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筋トレ後に「体を温める」と、本当に筋肉が増えやすくなるのか?のメタ分析


筋トレ後にサウナや風呂に入ると、筋肉が増えやすくなるかも?」って話を調べたメタ分析(R)が出てまして、なかなか面白かったのでメモ。

 

今回のメタ分析に含まれたのは6研究、合計116人。参加者は19〜25歳の健康な男女で、筋トレ経験者も未経験者も含まれております。

 

筋肉を熱する方法はけっこうバラバラで、

 

  • 普通のドライサウナ
  • 遠赤外線サウナ
  • 温水浴
  • 電気式ヒートパッド

 

などです。加熱時間も10〜40分と幅がありまして、温浴なら39〜45℃ぐらい、サウナなら50〜100℃ぐらい。基本的には筋トレ終了から30分以内に体を温めてますね。

 

で、分析の結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 筋トレ後に筋肉を温めると、筋肥大にはプラスかもしれない。しかし、まだ確信できるほどではない。

 

みたいな感じだったそうな。もうちょい詳しく言いますと、

 

  • 筋肥大について、加熱をしなかったグループと比較した平均効果量はSMD=0.12!

 

だったそうで、まぁ「効果はあるかもだけど、かなり小さな差だよなー」って解釈になりますね。

 

しかも、95%信用区間が-0.09〜0.31だったんで、「実際にはほぼ効果がない!」って可能性もあれば、「小さいながらちゃんとプラス!」の可能性もある、って状態だったりします。これは悩ましい。

 

ただし、この分析ではベイズ統計を使ってまして、

 

  • 筋トレ後の加熱が筋肥大にプラスである確率……89.7%
  • 少なくとも「小さい効果」がある確率……58.7%
  • 中程度以上の効果がある確率……約3%

 

という結果を出してくれてるのがありがたいところ。つまり、この結果をどう読むか?と考えるならば、

 

  • たぶんマイナスではなさそうだし、多少は効いてる可能性も高い。ただし、劇的な筋肥大効果を期待するようなものではない!

 

ぐらいに考えるのがよいでしょうな。

 

でもって、なんで体を温めると筋肉が大きくなる(かもしれない)のかと言いますと、実はここはまだハッキリしてなかったりします。よくある説明としては、

 

  • 血流が増えて筋肉への栄養供給が良くなる
  • 筋損傷からの回復が促進される
  • ヒートショックプロテインなどの反応が起きる

 

といったものがあるんだけど、どれも決め手に欠けてたりするんですよ。

 

ただ、個人的に今回のメタ分析で面白かったのが、「熱そのものが軽い運動のような刺激として働いているんじゃないか?」って考え方をしてるとこですね。つまり、サウナや温浴によって単に「回復が早くなる」んじゃなくて、熱によるストレスそのものが体に刺激を与えて、筋トレとは別に筋肉の反応をうながしているんじゃないか、と。

 

これは大事なポイントでして、それというのも、

 

  • 熱のストレスで筋肉が刺激されてるなら、体を温めすぎると逆効果になる可能性が高い

 

と思われるからであります。なんせ、今回のメタ分析に含まれた研究では、筋トレ頻度は週2〜3回ぐらいだし、ほとんどがそんなにキツめのトレーニングをしてたわけでもないんで。

 

なので、この実験に参加した人たちは、まだ筋肉に余裕があり、そのせいで体を温めることで追加のメリットを得られたかもしんないんですよ。なので、これとは逆に、

 

  • 週5〜6回ハードに筋トレしている
  • すでに疲労がかなりたまっている
  • 睡眠や食事も十分でない

 

みたいな人が、さらに毎回サウナで強いストレスをかけたら、逆効果になっちゃうこともあるでしょうな。やっぱ何事もやりすぎはNGっすね。

 

そんなわけで、このデータを見る限り、現時点では「筋肉を増やすために、わざわざサウナを始める必要はないよなー」と考えるのが妥当でしょう。なにしろ研究はまだ6件しかないし、加熱方法も温度も時間もバラバラですからねぇ。「何℃で何分入ればもっとも筋肥大するのか?」みたいな具体的なプロトコルを出せる段階でもないですし。

 

ただし、一方では、普段から週2〜3回ぐらい筋トレをしていて、そもそもサウナや風呂が好きな人なら、筋トレ後に入るのは普通にアリだよなーとも思ったりするわけです。適度なトレーニング量の人なら、筋トレ後にサウナへ入ったり、ジムのジャグジーを使ったり、帰宅して温かい風呂に入ったりするのはいいことなんじゃないでしょうか。

 

話をまとめると、現状では「サウナに入れば筋肉が増える!」と考えるんじゃなくて、「どうせ風呂やサウナに入るなら、筋トレ後にやっておくと少しお得かもしれないなー」ぐらいに思っておくのがちょうどいいんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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