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今週の小ネタ:筋トレのメンタル改善には、重い重量は必要ない?外向的な人ほど「聞き上手」に見えない?少量の酒でもバランス感覚が悪化する?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

筋トレのメンタル改善には、重い重量は必要ない?

「メンタルを改善するための筋トレは、どれぐらい重い重量でやればいいの?」って問題を調べた研究(R)が面白かったのでメモ。

 

「筋トレでメンタル改善!」ってのは割と有名な話ですが、ここで気になるのが「メンタルへの効果を得るには、重い重量を持たなきゃダメなの?」ってところです。強い負荷じゃないとメリットがないのなら、初心者にはちょっとつらいですからね。

 

そこで研究チームは、不安症に悩む若い女性55人を集め、みんなに週2回の筋トレを8週間ほどやってもらったそうな。その際に、参加者ごとにトレーニングの負荷を変えまして、

 

  • 通常強度グループ:最大挙上重量の70~80%

  • 低強度グループ:最大挙上重量の20%

 

みたいに設定したそうな。最大重量の20%ってのは、かなり余裕を持って動かせるレベルっすね。

 

その結果がどんな感じだったかと言いますと、

 

  • 抑うつ症状は、通常強度グループで平均54%、低強度グループでも平均43%減少した。
  • この改善は、トレーニング終了から1カ月後にも、おおむね維持されていた。

 

だったそうな。つまり、メンタルを改善するのが目的なら、重い重量で限界まで追い込む必要はないのではないか、と。筋トレ未経験者であれば、週2回身体を動かすだけでも、一定のメリットが得られるのかもしれませんな。

 

一方で、当たり前ですが、筋力の伸びには差がありまして、

 

  • 通常強度グループは筋力が41%アップした
  • 低強度グループは21%の増加だった

 

みたいな違いが出ております。そりゃあ筋肉や筋力をしっかり伸ばしたいなら、重量を上げるのは大事でしょうね。

 

まぁ、この実験デザインだと、改善の原因が筋トレそのものだったのか、それとも「運動したから良くなるはず」ってプラセボ効果だったのかを区別できないんで、そこは注意。とはいえ、メンタルのために筋トレを試すなら、まずは週2回、余裕のある負荷で全身を動かすとこからはじめてみるのは良いことでしょうな。

 

 

 

外向的な人ほど「聞き上手」に見えない?

「社交的で話がうまい人は、聞き上手でもあるのか?」って問題を調べた研究(R)が面白かったのでメモ。一般に、外向的な人は「コミュニケーション能力が高い」と思われがちなんだけど、この研究では、

 

  • 外向的な人ほど、むしろ「話をきちんと聞いてくれなさそう」と評価される!

 

って傾向が確認されたんだそうな。

 

これは合計2456人を対象に6つの調査と実験をしたもので、ざっくりどんなものだったかと言いますと、

 

  • 最初の研究では、MBAの学生たちに自分の外向性を評価してもらい、同じグループの仲間がどれぐらい聞き上手だったかを判定してもらった。その結果、外向性が高い学生ほど、仲間から「聞き上手ではない」と見られる傾向があった。
  • 別の研究では、参加者に外向的な人物と内向的な人物のプロフィールを読ませ、「この人と話したら、どれぐらい自分の話を聞いてくれそうか?」を評価させた。すると、ここでも外向的な人物のほうが聞き手として低く評価された。

 

みたいな感じでして、全体として外向的な人ほど一貫して「聞き下手」だと評価されやすかったらしいんですな。

 

なんだか不思議な結果のようですが、こういった問題が起きる原因について、研究チームは「外向的な人は、その場に合わせて自分の見せ方を変えるのがうまい」と思われている点を挙げておられます。なんでも外向的な人ってのは、

 

  • 明るい表情を見せたり、大きくうなずいたり、楽しそうにリアクションしたりしていても、「この人は本当に興味があるのではなく、社交的に振る舞っているだけでは?」と思われやすい。

  • 外向的な人のエネルギーや愛想の良さが、かえって「演技がうまい人」という印象につながる。

 

ってデメリットがあるらしいんですな。それと同時に、外向的な人ってのは「とにかく自分だけしゃべりたがる」と思われやすい傾向もあったそうで、これもなかなかのデメリットですね。

 

ただし、この研究は、決して「外向的な人は人の話を聞かない」と示したもんじゃないのでご注意あれ。これはあくまで、外向的な人は、実際には優れた聞き手だったとしても、社交性の高さが災いして損をしている可能性があるって話なんで。

 

なので、もしあなたが外向的な人な時は、リアクションをさらに増やすのではなく、相手の話を聞いている姿勢を見せることでしょう。たとえば

 

  • 相手の言葉を短く言い換える
  • 「それはいつ頃から?」などの追加質問をする
  • 沈黙を急いで埋めず、相手が話し終わるまで待つ

 

みたいな感じっすね。こうした行動があれば、単なる愛想ではなく、「内容まで聞いている」と思われやすくなるんで(ド内向の私には関係ない話ですが)。お気をつけあれー。

 

 

 

少量の酒でもバランス感覚が悪化する?

「少量の飲酒でも、長年続けると身体能力に影響が出るの?」って問題を調べた研究(R)が出ておりました。

 

アルコールの害といえば肝臓やがんなどが定番ですけども、今回の研究が調べたのは、もっと日常的な「手先の器用さ」と「バランス感覚」であります。ボタンを留めたり、細かい道具を扱ったり、転ばずに立ったりするような能力っすね。

 

研究チームが集めたのは、21〜69歳の健康な成人83人。いずれも大量飲酒をしていない人たちだけを集めたんだそうな。

 

そのうえで、過去1年間、3年間、生涯にどれくらい酒を飲んできたかを質問し、以下のテストを行っております。

 

  • 手先の器用さ:向きがバラバラな穴に、25本の小さな棒をできるだけ速く差し込む

  • バランス能力:両足を一直線に並べ、腕を胸の前で組み、目を閉じた状態で最大60秒立つ

 

その結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 過去1年や3年の飲酒量は、手先の能力と明確な関連がなかった。
  • ところが、年齢と生涯の総飲酒量を組み合わせて分析すると、数値が高い人ほど、利き手で棒を差し込むスピードが遅い傾向が確認された。

 

って感じだったそうな。つまり、「最近ちょっと飲んだ人ほど手先が鈍る」ってことはなく、生涯で酒を飲む量のトータルが増えるほど、手先の細かな動きに差が出るかもしれないってことですね。細かく言うと、生涯の平均飲酒量が1標準偏差増えるごとに、60秒間バランスを保てるオッズが約2.3分の1になってたそうで、ちょっと心配な感じであります。

 

まぁ、あくまで小規模な試験だし、過去の飲酒量も本人の記憶に頼ってるだけなんで、いまだ因果関係は謎であります。なので、まだ酒の害が明確になったわけでもないんですけど、個人的には、

 

  • 酒のリスクを考えるときは、「今日は何杯飲んだか」よりも「生涯のトータル飲酒量はどれぐらい?」まで考えるといいよなー

 

みたいな教訓は得られるような気がしております。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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