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今週半ばの小ネタ:新型コロナの陰謀論を信じやすい人、ビタミンDが足りないと体力も下がっちゃう、「美しい!」と感じたものをひいきしやすい問題


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

新型コロナの陰謀論を信じやすい人の性格

新型コロナの陰謀論を信じやすい人に特有の性格があるかもよー」みたいな話(R)が出ておりました。

 

 

これは406名のイギリス人を対象にしたテストで、まずはオンラインで参加者にさまざまなパーソナリティテストを実施。さらに、みんなに一般的な陰謀論と新型コロナに特有の陰謀論をどのように考えているかを答えてもらったんだそうな。

 

 

たとえば、参加者には「新型コロナが本当に存在するという証拠はない」といった文章に同意するかどうかを判断してもらったり、さらにはそれぞれの陰謀説を広める意思があるかどうかも評価してもらったらしい。

 

 

そのうえで、新型コロナの陰謀論を信じる人たちと、パーソナリティの相関を見たところ、結果はこんな風になりました。

 

  • 新型コロナの陰謀を信じる人ほど、マキャベリズム、サイコパス、集団的ナルシシズムが強い傾向があった。さらに、これらの性格特性を持つ人は、ワクチンを接種しないと答える傾向もあった

 

ってことで、いわゆるダークトライアドな人ほど新型コロナの陰謀論にハマる傾向があるらしい。いちおうダークトライアドを説明しとくと、

 

  • マキャベリズム=他者を戦略的に操作しようとする人
  • サイコパス=冷淡さと感情の欠如を特徴とし、衝動性と反社会性が強い傾向がある人
  • 集団的ナルシシズム=自分の属する集団に誇大な優越感を持つ人。「私の国は最高だ!」みたいなやつ

 

みたいになります。もともとダークトライアドと陰謀論は相性が良いことがわかってまして、なんでもこれらの特性を持った人は、他人を操ったり搾取しようとする気持ちが強いので、そのせいで陰謀論的な信念を持ちやすいんだそうな。

 

 

もちろん、この調査はすべて参加者の自己申告でデータを取ってますし、新型コロナに関する参加者の知識も評価されていないし、あくまで横断的に行われた研究なんで因果関係も不明であります。そこらへんの限界んは注意しつつも、陰謀論とダークトライアドは親和性が高いなーってとこだけ頭に入れとくと良さげです。

 

 

 

ビタミンDが足りないと体力も下がっちゃう?問題

当ブログの最頻出サプリといえばビタミンD。免疫から脳の働きまでいろんなことに関わる重要性分ですけども、新たに「ビタミンDってアスリートのパフォーマンスにも影響するの?」ってとこを調べたデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはクロアチア南部のサッカー選手52名を対象にした研究で、

 

  1. みんなのビタミンDレベルを調べる

  2. 体力測定とサッカーのスキルテストをして、みんなのパフォーマンスを調べる

 

みたいな内容になってます。体力測定では、10mと20mのスプリント、ジャンプ力、方向転換の速度、サッカーに必要な敏捷性などを調べたんだそうな。

 

 

そこでどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • ビタミンDレベルが十分だと判定されたのは全体の46.4%、ビタミンD不足が44.0%だった
  • ビタミンDが十分なグループは、不十分なグループよりも、スプリント、方向変換走の成績がよかった
  • ただし、ビタミンDが足りてても、サッカーに必要とされる特定スキルには大きな差がなかった

 

みたいになります。これだけ見た限りでは、ビタミンDは一般的な体力には影響するんだけど、それぞれの競技に特化したスキルには影響しないかもしれないわけっすね。というか、そもそもプロアスリートでも意外とビタミンDの量には気を配ってないとこに驚きましたが。

 

まぁいずれにせよ、ビタミンDは全般的な肉体のパフォーマンスに影響してそうなんで、注意しておきたいところです。

 

 

人間は「美しい!」と感じたものをひいきしやすい問題

多くの人は、自分が美しいと感じる人、動物、風景、建物を『道徳に位が高い!』と感じやすいよ!」というデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはメルボルン大学などの調査で、複数の実験を行なって「美しいものと醜いものは、どちらが道徳的に高いと思われるか?」を調べてます。たとえばひとつ目の試験では、

 

  1. 被験者に3種類の動物の画像を6枚提示する。この時、それぞれの動物の「美しい」バージョンと「醜い」バージョンを用意する

  2. 被験者に動物の魅力と純粋さを評価してもらい、さらにその動物を保護したいと思うかどうか評価してもらう(道徳的な立場の評価)

 

って感じで進めたところ、たいていの参加者は、美しい動物を醜い動物よりも「純粋だ!」と評価し、さらに「美しい動物は醜い動物よりも道徳的に高い地位にある!」と判断したそうな。うーん、切ない。

 

 

また次の研究では、上と似た実験を動物ではなく人間の顔の画像で実施しまして、やはりほぼ同じ結果が得られておりまる。つまり、多くの人は「魅力的な顔の人ほど守りたい!」と思いやすかったんだそうな。

 

 

さらに以降の研究では、上記2つの実験を「風景」や「建物」でも再現し、こちらもやはり同じような結論が出ております。簡単にまとめると、

 

  • 人々は、醜い風景や建物に比べて美しい風景や建物に「純粋さ」を感じ、より強く保護したいと強く感じる

 

って話でして、どうも人間ってのは、生物でも無生物でも「美しいものは純粋で道徳的な価値が高い!」と考えやすく、そのせいで保護欲をかきたてられる傾向があるらしいっすね。

 

 

研究チームいわく、

 

この結果は、美醜の判断が人々の道徳観に重要な影響をおよぼすことを示す。たとえば、私たちが顔に障害のある人を差別する理由や、美しい絶滅危惧種(例:レッサーパンダ)よりも醜い絶滅危惧種(例:アイアイ)への寄付をこばむ理由も、これで説明できるだろう。

 

この研究によって、人々が自分のバイアスに気付き、そのバイアスを打ち消して、美的感覚に乏しい存在により肯定的な態度を取ることができるようになることを願っている。

 

とのこと。醜さは「不純」を感じさせるので、その点で一気に不利な立場に置かれやすいんだそうな。いわゆる「美貌格差」と似た観点でして、ここは意識して乗り越えにゃあかんとこなんでしょうなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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