したいときにすべき基本中の基本。例えば、子供に野菜を食べさせたい時に、「ブロッコリーを食べなさい!」と言ってみたところで抵抗されるだけなんで、代わりに、「ブロッコリーとチキン、どっちを先に食べたい?」と尋ねてみるような方法ですね。
バーガー先生によると、説得がうまい人の大半は、まずは「限られた選択肢」をいくつか提案して、そこから選ぶことができるようにしているとのこと。例えば、有名な広告代理店の幹部は、ピッチミーティングの際には、必ず2つか3つの選択肢を提示するそうな。
著者いわく、
こちらが1つのアイデアだけしか提案しなかった場合、クライアントはミーティングの間はずっとそのアイデアの穴を探すだろう。しかし、いくつかの選択肢を提示すれば、クライアントはどれが良いかを判断するのに時間を費やしてくれる。
とのこと。確かに、これは企画提案の基本ですよね。
ポイント2. 質問で誘導する
バーガー先生いわく、たいていの人は他人の言うことには従わないが、自分で決めたことであれば喜んで従うもの。そのため、質問を使って、相手の行動を誘導してやるのがめっちゃ効果的だったりします。
例えば、会社のチームを新しいプロジェクトに参加させたいときに、説得がヘタな人たちは、「君たちには、新しいプロジェクトに参加してもらう!」みたいに、ただ結論を宣言してしまいがち。しかし、これだと反感を買うだけなので、説得がうまい人たちは、
- 関係者に対して、「自分が説得したいテーマ」に関する質問をしまくって、彼らがどう考えているのかを聞き出す(例えば、自分が「クライアントに製品のメリットを伝える新たなプロジェクト」をやりたいなら、「クライアントにもっと製品を使ってもらうにはどうすりゃいいと思う?」ぐらいのところからはじめる)。
- 彼らの答えをベースに、「その問題を解決するにはどうすればいいだろう?」と尋ね、具体的な提案を出してもらう(関係者が「もっとメリットを伝えられればいいですよね」と言ってくるまで、ガンガンに質問を続ける)。
- その提案をベースに、自分がやりたかったプロジェクトを作る。
みたいなステップをふむことが多め。これだと、あくまで主導権は相手側にあるような印象が生まれるので、反発されるケースはほとんどないとのこと。とにかく、相手を説得しようと思ったら、こちらの意見を伝えるのではなく、質問で納得感を高めるのが吉ですね。
ポイント3. ギャップを強調する
バーガー先生いわく、「人は内的一貫性を求めて努力する生き物だ」とのこと。要するに、たいていの人たちは、自分の信念と行動が一致していることを望むものなので、この心理を説得に活かそうぜ!って話ですね。
そこで先生が提案するのが、「ギャップを強調する」ってやり方です。例えば、自分が「このプロジェクトは終わらせたほうがいい!」と確信したが、チームのメンバーは、これまで大量の努力と時間を費やしてきたため、そのプロジェクトの終了を拒んだとしましょう。
ここでギャップを強調するためには、チームのメンバーたちに、以下のように切り出してみると吉。
もし今日、自分たちがゼロから始めるとしたら、このプロジェクトに着手すると思う?
あと、例えば、このプロジェクトを初めて見たCEOの立場になって考えてみてよ! CEOは、このプロジェクトを許可すると思う?
このような持ちかけ方をすると、ほとんどの人は「ああ……私は惰性でプロジェクトをやってたんだな……」と思い直してくれるとのこと。「ゼロから始める」「初めて見たCEO」ってフレーズを使うことで、いまの状況とのギャップを強調させるわけですね。これも重要な技ですなぁ。