運動が足りない人はどこまで「食欲が暴走」しちゃうのか?問題
運動でどこまで食欲はコントロールできるか?
「パレオダイエットの教科書」にも書いたとおり、むやみに運動しても効率の良いダイエットにはつながらないわけです。なんせ運動のカロリー消費量は少ないんで、これはどうしようもない事実なんですな。
ただし、それでも体を動かさねばならないのは、運動によってセットポイントが正しく動くようになるからであります。セットポイントは「人間の体に備わった自動の体重調整システム」でして、こいつのおかげで私たちは一定の体型をキープできるわけです。
このセットポイントが乱れる理由はいくつもありますが、「運動不足」も大きな原因のひとつ。ざっくり言うと、体を動かさない状態が長く続くと、レプチンやらグレリンといった食欲コントロールホルモンの働きが乱れちゃうんですよ。これはすでに多くの実験で確認された話。
運動が足りないと食欲は暴走する
では、具体的に「運動不足と食欲の暴走はどう関係してるの?」って問題を調べたのが、ここで紹介する論文(1)であります。過去に行われた「活動量とセットポイント」に関する大量の実験をレビューして、運動しないとどれぐらい食欲が暴走しちゃうのか?について大きい結論を出したんですね。
ってことで、どんな結果が出たかは、以下のグラフを見ていただくのがわかりやすいかと。
ご覧のとおり、日常的な活動レベルが低い人ほどセットポイントが乱れて食欲が激しくアップ。そこから活動量が上がるごとに食欲が減っていって、適切なレベルを超えると再び食欲が上がっていく感じで。いわゆる「Jシェイプ」ってやつですな。
運動が足りない人は2つの点で痩せにくくなる
体を動かすほど食欲が上がるのは当たり前の話で、運動の消費カロリーが増えていくほど、脳が「もっと食事をしなさい!」と指令を出すんですね。しかし、そのいっぽうで食欲ホルモンは正常に分泌されるので、必要以上に食べなくて済むのがポイント。おかげで、カロリー摂取量が増えても、活動量が低い人より太らなくて済むわけです。
つまり、活動量が低い人ってのは、
- 普段の消費カロリーが少ない
- 食事の満足感が低い
って2つの問題を抱えちゃうんですね。さらに、人間の体ってのは、体脂肪が増えるほど食欲が狂うようにできてまして、こうなるといよいよ事態は深刻になっていくんですよ。怖いですねぇ。
こうなると、「どれぐらいの活動レベルならいいの?」ってとこが気になりますが、この研究では「仕事による活動量の差」で比較を行っております。具体的に、論文に出てる活動量の例を上げていくと、
- とても低い:管理人、事務員など
- 低い:機械工、ショップ店員など
- 適切:運転手、織工など
- 高い:ゴミ回収業、石炭商など
- とても高い:鍛治屋、運送屋など
って感じになっております。なんだか職業のチョイスが特殊なのでイマイチ参考にしづらいんですが(笑)、とにかくデスクワークメインでずっと座ってるような仕事の方は、活動レベルが「とても低い」に分類されるのだとお考えください。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめると、
- 無闇に運動をしても痩せるわけではないが、食欲の適切なコントロールのためには積極的に体を動かすのが大事
- デスクワークの人は、定期的なエクササイズだけでなく、日常的な活動量を増やしたほうが良さそう(定期的にイスから立って散歩するとか)
といったとこでしょうか。全体的なデータを見てると、軽い散歩やカジュアルなスポーツ(ボーリングとか)でも十分に「適切な活動レベル」には達するみたいなんで、それぐらいを心がけておくとよさげです。個人的にはやはりステッパーがおすすめですが。