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「キャラ作りの科学」を読んで、自分の性格をどううまく生かすかについて考えてみる話#2

 
 

キャラ作りの科学」の続きでーす。この本は「魅力的なキャラクターを生み出すためにビッグファイブを使う方法」を指南したもので、個人的には「自分が生まれ持った性格を生かす方法」としても楽しめました。なんせ人間の性格ってのは生涯にわたって安定してるんで、それならば生来のキャラが魅力的に見えるように計らった方がいいですもんね。

 

 

ってことで、前回は外向性と内向性について見ましたので、今回は残りの4つのパーソナリティを見ていきましょう。

 

 

協調性

前回の外向性に続いて「人としての魅力」に関わりやすいのが、協調性です。いわゆる他人とうまくやるかどうかに関わるパーソナリティで、こちらも外向性と同じぐらい魅力の判断材料に使われることが多いらしい。

 

協調性が高い人ってのは、一般的に親切で、信頼でき、協力的で、素直で、謙虚で、優しさがあり……って感じでして、普通に好感が持てそうな要素ばっかりですな。具体例としては、「氷と炎の歌」(ゲースロの原作)に登場するナイトウォッチの執事サムウェル・ターリーや、ウディ・アレンの名作「アニー・ホール」の主人公などがあげられておりました。「氷と炎の歌」はいつか読みたい……。

 

で、逆に協調性が低い人ってのは、一般的に利己的で、主張が強く、疑い深く、競争心が強く、傲慢で、時には悪意に満ちている……ってキャラなんですけど、こういった「非協調的」な人が持つ特徴が魅力的に映ることもあるそうな。

 

具体的には、こちらも名作である「スリー・ビルボード」の主人公は、鈍感で、一直線で、誰を怒らせても気にしないキャラなんだけど、「殺された娘のために戦っている」って一点を持って魅力的なキャラになっているとのこと。要するに協調性が低い人ほど大義が重要ってことですな。大義さえあれば妥協のなさは魅力になりますもんねぇ。

 

 

 

神経症傾向

三つ目のパーソナリティである神経症傾向は、人生の浮き沈みに敏感な傾向があり、不安、怒り、抑うつを持ちやすかったりします(私もこのスコアが高め)。

 

と同時に、傷つきやすく、自意識過剰なところもありまして、やはり魅力的なキャラとはかけ離れてるようにも思えますが、実際にはさにあらず。これらの性質は、主人公の内面的な旅に焦点を当てたドラマに最適で、たとえばアカデミー受賞作の「バードマン」の主人公は、感情的な弱さと、「批評家に認められたい!」って欲求が物語の原動力となってるとのこと。これを現実世界における魅力作りに活かすなら、神経症傾向が高い人は、自分が抱く不安や抑うつをガンガン表に出していこう!みたいな話になるでしょうね(やりすぎるとウザがられるので、それでも頑張ってる態度を見せるのも大事でしょうが)。

 

一方、感情的に安定したキャラクターは、どんなトラブルも処理できるかのように振る舞うので、アクションヒーローやヒロインの大半に設定されがち。つまり私みたいに神経症傾向が高い人は、ヒーローキャラを演じないように気をつけたいものです。

 

 

 

誠実性

誠実性が高い性格を持つ人は、義務感や責任感に駆られるタイプで、慎重でじっくりと物事を考え、自分をコントロールするのがうまく、目標に向かって行動するのも上手。シェイクスピアの「マクベス」や、テレビドラマ「ブレイキング・バッド」の主人公などが例に挙げられておりました(マクベスもブレイキングバッドも神経症傾向が高めな気もしますが)。多くのジャンルのキャラにとって「目標に向かって突き進む!」って特性が有用なのは当たり前なんで、これが魅力的な特性なのはわかりやすいですね(現実の世界でも誠実性が高い人はモテる傾向があるし)。

 

ただ、誠実性が低いけれど魅力的なキャラはたくさんいまして、誠実性が低い人に特有の責任感のなさが良い方向に働くケースも少なくないとのこと。具体的には、コメディ映画「テッド」に登場するジョン・ベネット(マーク・ウォルバーグが演じたキャラ)などは、「大人になりたくない!」って気持ちの強さがより自発的で自由奔放な印象を生み、それが魅力につながってるとのこと。確かに、責任感がなさそうなキャラって、自由で楽しそうに見えますもんね。もし自分の誠実性の低さに悩んでいるなら、責任にとらわれない自由な側面を強く打ち出すのが良さそうっすな。

 

 

 

開放性

ビッグファイブの最後の次元は開放性です。このパーソナリティが大きな人は、新しい経験に対してオープンで、想像力が豊かで、新しいことに挑戦するのが好きで、知的好奇心が旺盛。さまざまな考え方や価値観に興味を持ち、芸術や文化を好む傾向もあったりします。想像力が豊かな人はどう考えても魅力的なので、やっぱりキャラとしての魅力も高め。具体例としては、モームの『月と六ペンス』に登場する株式仲買人のチャールズ・ストリックランドが挙げられておりました(家族を捨てて芸術家を目指すキャラ)。

 

反対に、開放性が低い人は、視野が狭く、新しいアイデアに対しても閉鎖的になりがち。というと魅力がないような印象ですけども、一方では、地に足がついて、伝統的で、家庭に近いものを好む傾向があるので、この側面を押し出すことで魅力的なキャラになり得るとのこと。具体的には、ディケンズ『二都物語』の家庭教師ミス・プロスが挙げられておりました。

 

 

 

ってことでいろいろ書いてきましたが、簡単にまとめると、

 

  • 外向性が高い人=普通にしてれば魅力的なので、そのままでOK!
  • 外向性が低い人=大きな主張をしない点がミステリアスだったり、謙虚な印象につながるので、そこらへんを打ち出す!

 

  • 協調性が高い人=普通にしてれば好感を持たれるので、そのままでOK!
  • 協調性が低い人=自分の行動について、誰もが納得してくれそうな大きな目標をくっつける!

 

  • 神経症傾向が高い人=自分が抱く不安や抑うつを素直に言葉として表現する!
  • 神経症傾向が低い人=普通にしてれば好感を持たれるので、そのままでOK!

 

  • 誠実性が高い人=普通にしてれば好感を持たれるが、ただの堅苦しい人と思われないように注意!
  • 誠実性が低い人=私は自由に生きるのが好きな人間なのです!って側面を打ち出す!

 

  • 開放性が高い人=普通にしてれば魅力的なので、そのままでOK!
  • 開放性が低い人=地に足がついた安心感のある人間だってところを打ち出す!

 

みたいになるでしょうね。くり返しになりますが、人間のキャラは生涯にわたって安定してるケースが多いので、持ち前の特性を生かしていきたいもんですねぇ。 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。