心臓病などで早死にするリスクを下げる(かもしれない)ジュースはこれだ!というメタ分析のお話
果物を食べると心臓病とかで死ぬリスクが減るよ!みたいな話は昔からよく言われきたところです。果物にふくまれるカリウムや食物繊維、抗酸化物質、ポリフェノールなどのおかげで、心臓や血管の機能が改善するっぽいんですよ。
ただし、この説については系統的レビューやメタ分析がまだなかったんですが、そこらへんを調べた良い報告(R)が出ておりました。
これは「心疾患リスクに果物ってどこまで効くの?」を調べたメタ分析で、18歳以上の男女を対象にしたRCT38件を集めて、少なくとも1週間の期間のあいだに、
- ベリー類
- チェリー類
- かんきつ類、
- またはそれらの果汁ジュース
- フリーズドライ
- 粉末状にしたサプリ
が、血圧やコレステロールにどんな効果をもたらすのかを調べてくれてます。PRISMAガイドラインに準拠していて、研究の3分の2は質が高い感じでして、なかなかよろしいんじゃないでしょうか。
いちおう、軽くデータの内訳を書いておくとこんな感じです。
- 参加者の数は5〜63人のあいだ
- 実験期間は7〜180日のあいだ
- 参加者のうち29%は健康体で、16%は心疾患リスクが高め、40%はメタボな人を対象にしている
- 参加者が服用したのは71%がフルーツジュースで、28%がフリーズドライかパウダーだった(果物をそのまま食べたのは2%のみ)
ってことで大半の実験はフルーツジュースを使ってまして、「それだと食物繊維のご利益がなくなるのでは?」って気もしちゃいますね。
さておき、分析の結果なにがわかったかと言いますと、
- ベリージュースを飲むと、最高血圧を約4mmHg、最低血圧を約2mmHg低下させる効果があった。また、sVCAM-1を有意に減少させた(内皮の炎症を増やす物質)
- サブグループ分析では、クランベリージュースを飲むと、最高血圧と最低血圧が約1.5mmHg低下し、チェリージュースは最低血圧を約3mmHg低下させることがわかった
- バーベリー・ジュースは、収縮期血圧を17mmHgも下げていた
- かんきつ類は他の果物と比べて研究が不十分だったが、現時点での証拠だとグレープフルーツジュースとオレンジジュースは血圧に影響しないっぽい
みたいになります。なんか全体的にショボい数値にも見えますが、例えば「ベリージュースを飲むと最高血圧を約4mmHg最低血圧を約2mmHg」ってのは脳卒中リスクを30%近く低下させるレベルの改善度なんで、これがなかなかバカにできないんですよ。
ちなみに、ここではバーベリー・ジュースにすごい数値が出てますけど、これは1つの実験だけで確認された効果なうえに、95%信頼区間もめちゃくちゃ広いんで、いまいち信頼できないかなーってとこすね。
というわけで、全体的に見てみますと、
- ベリー系のジュースはおそらく適度に血圧を下げる効果があると思われる(このあたりは過去のメタ分析とも整合的なんて、まぁ間違いなさそう)
- ベリー系の何が効いてるのかは謎ながら、カリウムまたはポリフェノールのおかげなのかもしれない(他の果物に比べてポリフェノール濃度が高いし)
- ただ、ほとんどの研究間でかなり結果にバラつきがあるもんで、そこらへんの謎はやっぱり残る
といった印象を受けました。ちょっと限界はあるものの、やっぱベリー類は心疾患リスクを下げてくれるんじゃないかと。
この実験を現実の世界で活かすならば、
- クランベリージュースは1日450mlまでを8週間飲む
- チェリージュースは1日30〜330mlまでを20〜42日間飲む
ってあたりが目安になるでしょうね。ただ、先にも触れたとおり、個人的にはジュースを飲むんだったら食物繊維もまとめて取れる加工前のクランベリーやチェリーをそのまま食べるほうをオススメしたいですが。