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腰や肩が痛い人は、めっちゃ軽い運動を続けるといいよ!という大規模研究の話

 

 

痛みがあるなら、とりあえず軽く運動しとけ!」という、良いアンブレラレビュー(R)が出てたので、内容を押さえておきましょう。

 

 

 
2736件のRCTをまとめてみた

これはアデレード大学などの研究で、過去に行われた157件のシステマティックレビューをまとめたアンブレラレビューになっております。

 

元になったデータは、

 

  • 2736件のランダム化比較試験
  • 合計22万1279人

 

という大規模なもの。この大量のデータをチェックして、「運動って痛みにどれぐらい効くの?」ってところを調べてくれたんですよ。

 

ご存じのとおり、痛み研究の世界では、昔から「腰が痛いから運動する」「膝が痛いから筋トレする」みたいなアドバイスがよく言われてきたんですね。というのも、運動には痛みを和らげる効果があることが、複数の研究で確認されてきたからです。

 

とはいえ、痛みの種類によっておすすめの運動は違うだろうし、「そもそも痛いときに体を動かして大丈夫なの?」って不安もやっぱりありますからねぇ。そこで今回の研究は、「痛みを運動で改善する」って考え方がどこまで正しいかを調べてみたわけです。

 

ここで分析の対象になった痛みはかなり幅広くて、

 

  • 腰痛
  • 首の痛み
  • 変形性関節症
  • 線維筋痛症
  • 関節リウマチ
  • 片頭痛
  • がん関連の痛み
  • 月経痛

 

などなどが含まれております。さらに、実験で使われた運動も様々でして、

 

  • 有酸素運動
  • 筋トレ
  • 水中運動
  • ヨガ
  • ピラティス
  • 太極拳

 

といった感じだったそうな。つまり、ここで研究チームは、運動という行為そのものに、どこまで一般的な鎮痛効果があるのか?ってところを調べたわけっすね。

 

 

 

運動で痛みはちゃんと減っていた

で、分析の結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 運動をした人は、しなかった人よりも痛みが明確に減っていた!

 

  • しかも、この効果は特定の病気だけで確認されたわけではなく、慢性痛でも急性痛でも、運動で痛みが減る現象が確認された。

 

  • 筋骨格系の痛みはもちろん、神経系、炎症性疾患、がん関連の痛みなどでも、だいたい運動する人のほうが痛みが減った。

 

だったそうです。しかも、「運動で痛みが減る」時の効果量はSMD=−0.59でして、かなり無視できない数値が出たんですよ。これぐらいの効果量が出ているなら、少なくとも痛み対策として運動を使う根拠はかなりあると考えていいでしょうね。

 

 

 

ハードに運動する必要はないらしい

さらに、この研究では、「痛みを減らすには、どんな運動をすればいいの?」ってとこも分析しております。

 

この問題について、普通に考えると「運動量が多いほど効くのでは?」とか、「筋トレなら追い込んだほうが効果が高そう」みたいに思っちゃうわけですが、実際はさにあらず。今回のデータでは、

 

  • むしろ低強度の運動のほうが痛みの改善に効く!

 

って結論だったんですよ。具体的には、

 

  • 12週間未満
  • 週120分未満
  • 比較的低い強度(たとえば、太極拳やヨガのような、心拍数があまり上がらない軽い運動とか)

 

の運動プログラムが、もっとも痛みの改善幅が大きかったらしいんですな。もちろん、研究ごとの参加者や痛みの種類が違うので、単純な因果関係として読むのは危険なんだけど、少なくとも、

 

  • 痛みがある人は、軽い運動から始めて、無理なく続けるのがベストなのでは?

 

と思わせる結果じゃないでしょうか。

 

 

 

なぜ運動すると痛みが減るんだろう?

では、なぜ運動が痛みに効くんでしょうか? ここはまだ完全にはわかってないポイントなんですが、考えられている理由はいくつかありまして、

 

  • 運動によって筋力や関節機能が改善すれば、当然ながら患部への負担は減る。

  • 運動には炎症や睡眠、気分などを改善する作用もあるんで、これらが間接的に痛みを減らす可能性もある。

  • 慢性痛は、実際の組織ダメージだけでなく、神経系が痛みに過敏になっているケースもある。そのため、無理のない範囲で体を動かすことで、脳が「動いても大丈夫だった!」という経験を積み、おかげで痛みに対する警戒反応が弱まる。

 

といったあたりがメジャーですね。つまり運動ってのは、痛みを処理するシステム全体に働きかけているんじゃないか?と考えられてるわけです。

 

 

 

「痛いから動かない」が最適とは限らない

というわけで、今回の研究を実際に活用するのであれば、

 

  • 痛みが出たら、「できる範囲で軽く動く!」ぐらいに考えておくといいかも

 

ぐらいの心構えが大事じゃないかと思う次第です。

 

そのうえで、医師などから運動を止められていないのであれば、

 

  • 10〜20分ほど歩く
  • 軽めの自重トレーニングをする
  • ゆるいヨガを試す
  • 水中ウォーキングをする
  • 太極拳のような穏やかな運動をする

 

あたりからスタートするのは十分アリでしょう。なにしろ今回のデータを見る限り、痛み対策では「頑張って追い込むこと」より「無理なく体を動かせること」のほうが大事そうなんで。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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