今週の小ネタ:薄毛にはポリフェノールが効く?更年期の骨と筋肉を守るには重い筋トレが効く?筋肉を増やすならホエイ+筋トレが最強?

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
「薄毛にはポリフェノールが効く!」は本当なのか?を調べたメタ分析の話
「ポリフェノールと発毛」の関係を調べたメタ分析(R)が出ておりました。ポリフェノールは、緑茶、ブドウ、リンゴ、カカオなどに含まれる植物由来の成分のこと。抗酸化作用や抗炎症作用を持つものが多いため、健康食品や化粧品にもよく使われております。
で、今回の研究では、ポリフェノールで薄毛は改善するのかを調べた11の試験をまとめてまして、参加者の合計は744人。その大半は「男性型・女性型脱毛症」と呼ばれるアンドロゲン性脱毛症の人たちだったそうな。
研究で使われたポリフェノールは、
- ブドウ種子由来のポリフェノール
- 緑茶抽出物
- リンゴ由来のポリフェノール
など。飲むタイプと頭皮に塗るタイプの両方があり、試験期間も2〜12カ月と幅がありますね。
でもって、分析の結果がどうだったかと申しますと、
- 7件の試験では、プラセボよりも毛髪密度が増えた
- 5件の試験では、プラセボよりも総毛髪数が増えた
- ミノキシジルと比較した2件では、毛髪数に明確な差がなかった
って感じだったそうな。毛髪密度ってのは、一定の面積に何本の髪が生えているかを示す指標なんで、要するに複数の試験をまとめて見るかぎり、ポリフェノールには「髪の本数を少し増やす働きがあるかもしれない」と考えられるわけですね。
あと、個人的に興味深いのがミノキシジル(薄毛治療に使われる定番成分)との比較です。こいつと比べて毛髪の数に差がなかったってことは、「ポリフェノールも同じぐらい効くのでは?」と思いたくなるわけです。まぁ、ミノキシジルと直接比較した試験は2件しかないので、実際には差があっても統計的に検出できなかっただけかもですが。
また、ひとくちにポリフェノールと言っても、ブドウ種子と緑茶とリンゴでは含まれる成分が違うので注意したいところです。ポリフェノールを飲むのか塗るのかも統一されてないし、使用量や試験期間にもかなりの幅があるので、あくまで現時点で言えるのは、「一部のポリフェノール抽出物には、薄毛を改善する可能性がありそう」ぐらいではありますね。候補としては有望だけれど、まだ調べるべきところが多すぎる感じですかねー。とりあえず、今後に期待ってことで。
「更年期の骨と筋肉を守るには重い筋トレが効く?」を調べた実験の話
女性は更年期に入ると、「最近、筋力が落ちてきた気がする」とか「骨密度の検査で注意された」みたいな問題が出てくることがあったりします。これは単なる年齢の問題ではなく、閉経にともなってエストロゲンが減少するのが大きな理由。エストロゲンは骨の代謝に関係しているんで、閉経の前後には骨量の減少が加速しやすいんですよね。
となると、この時期からガッツリ筋トレをすれば、骨と筋肉の減少を防げるのでは?って気になるわけですけども、そこで参考になるランダム化比較試験(R)が発表されておりました。
研究チームが集めたのは、閉経前後または閉経後まもない女性38人で、平均年齢は約53歳。実験では、参加者を筋トレグループと待機グループに分け、筋トレグループには週2回の運動を行ってもらったんだそうな。筋トレのプログラムは9カ月間で、
- 1回しか持ち上げられない重量の80〜85%を使った全身の筋トレ
- 高い場所から着地する「ドロップランディング」
に取り組んでもらったらしい。1RMの80〜85%の負荷といえば、一般的には数回から8回ほどで限界が来る重さなんで、かなり本格的なトレーニングじゃないでしょうか。
でもって、9カ月後の結果を見たところ、筋トレグループでは、
- 筋肉量がわずかに増えた
- 筋力と脚のパワーが向上した
- 腰椎の骨密度が増えた
という変化が確認されたそうな。たとえば、スクワット、デッドリフト、チェストプレス、ショルダープレスの最大筋力は12.6〜30.5%ほど改善してまして、待機グループとの差を見ると、筋肉量は約0.9kg、腰椎の骨密度は0.020g/cm²ほど筋トレグループが上回っていたそうな。
要するに、更年期の女性でも、適切な負荷をかければ、筋肉と骨は十分に反応してくれるって話ですね。特に週2回で改善が見られた点は実用的な知見でしょうな。
ただし、この結果には注意点もありまして、
- 腰椎の骨密度は改善したものの、股関節全体と大腿骨頸部では、グループ間に明確な差がなかった。運動による骨の変化は部位によって異なり、半年ほどの高重量トレーニングだけで全身の骨密度が一様に増えるわけではなさげ。
- これは参加者38人の小規模な試験で、研究の主な目的も、このプログラムを安全に実施できるかを調べるところにある。そのため、「更年期の女性は全員、この方法で骨粗しょう症を予防できる」とまでは言えない。
- 運動習慣がない人が、いきなり80〜85%の重量でスクワットやデッドリフトをやるのはめっちゃ危険。実際に試すなら、まず軽い重量で正しいフォームを身につけ、数週間から数カ月をかけて負荷を上げるのが基本になる。
ってあたりは、くれぐれもご注意あれ。なので今回の結論は、「更年期の骨と筋肉を守るには、週2回の高重量筋トレと衝撃運動が有望。ただし、十分な準備と指導が必要!」ぐらいに考えておいてくださいませ。
「筋肉を増やすならホエイ+筋トレが最強!」を235件の研究で調べた話
「年を取ったらプロテインを飲んだほうがいいんですか?」という質問をよくいただきます。加齢とともに筋肉量は減るもんだし、放っておくと、歩く速度が落ちたり、転倒しやすくなったり、日常生活の動作がつらくなったりしますからね。特に深刻なのが「サルコペニア」と呼ばれる状態で、筋肉量だけでなく筋力や身体機能まで低下しちゃうんで注意したいところです。
で、その対策として定番なのが「筋トレ+タンパク質」であります。筋トレで筋肉に負荷をかけつつ、プロテインで筋肉の材料を補給しようってわけですね。
とはいえ、タンパク質にもホエイ、ソイ、カゼイン、コラーゲンなどがありますし、運動も筋トレ、有酸素運動、複数の運動を組み合わせたプログラムなどさまざまじゃないですか。なので、
- どのタンパク質を選べばいいのか?
- どの運動と組み合わせればいいのか?
- 結局、筋肉を増やすには何がベストなのか?
ってポイントには悩んじゃうところなんですよね。悩ましいですなぁ。
ってところで、近ごろこの疑問を調べた大規模なネットワークメタ分析(R)が発表されておりました。ネットワークメタ分析ってのは、複数の介入法をまとめて比べ、「どの方法がもっとも効果的そうか」をランキングできる分析手法のこと。今回の研究では、235件のランダム化比較試験をまとめて、50歳以上の成人2万980人を対象にしております。
ここで調査の対象になったのは、
- ホエイプロテイン
- ソイプロテイン
- カゼイン
- コラーゲン
- 筋力トレーニング
- 有酸素運動
- 複数の運動を組み合わせたトレーニング
などでして、それぞれの組み合わせを、通常ケア、タンパク質のみ、運動のみの場合と比較しております。
でもって、分析の結果は非常にわかりやすいものでして、
- 筋肉量の改善がもっとも大きかったのは「ホエイ+筋トレ」
- 脚力の改善がもっとも大きかったのも「ホエイ+筋トレ」
だったそうです。つまり、年齢を重ねてから筋肉を増やしたいなら、「ホエイプロテインを飲みつつ筋トレをする」という王道の組み合わせが最有力だったってことですね。うーん、やっぱりか。
ホエイが優秀な理由はいくつかありまして、
- ホエイプロテインは、必須アミノ酸、とりわけ筋タンパク質の合成を刺激するロイシンを多く含むから。
- 消化吸収が比較的速いため、運動後に必要なアミノ酸を届けやすいというメリットもある。
みたいになります。ただし、ここで気をつけたいのは、「ホエイを飲むだけで筋肉が増える」という話じゃないってところでして、この研究のポイントをいくつか挙げておくと、
- 筋肉量と脚力の両方でトップになったのは、あくまで「ホエイと筋トレの組み合わせ」だった。タンパク質は筋肉の材料だが、筋肉に「もっと強くなれ」という刺激を与えるのは筋トレだと言える。材料だけを現場に運んでも、工事の指示がなければ筋肉は大きくなりにくいんで。
- ネットワークメタ分析の順位も絶対ではなく、研究ごとにいろんな条件が異なる。「ホエイ+筋トレ」が平均的にもっとも有望だったとしても、すべての人に同じ効果が出るとは限らない。なので、実用面では、まず週2〜3回の筋トレを行い、食事を含めて十分なタンパク質を取るのが基本。脚力を守りたいなら、スクワット、椅子からの立ち座り、レッグプレスなど、下半身に負荷をかける運動を中心にし、「最後の数回が少しきつい」と感じる負荷から始めればOK。
- ホエイがトップだったからといって、ほかのタンパク質が無意味というわけでもない。乳製品が体に合わない人は、乳糖を減らしたWPIを試すか、ソイなど別のタンパク源を選ぶ方法もある。続けられないホエイより、無理なく摂取できる別のタンパク質のほうが役に立つ。
みたいになります。まぁ、いずれにせよ「50歳以降の筋肉対策では、ホエイプロテインと筋トレの組み合わせが最有力!」ってのは間違いないので、なにか奇抜な方法を試すよりも、適切な筋トレと十分なタンパク質をコツコツ続けるほうが確実でしょうな。


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