スマホがやめられない!酒を飲み過ぎちゃう!はエクササイズで改善だ!みたいな話
「依存には運動だ!」ってデータがふたつほど出てたんで、簡単に内容をチェックしときましょう。「スマホ脳」なんて本もあるとおり、現代は「依存の時代」とも言われてまして、ついスマホをだらだらさわり続けたり、アルコールやカフェインにのめり込んでしまったりといった問題にお悩みの方も多いのではないかと。
これらの問題については、昔からいろんな対策が生まれつつも「依存ってのは治療が難しいよねー」と言われてきたんですけど、近年は「とにかく体を動かせばなんとかなるかもだ!」って知見がいくつか出てきたねすよ。
まずひとつめにチェックするのは中国で行われた試験(R)で、「スマホ依存は運動でどうにかなるか?」ってポイントを調べたものです。研究の参加者は60人の大学生(18~22歳)で、テストを使って全員のスマホ依存レベルを判定したあと、半数のグループに以下のような運動を指示してます。
- 5分間のウォームアップ
- トレッドミルで中強度のランニングを30分間
- 5分間のクールダウン
ランニングの負荷は、「207-0.7×年齢」って式で推定した最大心拍数の45~68%ぐらいを目指したとのこと。これぐらいなら、そんなに辛いレベルの運動ではないですね。
でもって、そのあとで「スマホを使いたい!」って気持ちに変化が出たのかを調べたところ、
- 運動をしたグループの「スマホを使いたい度」が3.77±1.36だったのに対して、何もしないグループは6.12±1.39だった!
という結果だったそうで、あきらかな違いが出てますね。もちろん、この研究は運動直後の効果しかチェックしていないんで、日常的に有運動を続けたらどうなるかはわからんのですが、個人的には、普段から運動していれば「ついついスマホをずっとやっちゃう問題」が解決するんじゃないかと思ってたりします。
というのも、近ごろセントルイス大学から「運動が脳を変えて依存症を食い止める!」って報告(R)が出てきたんですよ。こちらは、運動が依存症にあたえる影響を調べた過去の実験から、男女3,135人を対象とした43件の研究をピックアップし、それぞれの内容を細かく調べたレビュー論文になります。
その結果はとてもシンプルで、
- 運動はあきらかに依存症の対策になる!通常の治療プログラムに運動を組み合わせると、さらに効果がブーストする!
みたいな感じです。運動ってのは、コカイン、メタンフェタミン、アルコールといった依存性が高い物質に対し、ハマりづらいメンタルを授けてくれるようなんですな。
レビューによると、依存症に効く運動はなんでも良いらしく、
- 週に3回程度の簡単なジョギング
- 週に2〜3回の筋トレ
- ウォーキング
- ヨガ
- サイクリング
などなど、あらゆるエクササイズで効果が確認されてたりします。やはり運動は偉大。
こうなると、なぜ運動が依存に効くのかが気になりますが、この点については、体を動かすことで脳の報酬系が変わるのが大きいらしい(R)。ご存じのとおり、依存ってのはドーパミンの働きによるところが大きく、アルコールやドラッグはもちろん、スマホも私たちの脳の報酬システムに働きかけて、「うおー!もっとほしいぜ!」って気持ちをかき立てることがわかっております。これがずっと続くと、やがて脳が「スマホなしではいられない!」という状態になっちゃうんですな。
ところが、ここでエクササイズをかますと、ドーパミン処理システムに変化が起きまして、
- あれ?運動のほうがスマホやドラッグより気持ちよくないか?
と脳が思い始めるんだそうな。運動をあまりしない人だと、「おい!運動のほうがスマホより快適なわけないだろう!」と思っちゃいそうですが、実際に運動を続けてみると、確かに独特の爽快さがあるんですよねー。私も35歳まで運動をしてこなかった人間なので、よもや自分が「エクササイズきもちええ!」と思うようになるとは予想もしませんでしたが。
というわけで、「ついスマホを触っちゃうなー」とか「酒がやめられないなぁ……」という問題にお悩みの方は、運動をしてみるといいかもしれません。いまのところ、脳のドーパミンシステムを変えるのに最適な運動の種類と量はわかっていないものの、
- なんどもいいから軽い運動を30分ぐらいやる!
ってのを目安にしておくと、スマホに時間を奪われずに、本来すべきタスクに時間を使えるようになるかもしれません。どうぞよしなに。