今週末の小ネタ:もっともメンタルの維持に必要なポイント、人生でもっとも不幸な年齢、脳の炎症とアルツハイマー
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
あらゆる要因の中で、もっともメンタルの維持に必要なのはなんだ?選手権
メンタルを健康に保つには人間関係が大事!なんてことは皆さま百も承知のこととは存じますが、新しいデータ(R)は「社会的なつながりこそが、うつ病に対する最も強力なバリアなのだ!」って結論になってて、あらためてその偉大さを思い知らされる感じになってました。
これはハーバード大学の調査で、10万人以上のデータをもとに「うつ病を防ぐためにもっとも影響がデカい要素は何?」ってのを調べたもの。メンタルの健康に欠かせないポイントといえば、睡眠、食事、運動などいろんなものが思い浮かびますけど、なかでも最強の防御法はなんなのか?ってところを、100種類近くの要因から選び抜いたんですね。
でもって、いきなり結論からざっとまとめると、
- 社会的なつながり最強。深刻な問題を話すことができる相手がいるる人や、友人や家族と遊ぶ回数が多い人が、もっともうつ病リスクが低い!
- ついでに、座りっぱなしの時間を減らすのも、手軽な対策としては効果が高いよ!
- 逆に、テレビの視聴と日中の昼寝のしすぎは、うつ病のリスクを有意に高める2大要因だから注意してね!(これが運動不足によるものなのかは謎ですが)
みたいになります。とにかく社会的なつながりはメンタルの維持に超重要で、そのなかでも「自分の問題を他人に打ち明けられるかどうか?」ってのがかなり影響度がデカいみたい。これはよくわかる感じがしますなぁ。
人生でもっとも不幸な年齢は何歳だ?選手権
昔から「人間は歳を取るほど幸せになる」みたいな現象が確認されてるんですけど、ダートマス大学の新しい調査(R)も、そのあたりを裏づけておりました。
これはギャラップ社の世界世論調査を使った分析で、日本をふくむ168カ国の約1400万人の幸福度データを収集。ここには、日々の不安、孤独、ストレス、痛み、抑うつといった感情の移り変わりを調べたデータが集まってまして、「年齢ごとに人間の不幸は変化するのか?」ってのをチェックできるんですよ。
で、こちらも大きな結論からいっちゃうと、
- 国ごとに差はあれど、だいたい不幸のピークは49歳あたりで、あとは少しずつ幸福になっていく
みたいになってます。私はいま44なので、あと5年が不幸のピークなのか……。
なんで49歳ごろに不幸を感じる人が多いのかと言いますと、現時点での推測としては、
- この年代ぐらいに大きな野望が叶わないことを痛感する人が多いから?
- 不幸な人は寿命が短い傾向もあるから?
- 逆に高齢になると自分の期待を調整できるし、周囲の人が死ぬ姿をみて人生に感謝するようになるから、幸福度が上がる?
みたいに考えられてます。全体的には、人生に抱く期待のコントロール問題が大きいのかなーってことですね。その意味で言うと、私などは特にデカい人生の野望や目的があるわけでもないんで、そのへんは逆に有利なのかも?とか思うわけですが。
認知症は脳の神経が燃えるせいで起きる?
認知症の問題は難しくて、いまもまだハッキリした原因と対策が分からないレベルなんすけど、新しくネイチャーに出てたデータ(R)は、「アルツハイマーって要は免疫系の病気なんじゃない?」って仮説が強調されておりました。アルツハイマーといえば脳にアミロイドベータプラークが溜まるのが大きな特徴ですけど、この問題が起きる原因はよくわかってなかったんですよね。
これはマウスを使った実験でして、どんなことを見つけたのかと申しますと、
- IFITM3が作れない状態のマウスは、βアミロイド斑の蓄積が減少した
ってことです。なんだかわけがわかりませんが、IFITM3ってのはウイルスや細菌などの侵入に反応して免疫系が作り出すタンパク質で、体内に炎症を引き起こす役割を持ってるんすよ。つまり、この発見をすごーくざっくり翻訳すると、
- 脳の劣化は神経の炎症によって起きるのでは?
ぐらいの意味になります。免疫システムが炎症性のタンパク質を作り出し、これが脳に有害な物質をためこむ引き金になってるんじゃないか?ってことです。神経炎症とアミロイドベータプラークの関係が示されたのは初めての話なんですが、「やっぱここでも炎症が問題を起こしてるのかー」って気がしますね。
まぁこの知見をもってすぐに認知症対策ができるわけじゃないんですけど、このブログで紹介してるような炎症対策は、脳を守るためにも使えそうだよなーとか思った次第です。