お酒をよく飲む人は健康診断で「悪玉コレステロールが正常」でも安心できないかもしれない問題
健康診断で気になる数字といえば、やはり「LDLコレステロール」。いわゆる悪玉コレステロールってやつで、こいつの数値が高いほど心臓病や脳卒中のリスクが上がる可能性があるのはご存じのとおりです。
ただし、ここでややこしいのが、「LDLコレステロールだけ測っても、LDLコレステロールの本当の悪影響はわからないかも?」という問題であります。というのも、LDLコレステロールには大きめの粒子もあれば、小さくて密度の高い粒子もありまして、後者のほうが体へのダメージが大きいんじゃないかと考えられてるんですよ。
こいつは「small dense LDLコレステロール(sdLDL-C)」と呼ばれてまして、何が問題かと言うと、
- sdLDLは血管の壁に入り込みやすく、酸化されやすい!
- 通常のLDL検査だけでは、この粒子がどれだけ含まれているかまではわからない!
ってところがあるからです。そのせいで血管の壁にコレステロールがたまりやすくなっちゃいまして、通常のコレステロールよりも動脈硬化の原因になりやすいと考えられてるんですな。なので、こいつは一般に「超悪玉LDL」などとも呼ばれております。怖いですねぇ。
でもって、近ごろ、新潟大学などの研究チームが、脂肪肝と飲酒量は、sdLDL-Cとどのように関係しているのか?という問題を大規模な健診データで調べていて、なかなか気になる結果になっておりました(R)。
飲酒で「超悪玉LDL」が増える?
今回の研究は、2024年に健康診断を受けた5万5,745人のデータを使ったもの。すべての参加者を「脂肪肝があるかどうか?」で分けたうえで、飲酒量を「低量」「中等量」「過量」の3段階に分類したんですよ。つまり、
- 脂肪肝なし・低量飲酒
- 脂肪肝なし・中等量飲酒
- 脂肪肝なし・過量飲酒
- 脂肪肝あり・低量飲酒
- 脂肪肝あり・中等量飲酒
- 脂肪肝あり・過量飲酒
の6グループを比べたわけですな。ちなみに、研究チームはsdLDL-Cが35mg/dL以上の人を「高sdLDL-C血症」と定義しておられます。
で、その結果がどうだったかと言いますと、
脂肪肝があり、なおかつ飲酒量が多い人ほど、高sdLDL-C血症の割合が高かった!
って感じだったんだそうな。具体的には、脂肪肝がなくて酒もあんま飲まない人では、高sdLDL-C血症の割合は23.3%。一方、脂肪肝があって飲酒量も多い人は76.4%だったそうな。んー、結構な違いっすね。
つまり、この結果からは、
お酒を多く飲む人では、通常のLDL-Cや中性脂肪だけでは見えにくいリスクが存在するかも!
ってことであります。健康診断でLDL-Cが基準値に収まっているからといって、飲酒による脂質への影響はすべて見えてるわけじゃないのかも?ってことですね。
では、sdLDL-Cを測ればいいのか?
なんとも怖い話ですけども、もちろんこの結果だけをもって、「酒を飲む人は全員sdLDL-Cを測るべきだ!」とまでは言えないところです。この研究ってのは、あくまで一時点の観察研究なんで、
- 本当に酒のせいでsdLDL-Cが増えたの?
- sdLDL-Cが高いせいで、実際に心筋梗塞は増えるの?
- sdLDL-Cを測定して治療に生かすと病気を防げるのか
といった点まではわかりませんので。
あと、いまんとこsdLDL-Cは普通の健康診断でチェックはできず、現状では人間ドックなどのオプション検査になってることが多いのも難点っすね(私は年1の人間ドックでオプションをつけてますが)。なので、sdLDL-Cを簡単にチェックできない人は、飲酒量、血圧、血糖、中性脂肪、腹囲、肝機能などをまとめて確認するのがいいかもですね。
そのうえで、
- いま普通によく酒を飲んでいる
- 脂肪肝を指摘されたことがある
- 中性脂肪が高い
- 糖尿病や肥満がある
- 家族に心筋梗塞や脳卒中が多い
みたいな条件が重なってる人なら、医師にsdLDL-C検査の必要性を相談してみる価値はありそうっすね。
というわけで、今回の研究を簡単にまとめると、
脂肪肝と飲酒が重なる人ほど「超悪玉LDL」が多く、とくに飲酒の悪影響は、通常のコレステロール検査だけでは、ちゃんとチェックできないかも
みたいになります。まぁ「健康診断のLDL-Cが正常だから、いくら飲んでも大丈夫!」とは考えず、やはり酒の量を見直すのが基本でしょう。新しい検査項目を追加するより、飲酒量を減らすほうが、安上がりで多方面への効果も期待できますからねぇ。



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