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【質問】私は友達がいないのですが、どうすればいいでしょうか?


 

こんなご質問をいただきました。

 

私は友達がいないのが大きな悩みです。それを解決する方法などありましたら教えていただけると嬉しいです。友達も作りたいですが、もともと友達を作れない自分を気にしないことも大事なのかなどと考えています。

 

ということで、私も友達はかなり少ない人間ですが、この問題に悩む方は多いかもしれないですね。

 

 

この問題については、カーリン・フローラ先生の『あなたはなぜ「友だち」が必要なのか』がくわしくて、おそらく現時点ではもっとも過不足なく知見がまとまった一冊ではないでしょうか。2013年の古い本ではありますが、その後の研究を見てても大筋は変わってないので、現代でも十分に使えるはず。

 

 

本書でまずフローラ先生がなにを言っているかと言いますと、いかに友人が人生において重要か?みたいなポイントです。要点を抽出すると、

 

  • ブリガム・ヤング大学のジュリアン・ホルト=ランスタッド博士は、148件の研究をメタ分析し、ソーシャルサポートの欠如がすべての死因を予測すると結論づけた。しっかりとした友人グループがいる人は、そうでない人に比べて、早死にする確率が50%低い。

 

  • 友達が1人増えるごとに、孤独を感じる日は2日減る。人は平均して1年に48日ほど孤独を感じるので、友達が2人増えると、他の人より10%ほど孤独感が減ることになる。ちなみに、このポイントについて、家族の数は全く影響を及ぼさない。

 

  • ダニエル・カーネマン博士らの古典的な研究によれば、友人と過ごす時間は、配偶者や子供と過ごす時間よりもさらに楽しいものであることがわかった。

 

みたいになります。まー、いかに友人はメリットだらけかってことですね。もちろん、友人なんてメリットを求めて作るもんじゃないですけど、この重要性は押さえておきたいっすね。

 

 

では、どうすりゃいいのか?ってとこですが、フローラ先生のアドバイスに加えて、最近の知見もふくめてまとめてみると、こんな感じになります。

 

 

 

友人作りポイント1. とにかく時間をかける

より深い友人関係を築くには、とにかく時間をかけることが重要っぽい。カンザス大学の最近の研究によると、知り合いから気の置けない友人になるには約50時間、「本当の」友人になるにはさらに40時間、親しい友人になるには合計200時間の交際が必要になると報告されてたりします。

 

これは、200時間を費やすことで単純接触効果が働くからで、誰かとコミュニケートする回数が多いほど、その人を好きになる可能性が高くなるんですよ(相手から好かれる確率も高まる)。そのため、ジム、読書会、ボランティアなど、自分が興味のあるコミュニティに参加すると、シンプルに特定の人間との接触回数を高められるため、これは友達作りの基本中の基本っすね。

 

 

 

友人作りポイント2. 弱いつながりを頼る

が、すぐに特定のコミュニティが見つからない場合は、「弱いつながり」を頼ってもOK。これは「昔の知人」とか「何回か会ったがあまり連絡を取らない人」のことで、いまの時点で社会的なつながりが弱い人でも、あらためてコミュニケーションを取ってみると、幸福度に有意義な影響を与えることがわかってたりします(R)。

 

まー、私のようなド人見知りにとっては、弱いつながりとコンタクトするのは難儀なんですけど、実際にやってみると、意外なほど皆さん快く返事をしてくれることは多いんですよね。2011年の研究(R)でも、昔の友人と再会した人たちは、すぐに以前のレベルの信頼を取り戻すことができたんだそうな。これもぜひお試しください。

 

 

 

友人作りポイント3. 自己開示のトレーニングをする

単純接触効果に頼っているだけだと、友人関係ができあがるまで時間がかかっちゃうので、スピードを速めるためには自己開示が必須(R)。簡単に言えば、自分をさらけだすことで、自分のなかで「これは打ち明けるのにちょっと勇気がいるぜ!」ってレベルの情報を相手に伝えるのがポイントっすね。

 

1997年に行われたストーニーブルック大学の研究では、見知らぬ人同士がペアを組み、個人的な話題について話し合ってもらったところ、たった45分でもかなりの親近感が生まれたんだそうな。ここで展開された話題は、日常生活から子供のころの思い出までさまざまで、なるべく深めな会話をするように指示が出たんだそうな。

 

ちなみに、このポイントについては、スタンフォード大学の先生方が「自分を15%開示せよ!」と提案してますんで、これを守ってみるといいでしょうね。

 

 

 

友人作りポイント4. 社会的なイメージをサポートする

別に親友とアイデンティティを共有する必要はないものの、相手のセルフイメージをサポートする作業は必要になります。これがどういうことかと言いますと、「相手が“自分はこういう社会の集団に属している人間だ”と思っているイメージを支える手助けをしてあげる」みたいな感じです。

 

ピュージェット・サウンド大学などの研究(R)では、大学1年生のグループに親しい友人について尋ね、「その友人から社会的アイデンティティのサポートを受けてます?」ってあたりをチェック。それから5年後、学生たちが卒業してからフォローアップを行ったところ、社会的アイデンティティーのサポートをしていたグループほど親友になっている確率が高かったそうな。

 

研究チームは、「親密な友人関係を維持するには、時間とともに変化する相手のアイデンティティをサポートすることだ」と指摘しておられます。やや難しいですけど、誰でも「自分はA社の人間だ!」や「自分は日本人だ!」や「自分は東京生まれヒップホップ育ちだ!」みたいに、社会的に自分を規定してるはず。このように相手の社会的な立場を補強してやることで、友人関係が深まるってことですな。

 

 

 

ってことで、基本的なところを4つまとめてみました。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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