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「退屈でしかたない!」を解決する方法ベスト5



仕事のからみで、「退屈」について調べておりました。「退屈感」ってのは大したテーマでもなさそうですが、実際には私たちの生活に大きな影響をあたえてたりします。例えば、退屈感をよく抱く人というのは、

 

  • サディスティックな行動に出る可能性が高い(いじめとか)(R)
  • 政治的に過激な方向にハマリやすい(極右とか極左とか)(R)
  • 自傷行為をしやすい(R)

 

みたいな傾向があったりするんですよ。どうも人間ってのは退屈によってメンタルを病む傾向があり、それによってネガティブな行動をしがちらしいんですよ。まさに「小人閑居して不善をなす」ですね。

 

 

ただし、近年は、退屈感をうまく使う方法も考案されてますんで、そこらへんを押さえておくと、ヒマなときでも不善をなさずにすむはず。ってことで、以下に退屈対策のまとめです。

 

 

 

対策1.退屈の創造性アップ効果を活かす

セントラル・ランカシャー大学の研究(R)によると、退屈には創造性を高める働きがあるそうな。この実験では、参加者に「小説を書く」または「電話帳から番号を書き写す」のどちらかを指示したところ、後者の退屈なタスクを行ったグループは、そのあとで行われたクリエイティブテストで、はるかによい成績を残したんだそうな。

 

つまり、退屈そのものに創造性を高める働きがあるってことで、この効果を活かさない手はないでしょう。

 

 

 

対策2.退屈の対象を再評価する

コンスタンツ大学の実験(R)では、学生の参加者たちを退屈な授業に参加させ、それに対する生徒の反応を3つのカテゴリーに分類したんだそうな。

 

  • 再評価派:「数学は自分の未来に役立つから、価値があるんだ!」と考え、状況に対する見方を変えることで退屈に対処する方法。

  • 批判派:数学の教師に対して「もっとおもしろい授業をしようぜ!」と提案する方法。

  • 回避派:授業以外の他のことに没頭することで退屈を回避しようとする方法。

 

そのうえで、みんなのモチベーションを診断したところ、最も結果が良かったのは「再評価派」で、このグループだけは退屈感が下がり、数学がより楽しくなり、不安のレベルが最も低くなったらしい。つまり、退屈を避けようとするんじゃなくて、「この退屈な行動にはどんな意味があるの?」ってのを考え抜くほうが、退屈対策としては有効ってことですね。

 

 

 

対策3.セルフコンパッションを行う

リムリック大学などの実験(R)によると、セルフコンパッションがうまい人ほど退屈を感じにくいことがわかったそうな。セルフコンパッションがよくわからない方は、当ブログの過去エントリをご参照ください。

 

で、この実験は、参加者の「気質的セルフコンパッション」(自分に対して思いやりを持てる性格かどうか)と「状態的セルフコンパッション」(今の時点でセルフコンパッションのレベルが高いかどうか)を調べ、退屈になりやすいかどうかを調べたものです。すると、結果には一貫したパターンが見られまして、セルフコンパッションのレベルが高いほど、退屈のレベルが低くなる傾向が確認されたんだそうな。

 

データを見てみると、どうやらセルフコンパッションができる人ほど「人生の意味」を持つのがうまいらしく、それによって退屈感に飲まれにくいみたいですね。これも退屈対策には重要なポイントですねぇ。

 

 

 

対策4.宗教にハマる

キングス・カレッジ・ロンドなどの実験(R)によると、宗教心が高い人ほど退屈の度合いが低い傾向があったんだそうな。こちらは約1,500人を対象にした研究で、みんながどんな宗教を信じているかを調べ、これをみんなの退屈レベルと比較したらしい。参加者たちの属性は、キリスト教徒、無宗教者、無神論者、ユダヤ人、仏教徒、イスラム教徒、ヒンズー教徒など、多様な宗教がふくまれていたとのこと。

 

で、結果をまとめてみると、

 

  • 宗教を信じる人は、宗教を信じない人に比べて、退屈を感じにくい傾向がある。

 

  • 無宗教の人は、退屈な作業をさせられたときに、宗教を信じる人よりも退屈のレベルが高くなる

 

みたいになります。研究チームいわく、

 

退屈になると、人はより充実した活動、つまり目的や意味を感じられる行為を求めるようになる。ということは、人々が目的意識を持つような活動や信念は、飽きるのを防ぐのに役立つはずだ。

 

ってことで、セルフコンパッションと同じく、宗教ってのは「自分の人生には意味がある!」という感覚を与えてくれるので、そのおかげで退屈におちいりにくいわけですね。なので、私のように無宗教の人は、セルフコンパッションのほうにリソースを割くのがいいかもですね。

 

 

 

対策5.スマホを見ない

ラドバウド大学などの研究(R)では、「退屈なときにスマートフォンを見ると、さらに退屈感がブーストしちゃうぞ!」との結論を出しております。

 

これはビジネスパーソンを対象にした研究で、3営業日の間、みんなのスマホ利用率を監視しつつ、職場にいる1時間ごとに疲労と退屈の度合いを評価したんだそうな。すると、結果は以下のようになりました。

 

  • 仕事中に退屈を感じた人ほど、スマホの利用度が上がる。
  • スマホの利用度が上がると、その後の退屈感はさらに上がる。

 

ってことで、みんな退屈しのぎにスマホを使いがちなんだけど、そのせいで逆に退屈感が増しちゃうらしい。ってことなんで、もし退屈を感じたとしても、スマホには手を出さないほうが無難であります。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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