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今週の小ネタ:うつ病にプロバイオティクスが効きまくる?健康的な食事をすると、どれぐらい寿命は延びる?新型コロナの後遺症にクレアチンが効く?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

健康的な食事をすると、どれぐらい寿命は延びるの?

健康な食事で寿命が伸びるのは当たり前なんだけど、そこで気になるのは「じゃあ健康的な食事でどれぐらい長生きできるの?」ってとこでしょう。毎日ストイックに食べ続けたのに「半年だけ延びます」と言われたらテンションが下がりますしね。

 

ってことで、「健康的な食生活はどれぐらい寿命を伸ばすのか?」を調べたデータ(R)が英国から出ておりました。これは「UKバイオバンク」っていう大規模な健康調査を使ったリサーチで、みんなの食事の内容と死亡率の関係を調べたものになります。くわしい研究デザインはさておき、まずは大きな結論から申し上げますと、

 

  • 健康な食事をすると平均余命を最大10年伸ばせる
  • 健康な食事のなかでも最も効果が大きいのは、食物繊維、ナッツ、フルーツの割合を増やすとで、加工肉や砂糖入りのドリンクの量を減らすことだった。

 

って感じになります。寿命が10年違うと言われると、やる気が出るってもんじゃないでしょうか。

 

ちなみに、ここで言う「健康的な食事」ってのは、

 

  • 全粒穀物、フルーツ、魚、鶏肉をそこそこ食べて、野菜、ナッツ、豆類、乳製品を多めに食べて、牛肉や豚肉、砂糖入りのドリンクの摂取量は控える。

 

みたいになります。まぁ典型的な健康食ですよね。

 

さらに、年齢ごとに細かいポイントをまとめておくと、こんな感じです。

 

  • 40歳の男性の場合、健康な食事を続けた場合の余命は44.8年だった。逆に不健康な食事の場合は36.3年だった。

  • 40歳の女性の場合、健康な食事を続けた場合の余命は47.7年だった。逆に不健康な食事の場合は39.7年だった。
  • 70歳の男性の場合、健康な食事を続けた場合の余命は17.1年だった。逆に不健康な食事の場合は13.1年だった。
  • 70歳の女性の場合、健康な食事を続けた場合の余命は19.3年だった。逆に不健康な食事の場合は15.1年だった。

 

ということで、やはり男女ともに平均10年ちょい寿命が延びるようでして、これはモチベーションが上がりますねぇ。

 

 

 

新型コロナの後遺症にクレアチンが効く?

新型コロナの後遺症にクレアチンが効くんじゃない?」ってデータ(R)が出ておりました。クレアチンといえば、このブログでも長年にわたってイチオシサプリの座に君臨してますが、こいつが新型コロナによる集中力の低下や頭痛に効くんじゃないかって話ですな。新型コロナの後遺症の治療法は確立されてないんで、これは興味深いニュースですね。

 

これは新型コロナによる頭痛、集中力の低下、体の痛みなどに苦しむ患者さん12人が対象で、

 

  1. クレアチンものハイドレートを1日4g飲む
  2. 食物繊維サプリを飲む(プラセボ)

 

ってグループにわけたうえで、みんなの症状がどう変わったかを調べたんだそうな。その結果は、以下のようになります。

 

  • 疲労度テストの評価を見ると、クレアチンを飲んだグループは、サプリを飲んでから3カ月の時点で疲労の改善が見られた。ただし、6カ月の時点では目立った違いはなくなった。

 

  • また、プラセボグループは、6カ月の時点でモチベーションが悪化していたが、クレアチングループには同じ現象が見られなかった。

 

  • 頭痛、味覚障害、呼吸困難、痛み、集中力の低下についても、クレアチングループは6カ月の時点で改善が見られた。

 


ということで、クレアチンを6カ月続けて飲み続けると、いろんな後遺症がやわらぐかもしれないらしい。もちろん、これはかなり追試が必要なレベルの話ではあるんですが、クレアチンには体内のエネルギー増加と神経を保護する働きがあるので、今回の結果にもわりと納得しちゃいますね。やっぱ普段から飲み続けよう……。

 

 

 

 

うつ病にプロバイオティクスが効きまくる?

このブログでは毎度おなじみのサプリである「プロバイオティクス(腸内細菌サプリ)」がうつ症状を減らすかも!ってメタ分析(R)が出ておりました。

 

この研究は、過去のクレアチン研究から42件のRCTをピックアップしてネットワークメタ解析を行ったもの。データの内訳をざっくりまとめておくと、

 

  • 試験が行われたのは、アジア(17試験)、南北アメリカ(13試験)、ヨーロッパ(3試験)、多国籍施設(9試験)。
  • プロバイオティクスとしては、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、バチルス属を使用。これを抗うつ薬と組みあわせた時に、プラセボよりも効果があるのかをチェックしている。
  • 比較の対象になった抗うつ薬は、SSRI、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、三環系抗うつ薬、ケタミン。
  • 試験期間は6~24週間。

 

といった感じです。プロバイオティクスと抗うつ薬の有効性の比較は、別々の研究結果をベースに推定されているんで、メタ分析としてはバイアスが大きい気がするんですけど、それなりに結果は信頼できそうじゃないでしょうか。

 

では、結果です。

 

  • プラセボと比べて、プロバイオティクスは中レベルの効果量でうつ症状を軽減した。
  • プロバイオティクスはいくつかの抗うつ薬(ブレクスピプラゾール、カリプラジン、シタロプラム、デュロキセチン、デスベンラファキシン、ケタミン、ビラゾドン、コルチオキセチン)よりも有効だった。
  • すべての介入の中では、「エスシタロプラム(SSRI)+プロバイオティクス」の組みあわせが最も効果的だった。

 

まぁこれらのデータは、プロバイオティクスと抗うつ薬を直に比較試験したわけじゃないので、プロバイオティクスが抗うつ薬より本当に優れているかはわからんのですが、プロバイオティクスのポテンシャルを示すデータとしては、なかなかよろしいのではないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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