ニキビの原因は乳製品だ!はどこまで正しいのか?
https://yuchrszk.blogspot.com/2018/03/blog-post_17.html
ニキビに関するご質問をいただきまして。
初めまして、いつも楽しく読んでいます。前にニキビは心の問題が大きいという記事を書いてらっしゃいましたが、牛乳についてはどうお考えでしょうか?よく牛乳がニキビの原因だという話を聞くので気になります!
とのこと。確かに「乳製品を取りすぎるとニキビになる」って説はよく見かけるかもですね。
で、これが結論から言えば、可能性としてはあり得る話かと思います。というのも、ニキビができやすくなる条件ってのが3つありまして、
- インスリンの分泌が多い
- IGF-1が多い(インスリン様成長因子)
- GIPが多い(グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド)
って場合に症状が出やすくなるんですな(1)。聞きなれない名前ばかりカモですが、この3つって、いずれも牛乳のタンパク質で増えやすいことがわかってるんですよ。
この3つでニキビが悪化するメカニズムも割とはっきりしてまして、
- 牛乳のタンパク質でインスリンやらなんやらが増える
- そのせいでmTOR/Aktってのが活性化する
- 脂腺細胞から脂が多く出始める
- ニキビ!
みたいな流れになってたりします(2)。このへんも複雑なんですけど、ざっくり言うと乳製品で肌の脂が増えるってことです。つまり、理論上は「乳製品でニキビが!」説はかなり確立された話なわけですね。
が、理論と現実に食い違いが出るのはよくある話。現実の観察研究の結果は、またちょっとおもしろいことになってたりします。具体的には、
- 47,355人の女性を調べた2005年の観察研究によれば、乳製品によるニキビの相対リスクは1.12〜1.44の間だった(3)。
- 4273人の少年を調べた2008年の観察研究では、相対リスクは1.10〜1.19の間だった(4)。
って感じです。この数値をどう解釈するかは難しいところですが、少なくとも言えるのは、
- やはり乳製品でニキビは出やすくはなる
- ただし、その関連性はかなり弱い
といったところでしょう。乳製品を取る量が多いとニキビのリスクは増えるっぽいんだけど、その影響はかなり低め。理論的に考えられるよりも、だいぶアッサリした数字かと思われます。
そんなわけで、以上の話をまとめると、
- ニキビが気になるなら乳製品を止めてみるのは十分にアリ(ホエイプロテインもふくむ)
- ただし、乳製品を止めたからといってニキビが改善するとは期待しないほうがいい
のようになりましょうか。乳製品でニキビが起きてる可能性もあるものの、だからといって牛乳を止めるのが功を奏するかはわからんところです。「改善したらめっけもの」ぐらいのノリで、取り組むのがいいでしょうねぇ。