今週の小ネタ:ショート動画を見ると、勉強した気になるだけで終わっちゃう?SNSを見て疲れると、なぜメンタルまで落ちていくのか?学校でスマホを禁止しても、子どものメンタルは良くならない?

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
ショート動画を見ると、勉強した気になるだけで終わっちゃう?
「最近はYouTubeショートとかTikTokで勉強してます!」みたいな人が増えている昨今。確かにショート動画は便利なものでして、難しい知識を1分ぐらいで説明してくれるし、本を読むより楽ですからね。私も普通に見ます。
ただし、ここで問題になるのが、「ショート動画の勉強って本当に覚えているの?」という点です。短時間で「わかった!」って感覚を得られたからといって、それが記憶に残ってるかどうかはわからないですからね。
そんなわけで、新しい研究(R)では、「ショート動画で勉強すると、普通の動画より記憶に残りにくいんじゃないの?」って問題を調べていて、ためになりました。
研究チームは旅行について解説した10分ほどの映像を用意し、これを、
- ひと続きの普通の動画を見る
- 5〜7本ほどの短い動画に分割して見る
という2パターンに加工。しかも、ショート動画版には、風景だけが映る映像なども挟んで、SNSで動画を次々スワイプするような状態を再現したそうな。もちろん、両方のグループが受け取る情報量やナレーションの量は同じで、違うのは、情報がひと続きになっているか、それとも細切れになっているかってとこだけであります。
で、この動画を180人の大学生に見てもらい、その直後と翌日に記憶テストを行ったところ、
ショート動画を見た人のほうが、内容を覚えていなかった!
という結果だったんですな。ちなみに、研究チームは別の185人で追試もしてまして、「あとでテストするので、ちゃんと覚えてくださいね」と伝えてから動画を見てもらったところ、こちらも同じような結果だったとのこと。ショート動画グループは直後のテストでも成績が悪く、さらに翌日になると、覚えた情報を忘れる割合も大きかったらしいんですな。
となると、なんでショート動画のほうが記憶しづらいのかってとこが気になりますが、研究チームは「ショート動画を見ると、記憶に関わる脳がうまく働かないのでは?」と推測しておられます。ショート動画は変化が激しいので、脳が「内容を理解しよう!」とするより、「おっ、画面が変わった!」「また変わった!」と反応することに忙しくなるのでは?って仮説っすね。これはありそうですねぇ。
まぁ、これだけで「ショート動画は勉強に向いてない!」とは言えないんだけど、個人的には、
- ショート動画ってのは、尺が短いことが問題なんじゃなくて、「情報が次々に切り替わること」が問題なのかもなぁ
みたいな感想を持ったりしました。なので、もしショート動画で勉強するなら、「なるほど!」と思って次の動画に移る前に、「いま何の話だったっけ?」みたいに、10秒ほど思い出す時間をはさんでみるといいかもですね。おそらく、それだけでもショート動画の内容が定着する率は高いんじゃないかと。
SNSを見て疲れると、なぜメンタルまで落ちていくのか?
「なんとなくSNSを見てただけなのに、気づいたら妙に疲れてる……」みたいな経験は誰にでもありましょう。ただTikTokやInstagramを眺めてただけなのに、なんかその後は何をするにも面倒くさくなるような体験ですな。SNSに特有の疲労感っすね。
で、近ごろこの問題について、「SNSを見て脳が疲れるのはなぜ?」を調べた研究(R)が出てたんですよ。
ここで研究チームが注目したのは、最近よく使われるようになった「brain rot(ブレインロット)」という概念です。こいつは、直訳すると「脳腐れ」って感じでして、
- デジタルコンテンツを大量に消費したときに感じる、認知的な疲労や精神的な消耗
みたいな意味になっております。こいつがSNSを見た後の妙な疲労感を引き起こす原因のひとつなんじゃないかと、研究チームは推測したわけですね。
実験は平均22歳ほどの439人を対象にしたもので、
- ブレインロット
- バーンアウト
- ストレス
- 不安
- 抑うつ
- 感情調整の苦手さ
などを測定し、それぞれがどうつながっているかを分析したとのこと。
で、その結果がどうだったかと言いますと、
- ブレインロットが強いからといって、そのまま直接うつっぽくなるわけではなかった
- しかし、「ブレインロット→バーンアウト→ストレス・不安→抑うつ」という間接的なつながりが見られた
って感じだったそうです。つまり、「SNSを見すぎたら即メンタルが落ちる!」ってことはないものの、いくつかの段階を経て抑うつにつながるメカニズムがあるのではないか、と。
この流れを、研究チームは「loss spiral(資源喪失のスパイラル)」として説明してまして、どういうことかというと、
- 人間が使える集中力や精神的なリソースには限りがある
- しかし、TikTokなどを開くと、数秒ごとに違う情報が入ってくる
- そのため、次々に新しい情報へ注意を向け続けることになり、見終わったあとに妙な疲労感が生まれる
みたいな感じっすね。それが続くと脳がすり切れて、最後にはメンタルが落ち込むってことですな。
ただし、これは一時点のアンケートデータでしかないので、「SNSを見たせいでバーンアウトする」って因果関係までは不明。そこらへんは注意なんだけど、「SNSを見た後の疲労感を軽く見ないほうがいいかも!」って警告にはなるでしょうな。
なので、個人的には、SNSを使う時は「SNSを見たあとに何が起きているか?」をチェックしたほうがいいんじゃないかと思った次第です。たとえば、
- SNSを閉じたあとに仕事へ戻れるか?
- 頭がぼんやりしてないか?
- 以前よりイライラしてないか?
- 何もしたくない感じが増えてないか?
あたりですね。短時間だろうが、SNSの後で毎回ぐったりするなら、自分の利用方法を振り返ってみたほうがいいでしょうね。
学校でスマホを禁止しても、子どものメンタルは良くならない?
スマホを禁止すれば、子どものメンタルまで本当に良くなるの?って問題を調べた研究(R)が出ておりました。近ごろは子供のスマホ使用が問題になってるんで、「だったら学校でスマホを禁止すれば、子供のメンタルも改善するんじゃないの?」という発想が出てくるのは自然ですからね。
この研究は、2016〜2024年の全米子ども健康調査のデータを使い、学校でスマホを禁止にした州と、そうでない州を比較したもの。そのうえで、
- スクリーンタイムは減ったか?
- 心理的ウェルビーイングは改善したか?
などを調べております。
で、その結論がどうだったかと言いますと、
- 学校でスマホを禁止してもメンタルが良くなるという証拠はなかった
- 学校でスマホを禁止しても、子供の全体のスマホ使用量は変わらなかった
って感じだったんだそうな。あくまで初期的な証拠ではありますが、少なくとも、スマホを禁止すればすぐにスクリーンタイムが減って、メンタルも改善するみたいなことはなさそうっすね。あと、このデータを見ると、学校でスマホを禁止したところで、逆に帰宅してからスマホを見まくっちゃう傾向も確認されてまして、そこらへんの問題も多いんでしょうな。
となると、「やっぱりスマホ禁止なんて意味ないじゃん!」という気持ちになるかもですが、ここらへんは「まだよくわからんなー」としか言えないが難しいところです。というのも、南オーストラリアの中高生1,062人を調べた研究(R)では、学校のスマホ禁止によって、心理的苦痛とネガティブ感情が減少したって報告も出てるもんですから。
つまり、現状の研究をまとめると、
- スマホ禁止には多少のメリットがある可能性はあるけど、それだけでメンタルが大きく改善するとは言えない
ぐらいに考えておくといいんでしょうねぇ。
なので、子供とスマホの利用でお悩みの場合は、子供はスマホをどう使っているか?のほうにフォーカスするほうがいいような気がしております。たとえば、
- 寝る直前まで使っている
- SNSで他人と比較し続けている
- いじめや炎上に巻き込まれている
- 通知のせいで授業に集中できない
みたいな状態が見られるなら、そこをピンポイントで変えたほうがいいでしょうな。


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