「高校でバイトを続けた人は、将来の収入が高くなるかもだぞ!」みたいな研究の話
「高校でバイトを続けた人は、将来の収入が高くなるぞ!」みたいなデータ(R)が出ておりました。
「高校生のアルバイトってどうなの?」みたいな議論は昔からありまして、これについては、
- 社会勉強になるから、高校時代にアルバイトをやったほうがいい!
- 勉強の時間が減るから、高校時代のアルバイトは控えたほうがいい!
といった真逆の意見があったりするんですよ。どちらもなんとなく説得力がある説なんだけど、果たしてどちらが正しいのかってことですな。
そこで研究チームは、「高校時代に働いた経験は、30代や40代になってからの仕事にも関係するのか?」ってところをチェック。1988年にアメリカで中学3年生にあたる学年だった約1000人を、その後30年以上追跡したデータを使いまして、すべての参加者が45~46歳になるまで、学歴や賃金、就いている仕事などを調べたんだそうな。
具体的には、研究チームは、高校時代の働き方を、
- 労働時間:週に何時間ぐらい働いたか
- 継続期間:高校生活を通じて何カ月働いたか
の2つに分けて、その後のキャリアとの関係を比べたんですよ。当然ながら、「週に何時間も働いた人」と「短時間の仕事を長く続けた人」では経験の中身が違うだろうし、結果として大人になってからの働き方への影響も違うでしょうからね。
では、分析の結果を見てみましょうー。
- 週20時間を超えるような長時間のアルバイトをしていた人には、卒業直後の時給が高い傾向が見られた。これは、働いた経験が豊富なぶん、学校を出てすぐの就職で有利だったのだと思われる。
- ただし、この賃金面での利点はずっと続くわけではなく、20代後半から30代になるにつれて薄れる傾向も見られた。さらに、長時間バイトをしていた人は、ほどほどの時間に抑えていた人より、大学の学位を取る割合が低い傾向もあった。
ということで、長時間働けば卒業直後は有利だけど、その利点は長続きしないって結果ですね。もちろん、これは「バイトのせいで進学できなかった」って話ではなくて、早くから仕事に力を入れたい人と、進学を優先したい人だと、もともとの希望が違う可能性がありますからね。卒業直後の収入だけでは、長い目で見た結果は判断できないんで。
ってことで、研究チームは、さらに、長期的なアルバイトを続けた期間と、大人になってからのキャリアの関係も調べております。
- 「何カ月働いたか」で比べると、高校生活の中で比較的長くアルバイトを続けた人は、大人になってからの賃金が高く、本人が「キャリアにつながる仕事だ」と考える職にも就きやすい傾向が見られた。この傾向は、40代半ばまでの追跡期間を通して見られた。
- 働いた時間と期間を組み合わせて見ると、特に大人になってからの成功と結びついていたのは、週の労働時間を20時間未満に抑えながら、ほぼ継続して働いた人たちだった。このような人たちは、大学の学位を得る割合も高く、その後のキャリアや賃金でも良い傾向が見られた。
こちらは、長時間働くより、無理のないペースで続けたほうが、将来のキャリアには有利かもしれないって結果ですね。なぜこういう現象が起きるのかについて、研究チームは「長期間のアルバイトによって、時間のやりくりや職場での責任感を身につけられるのでは?」と言っておられます。さらに、その他の理由としては、
- 長く働いた経験があるおかげで、採用する側が「この人は、仕事を続けられる人だ!」と判断しやすくなる。
- 長くアルバイトとして働くなかで、自分に合う仕事や働き方を早くから見極められる
みたいなこともあるでしょうな。まぁ、これらは結果を説明するための仮説で、今回のデータだと仕組みまではよくわからんので、そこは注意してくださいませ。あと、この研究デザインだと、たとえば、「長く働き続けた人には、アルバイトを始める前から計画性が高い人が多かったかも?」ってあたりは判断できないですし。さらに言えば、この結果が今の日本のアルバイト環境に当てはまるのかどうかも完全に謎ですしね。
ただ、そういった限界を踏まえても、この研究から学べる点はありまして、たとえば、
- 高校生のアルバイトを考えるときは、単に「働くべきか」だけを問うより、学業や睡眠を保ちながら、無理なく続けられる働き方かを考えたほうがよさそう。
- 大人になって役立ちそうな経験を積める仕事か?を考えてみるのもよさそう。
- 目先の収入を優先しすぎて、進学など将来の選択肢を狭めていないか?を考えてみるのもよさそう。
あたりは一考してみる価値があるんじゃないでしょうか。どうぞよしなにー。



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