超優秀な筋トレ法と噂の「マッスルコンフュージョン」はどこまで実践する価値があるのか?問題
筋トレの世界には「マッスルコンフュージョン」って有名なメソッドがあるんですよ。直訳すると「筋肉の混乱」みたいな意味で、簡単にまとめると、
- 短時間でトレーニングの変数をコロコロ変えようぜ!
みたいな考え方です。筋トレの回数、セット数、総ボリューム数、休憩時間などをどんどん変えていったほうが、筋トレがはかどるのではないか?って考え方です。
マッスルコンフュージョンについては2016年にも書いたことがありまして、このときの結論はと言いますと、
- 短期間のトレーニングであれば、マッスルコンフュージョンは筋力アップに役立つかも?
ぐらいになっておりました。短期間であり、なおかつ筋力の増強を狙うのであれば意味があるんじゃないか?って感じですね。
で、また新たにマッスルコンフュージョンの追試(R)が出ましたんで、ポイントをチェックしておきましょう。
これは、筋トレ好きの若い男性20名を対象にした研究で、みんなに8週間ほど片側筋トレを指示したとのこと。片側筋トレってのは、名前のとおり片足ごとにトレーニングを行う手法で、
- 右足は一般的な筋トレをする(少しずつ負荷を上げながらやっていく、昔ながらの筋トレ)
- 左足はマッスルコンフュージョンをする(負荷、ボリューム、休息の間隔をコロコロ変える)
みたいになります。筋トレ研究ではわりとメジャーな手法で、同じ人が別のトレーニングを行うことにより、個人間の結果のバラツキを最小限にまで抑えることができるんですよ。
で、この実験で使われたマッスルコンフュージョンは、トレーニングセッションごとに、以下の4つの要素のうちひとつを調整したんだそうな。
- 負荷操作:8セット(レッグプレス4セット、レッグエクステンション4セット)& 25〜30レップスを限界まで行い、2分間の休憩をはさむ。
- ボリューム操作:12セット(レッグプレス6セット、レッグエクステンション6セット)& 9~12レップスを限界まで行い、2分間の休憩をはさむ。
- 反復期の操作:8セット(レッグプレス4セット、レッグエクステンション4セット)、逆で使用した負荷の110%で10レップスで行い、2分間の休憩をはさむ。
- 休息の操作:8セット(レッグプレス4セット、レッグエクステンション4セット)& 9~12レップス行い、4分間の休息をはさむ。
でもって、上記の筋トレ法を行いつつ、筋肉の増え方やタンパク質の合成レベルを評価したところ、結果はこんな感じになりました。
- 筋トレしてから0〜48時間の筋肉のタンパク質合成量は、マッスルコンフュージョンのわずかに大きかった(P<0 .05="" li=""> 0>
- ただし、筋肉量の増え方などについては、マッスルコンフュージョンに目立ったメリットはなさそうだった
- 参加者のあいだの結果のばらつき(タンパク質合成, 3.30%; 推定筋肉量, 37.8%)は、両足の結果のばらつき(タンパク質合成, 0.08%; 推定筋肉量, 0.9%)の40倍もあった
ということで、全体的に見れば「もしかしたらマッスルコンフュージョンの方がちょっと有利かもだけど、実践がめんどくさいから、そこまでのコストをかけてやるほどの価値はないかなぁ……」ぐらいの印象ですね。
まぁ比較期間が8週間ぐらいなんで、マッスルコンフュージョンの真価を見極めるには短すぎた可能性もありますけど、そこまでの優位性はないのかも?ってのが正直なところですね。研究者のコメントを引いておくと、
他の研究者による研究でも、筋トレにおける特定の変数(負荷、ボリューム、休憩間隔、強度、頻度など)を一度に操作した場合、高レベルの努力が必要な筋トレの間で同様の筋肥大反応を示した。
また、ボディビルとパワーリフティングに焦点を当てた筋トレプログラム、ピラミッドやドロップセットのように複雑なトレーニングスキームをふくむ研究でも、それぞれのプロトコル間で筋肥大反応に差がないことが報告されている。
みたいな感じでして、このチームはマッスルコンフュージョンに否定的な見解っすね。
ただ、個人的には「人によって結果のバラツキがデカすぎる!」ってあたりは気になるとこでして、今回の結果を見ると、
- 万人に当てはまる筋トレ法なんてないから、いろいろ試して自分に適したものを探すしかなさそうだよなぁ……
って結論になりそうな気はしております(めちゃ普通の結論ですが)。人によってはマッスルコンフュージョンのほうが飽きずに続けられるでしょうし、また別の人にとっては従来のやり方の方が集中してトレーニングを続けられるでしょうしね。近ごろの私は、そこまで筋トレにバリエーションを求めなくなったので、従来のプログレッシブ式を続けるかなぁ……。