平日にできなかった運動を週末に詰め込むのはあり?なし?
「運動する時間がない!」ってのはかなり定番のお悩みのひとつ。厳しい仕事をこなし、子供の学校への送り迎えをし、 友人との社交もこなしていたら、平日にジムに行く時間がなくなっても不思議ではないでしょう。
そのため、 1週間の運動の目標を 土日に詰め込んで、どうにか帳尻を合わせている人も少なくないはず。 英語で言うところの「週末戦士」ってやつで、 平日に運動できないなら、週末にまとめてやるしかないですからね。
で、そこで気になるのは、「このような週末詰め込み型の運動は、 1週間を通して細かく運動するやり方と比べて効果が変わるのか?」ってところです。 週末戦士でもちゃんと健康になれるのかって疑問ですね。
新しい研究(R)は、この疑問について調べたもので、ざっくりどんな研究だったかと言いますと、
- 2011年から2018年にかけてアメリカで行われた健康調査を使い、20~59歳の男女9,629人のデータを分析。
- みんなが 普段どれぐらい体を動かしているかを調べ、「運動しない人」「週末戦士」「定期的に運動する人」の3つに人に分類。
- どのグループが最も体型が良かったかをチェックする。
みたいになります。 運動を毎日するかしないかによって、 お腹の脂肪や全身の脂肪の量に違いが出るのかを調べたわけですね。
ちなみに、ここでいう「運動」は、「週150分の軽い身体活動」って定義されてまして、この量に満たない場合は「 運動をしていない人」に分類しております。これに加えて、 参加者全員にDXAを使って体脂肪のチェックもしてまして、内臓脂肪、お腹の皮下脂肪、全身脂肪 などを把握した上で、回帰モデルで運動パターンと脂肪率の測定値との関係を調べたんですな。
でもって、その結果がどうだったかと言いますと、
- 全体の8.2%が「週末戦士」、36.9%が「定期的に運動する人」、54.9%が「運動しない人」に分類された。
- 「運動しない人」に比べて、「週末戦士」と「定期的に運動する人」は、身体が若く、学歴と所得が高く、食事の質が良く、BMIとウエストサイズが低く、高血圧と糖尿病になりにくい傾向があった。
- 「運動をしない人」と比べて、「週末戦士」は内臓脂肪、腹部の皮下脂肪、全身脂肪、ウエストサイズの値が低かった。
- 「週末戦士」は、「定期的に運動する人」よりもBMIがわずかに低かったが(β=-0.64SD)、腹部脂肪、ウエストサイズ、全身脂肪に有意差はなかった。
ということで、この結果を見る限り、週末にまとめて運動をする人でも、日常的に運動する人と同じぐらい健康になれる!と言えそうっすね。うーん、素晴らしい。
ただし、これで「週末戦士でOK!」とは断言できないところもあるのでご注意ください。この研究をチェックする際の注意点としては、
- この研究は有酸素運動のみに焦点を当てているので、筋トレの効果についてはよくわからない。
- 主に脂肪率の変化しか見ていないので、実際に健康レベルがどう変わるのかも謎(内臓脂肪が減ってる時点で体に良いのは間違いないけど)
みたいになります。まぁ筋肉については、過去のメタ分析(R)などを見ると、「週の筋トレ回数が多いほうが良いのは間違いないけど週に1〜2回でもそこそこ筋肉は成長するよ〜」って結論が出てますんで、個人的には、週末だけの筋トレ戦士でも十分な筋肉は発達するんだろうと思いますが。
これは筋力の発達でも同じで、また別のメタ分析(R)では、「トレーニング頻度が高いほど筋力が増えるけど、その効果は量を一致させた研究に限定して解析すると有意じゃないよ!」って感じになってます。そう考えると、ガチのアスリートでもない限りは、週末戦士でもまったく問題はないのかもしれませんな。
ってことで、ここまでの話をまとめると、
- 「普通に健康を維持したい」ぐらいの人であれば、週末戦士でもほとんど問題はなさそう。
- 筋力や筋肉量を やしたい人にとっても、「週末だけのトレーニング」で、 ちゃんとメリットがあることができそう(もちろん、十分なボリュームのトレーニングをする必要終わりますが)。
みたいになります。 平日に全く時間がないと言う人は、気にせずに週末の2日だけがっつりトレーニングしてみるのもいいんじゃないでしょうか。
ちなみに、週末だけ筋トレをする場合は、
- 1日目に上半身を鍛えて、 その翌日に下半身を鍛える。
- 各筋肉群を週1回ずつトレーニングする。例えば、土曜日は 太もも、ふくらはぎ、胸、肩、上腕三頭筋を鍛え、日曜日はハムストリングス、尻、背中、わき腹、上腕二頭筋を鍛える。
見たのやり方になるでしょうね。いずれにせよ、月曜日から金曜日までトレーニングができないような方は、「週末に取り返すかー」ぐらいのゆるい気持ちでどうぞ。