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科学的に正しい「仕事のやりがい」を見つける方法

Jobcalling

以前に「夢や情熱なんか追っても『天職』は見つからない理由」って話を書きました。なんでも、天職を見つけた人たちは「人生の目的」 を持っていたわけじゃなく、たまたま手にした職にやりがいを見出したケースが多いんだそうな。





『仕事のやりがい』にもっとも影響をあたえる要素とは?

では、「じゃあ『仕事のやりがい』ってなんなの?」ってあたりを調べたのが、2007年のメタ解析(1)。過去に行われた259の職業研究から、20万人超のデータを取り出して統計処理した労作であります。


その結果は、基本的には昔から言われてきたことと同じで、

  • 自治性:どれだけ仕事を自由にコントロールできるか
  • 多様性:仕事の内容に幅があること
  • 困難さ:適度な難しさがあること
  • フィードバック:自分の成果がハッキリ把握できるか
  • 全体性:仕事の最初から最後まで関われるか


などは、やっぱり仕事のやりがいを決める重要な要素らしい。


ただ、なかでもズバ抜けて影響が大きいポイントが1つありまして、それが、

  • 人様のお役に立ってる感


なんだそうな。とにかく、自分は他人に良い影響を与えている!って感覚が大事なんだと。


これは1999年の調査(2)でも似た結果が出てまして、どうもアメリカだけでなく世界的に同じ傾向が見られるらしい。文化的な差は関係ないみたいっすね。


ほかにも、やりがい研究の第一人者であるエイミー・レズネスキー教授の1997年論文(3)でも、天職でもっとも大事なのは「『自分は世界を少しでも良い場所にできている!』という信念」とのこと。なにはなくとも、そう思い込むのが大事らしい。

とにかくエンドユーザーに会え!

とはいえ、実際に人様のお役に立ててないと、そんな信念を持つのも難しいことでございます。そこで、「GIVE & TAKE」で有名なアダム・グラント教授がオススメしてるのが、

  • エンドユーザーに会ってみる


って方法。教授が2007年に行った実験(4)によれば、大学の寄付金調達係たちに学生たちと面会してもらったところ、その後、全員のパフォーマンスが激しく上がりまして、週の電話アポイント時間が142%もアップし、収益は400%にまで増えたとか。うーん、すごい。


また、2008年にはレントゲン技師に患者の写真を見せる実験(5)が行われたんですが、やはり全員のモチベーションがアップしまして、レポートの長さが29%ほど増え、診断の正確性が46%も上がったそうな。


この方法は一部の企業ではすでに実践されてまして、フェイスブックは定期的にユーザーからの感謝を開発チームに伝え、建設機械の大手ディア・アンド・カンパニーも従業員とユーザーがじかに会う機会をもうけているらしい。


そんなわけで、どうにも仕事のやる気が出ないなら、エンドユーザーに会ってみたら?という話でした。わたしのような泡沫ライターは、なかなか読者さんに会うチャンスがないんだよなぁ…。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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