野菜とフルーツを食べると「失業からの再就職」と同じぐらいメンタルが激烈に改善する理由
「メンタルがへこみやすい人って野菜とフルーツが足りないのでは?」ってのはよく言われる話。緑黄色野菜をよく食べる人は、気分が落ち込みにくいって報告はやたらと多いんですよね。
この手の話は過去にもたくさん見てきたんですけど、最近もいい感じのデータが大量に出てきたんで、最近わかってきたこともふくめてポイントをまとめときましょう。
- 2023年にイギリスで行われた研究(R)では、428名の男女の食事とメンタルを測定したところ、フルーツをよく食べる人ほど、リラックスしており、自信も持っているし、日々の活力が大きいかったとのこと。
- 2022年にオーストラリアで行われた研究(R)では、4,000人以上の女性を対象に野菜とフルーツの摂取量を調べたところ、1日に少なくとも5食分の野菜を摂取する人は、1食分しか食べない人に比べて、その後の15年間でうつ病を発症するリスクが19%も低かった。フルーツをよく食べる人を比較した場合は、1日4食分を食べる人は、1食分の人よりもうつ病になる確率が25%低かった。
- 2018年に行われたメタ分析(R)では、過去に行われた18の研究をまとめたところ、野菜を100グラム摂取するごとに、うつ病のリスクが3%低下することがわかった。
ってことで、いずれもめっちゃよい数字が出てますね。どれも自己申告によるデータなので、調査に甘さを感じる人もいそうですが、まぁ野菜とフルーツがメンタルに良いのは間違いないでしょう。
ちなみに、2016年の研究(R)によれば、野菜をたくさん食べることによるメンタルへのメリットは、失業後に再就職に成功したときのメンタル改善に匹敵するそうな。この比較はわかりやすいっすね。
もっとも、このタイプのデータを見ても「メンタルが健康だから野菜を食べるのか、それとも野菜を食べるからうつ病や不安症のリスクが下がるのか?」ってのはわからないわけですけど、ありがたいことに、近年では「野菜を食べるからメンタルが改善するのだ!」って因果関係を示すデータが増えてきて良い感じです。
いくつか事例を挙げると、以下のようになります。
- インディアナ大学などの研究(R)では、75人の男女を集め、そのうち半分にはいつもの食事を続けるように指示し、残りの半分には「毎週、ニンジン、カボチャ、パプリカ、ケールなどの野菜を食べてねー」と指示。すると、野菜を増やしたグループは、8週間後に、以前よりも幸福感がグンとアップし、対照グループのメンバーよりも幸福感を感じていることが報告された。
- さらに、ノースカロライナ大学などの研究(R)では、野菜やフルーツを食べた直後からメンタルが改善する可能性が示されている。217人の男女を対象に、運動、野菜とフルーツの増量、瞑想という3つの行動の効果をチェックしたところ、フルーツや野菜を食べると、その翌日には、ポジティブな感情がより多くなる傾向が見られたとのこと。
って感じで、やはり野菜とフルーツを食べると、そのおかげでメンタルが改善するらしい。食べた翌日からメンタルが改善するってのは、即効性も高くてすばらしいですねー。
こうなると、「なんで野菜とフルーツで気分が上がるの?」ってところが気になりますけど、上記のデータを見ていると、その理由はだいたい以下のようになりそうであります。
- 健康に悪い食品の量が減る:緑黄色野菜をたくさん食べると、そのぶんだけ不健康な食べ物の量が減る。過去のデータでは、脂肪が多いものや、甘いものをたくさん食べると、神経質になったり、パニックになったり、うつ病になったりする確率が高くなるという報告が多いので、これらの食品を減らせばメンタルも改善しやすいと思われる。
- 腸内細菌が改善する:緑黄色野菜をたくさん食べると食物繊維の摂取量が増えるので、有益な腸内微生物が繁殖し、腸内環境がより健康になりやすい。過去の研究でも、腸内の微生物はうつ病や不安症に関わっているとの指摘が多く、腸内環境が健康だと体内の炎症がコントロールされ、脳機能が良い方向に変わると考えられる。
- 体内の炎症が消える:野菜には抗炎症作用を持ったポリフェノールが多く、複数の研究でも、フラボノイドを豊富に含む食品を増やすことにより、うつ病の症状が改善すると結論づけている。これは、ポリフェノールのおかげで体内の炎症が減り、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質が増え、これにより気分が改善するのだろうと思われる。
といったところで、「どうにも気分が落ち込みやすいな……」って方は、野菜とフルーツを増やすのは、わりと手軽な改善法としていいんじゃないでしょうか。運動や睡眠の改善ももちろん大事ながら、この2つは、慣れないと取り組みが難しいですからねぇ。