食事でとる脂肪の割合を減らすとどれぐらい体重は減るのか?のメタ分析
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低脂肪ダイエットなんてのが昔からありますが、具体的に「食事でとる脂肪の割合を減らすとどれぐらい体重は減るのか?」ってのを調べたメタ分析(R)が出ておりました。
これは、WHOが栄養指導の専門家グループにした研究で、少なくとも 6 カ月以上の期間をかけて、脂肪の摂取量と体重や体脂肪率の変化などを調べたRCTを対象にしております。具体的なデータの内訳をざっとまとめておくと、こんな感じです。
- 37件の無作為化比較試験(RCT)をふくみ、参加者の総数は57,079人
- 研究期間は6ヵ月から8年
- 実験地域はほぼ北米で、アジアは中国が1件
- ケトン食や糖質制限みたいに、極端に炭水化物を減らす食事ははぶく
- 「低脂肪」の定義は、総摂取カロリーに脂質が占める割合が30%未満
- 低脂肪食を行う場合は、脂質を果物や野菜などで置き換える
全体的に実験の質は高いし、サンプル数は大きいし期間も長いしで、非常によろしいのではないでしょうか。
というわけで、結果を表で見てみましょうー。いずれも平均値です。
普通に脂肪を食べた場合 | 脂肪を減らした場合 | サンプル数 | 証拠の質 | |
体重(kg) | -0.04 kg | -1.42 kg (-1.73 to -1.10) | 53,875 | 高い |
BMI | +0.14 kg/m2 | -0.47 kg/m2 (-0.64 to -0.30) | 46,604 | 高い |
ウエストサイズ(cm) | -0.6 cm | -0.47 cm (-0.73 to -0.22) | 16,685 | 高い |
体脂肪率 | +0.7% | -0.28% (-0.57% to 0%) | 2415 | 高い |
血中脂質 | 総コレステロール:+5.5 mmol/L LDLコレステロール: +4.0 mmol/L HDLコレステロール: +1.4mmol/L 中性脂肪: +1.3 mmol/L |
総コレステロール:-0.23 mmol/L LDLコレステロール: -0.13 mmol/L HDLコレステロール: -0.02mmol/L 中性脂肪: +0.01 mmol/L |
総コレステロール:9812 LDLコレステロール: 8137 HDLコレステロール: 8268 中性脂肪: 8672 |
高い |
血圧 | 最高血圧:-1.2 mmHg 最低血圧:-0.9 mmHg |
最高血圧:-0.75 mmHg 最低血圧: -0.52 mmHg |
最高血圧:6087 最低血圧:6078 |
高い |
人生の質(QOL) | + 0.03 | +0.04 (+0.01 to +0.07) | 40,130 | 低い |
というわけで、以上の話を雑にまとめると、
- 脂肪を総摂取カロリーの30%未満にすると、30%以上の時より体重や体脂肪率がちょっと下がる
- 血中脂質や収縮期血圧、拡張期血圧、人生の質の指標についても、さらにほんのちょっとだけ改善する
ってとこですね。全体的に数値の変化は小さいんですけど、いずれも体重の減少を目的とした人を対象にしてないんで、こんなもんかなーって感じがいたします。
またこの研究はデータ間のバラつきが大きくて(I2が75%)、どうも実験前にBMIが高い人と脂肪を減らす量が多い人ほど効果もデカかったらしい。そりゃそうでしょうな。
この結果をどう解釈するかは人それぞれでしょうが、個人的な感想としましては、
- 単純に脂肪の割合を変えただけでは、現実に意味があるレベルの変化は出なさそう
- ただ、脂肪摂取量を総エネルギーの30%以下に制限すると、体重の維持にはちょっと役立つかもしれない
- 他のデータに照らせば(R)、やっぱ三大栄養素のバランスにこだわるよりは野菜と果物を増やすほうが格段に効果は大きそうだよなぁ‥‥
ぐらいの感じです。別に脂肪の割合を減らすのが悪いとは言わないものの、体重キープのテクニックとしては2番手3番手ぐらいの位置づけかなーってことでひとつ。