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今週末の小ネタ:迷走神経マッサージ、幸福度アップに効く人間関係、脳の電気刺激で頭が良くなる?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

迷走神経マッサージによるリラックスの時短効果がすごいぞ!という話

エラスムス大学から「マッサージは想像以上にメンタルに効く」っていう良いデータ(R)が出ておりました。マッサージのリラックス効果は周知の事実ながら、そのポテンシャルは思ったよりも高いのでは?みたいな話です。

 

 

ということで実験デザインをまとめておくと、

 

  1. 参加者の心拍数をモニターし、リラックスしているかストレスを感じているかを評価してもらう

  2. 参加者の半分には「迷走神経を刺激するように設計されたマッサージ」または「普通のボディタッチ(背中をさすったりとか」を10分やってもらう

 

みたいになってます。「迷走神経を刺激するように設計されたマッサージ」ってのは難しい話ではなく、要は頭と首肩をメインにもみほぐすやり方です。ここらへんを刺激すると、迷走神経を介して副交感神経に影響をあたえ安いんですよ。

 

 

すると、たった10分にもかかわらず良い結果が確認されまして、

 

  • 迷走神経の刺激マッサージは、心理的にも生理的にも、普通のマッサージよりも高いリラックス効果が得られた!

 

だったそうです。もちろん普通のマッサージにも良い影響はあったものの、迷走神経に集中したバージョンの方が高いメリットを得られたらしい。

 

 

チームいわく、

 

 

私たちは、思ったよりも短い時間で心だけでなく体もリラックスできるようだ。リラックスするために専門的な治療は必要なく、肩を優しくなでてたり、10分間テーブルの上で頭を休めたりするだけでも、体の生理的なリラクゼーションを高める効果がある。

 

 

ってことですんで。仕事中にストレスを感じたら、軽く首や頭部をもみまくってみてはいかがかと。

 

 

 

どの人間関係が一番幸福度アップに効くのか?という話

とりあえず人間関係は健康の維持に大事!」みたいな話は「最高の体調」でも強調したところ。人間関係の質が私たちの幸福や健康レベルに大きなインパクトを与えることは、いくどとなく実証されてきた話であります。

 

 

で、新しい研究は「どの人間関係がもっとも幸福への影響が大きいのか?」ってのを調べてくれてておもしろかったです(R)。

 

 

これがどんな研究かと言いますと、

 

  1. 400人以上の人を集めて、「あなたは最近どんな活動をしましたか?」ってのと「その活動からどれぐらい幸福を感じましたか?」を尋ねる

  2. 友人、家族、子供の3グループに的を絞り、どの相手と一緒に活動したときがもっとも幸福だったかを調べる

 

みたいになってます。どのタイプの人と行動すると幸せになれるのか?ってポイントを調べたわけですね。その結論を一言で言ってしまうと、

 

  • 友人がベスト!

 

だったそうで、家族や子供よりも友人と一緒にいるときに幸せを感じる人が多かったらしい。その理由はハッキリしないものの、とりあえずの推測としては、

 

  • 友人といるときは、新しい場所に行ったり、ゲームをしたりと、より楽しい活動をしていることが多い
  • 一方で家族といる場合は、家事や食事などの日常的な行動をしてることが多い
  • 子供と過ごす時間も、家事や送り迎えなどをしてることが多い

 

みたいな問題があるんじゃかろうかと思うわけです。実際、活動内容もふくめてデータを調整すると友人の優位性は消えてるんで、せんじつめれば「できるだけ新しい活動をすると幸せになれるよ!」っていう従来から言われてきた事実の変奏な気もしますね。

 

 

チームいわく、

 

家族や子供との間でもポジティブ体験の機会を作り、その時間を味わうことが大切だ。家事や雑用、育児だけの家族関係では、幸せになることはあまり期待できない。

 

ってことですんで、肝に銘じておきたいところっすね。

 

 

 

脳に電気を流したら頭の働きが50歳も若がえる……かも

脳に電気を流したら頭の働きが50歳も若がえった!」みたいなデータ(R)が出ておりました。なんか怪しそうな印象ですけど、これはHD-tACSっていう割と確立された技術を使ってまして、根も葉もない話ではなかったりします。

 

 

実験は84人の男女(そのうち20-29歳が42名、60-76歳が42名)を対象にしていて、高齢者にだけHD-tACSの電流刺激を25分ずつ実施。そのあとで全員にワーキングメモリの性能を測るテストを指示したところ、

 

  • 脳に電気を流した老人は、電気刺激を受けない若者とワーキングメモリテストの結果が同じレベルになった!

 

って違いが出たんだそうな。んー、これはすごい…‥。

 

 

通常、人間の脳は歳を取るごとにいろんなエリアの機能が同期しなくなっていくんですけど、頭部への電気刺激を送り込むことで同期が復活するというんですね。これは非常に希望が持てるおもしろい技術っすね。

 

 

まぁ現時点では「ご家庭でご自由に脳へ電気を流しましょう!」ってわけにはいかないので、HD-tACSの発展を待つしかないのが残念なところ。そういえば瞑想にも脳の同期効果がありそうな感じなので、現段階ではマインドフルを心がけておくのがベストかなーと。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。